ユグドラ学園入学
ユグドラシルにはあらゆる国から魔導師と霊媒師の学生が集まる。
もちろん言語は通じない為、皆共通の英語を学ぶらしい。
学年はもちろん魔導師と霊媒師でもクラスを分ける。
少ないクラスは10人以下の所もあると聞いた。
まだ見つかってない魔導師と霊媒師の子供もたくさんあるだろう。
そう言う子供は見つかり次第ユグドラシルに来るらしい。
僕の学年は魔導師科、中学2学年。
中学2学年は2クラスあり、1クラス20人程度。
僕のクラスは2年A組、運良くアーサーもアリスも同じクラスだ。
「はい!皆の先生になったシェンです!シェン先生って呼んで下さい!」
先生は丸メガネを掛けたアメリカ人。
皆国や勉強する教科も違ったのに、全ての教科この先生が担当する。
魔導師や霊媒師に生まれた時点で普通の子とは過ごせない。
「見ろよ、最少年のSランク魔導師のアーサーだぜ?」
「アーサーってどこの国だっけ?」
僕は神だから全ての言語が分かった。
正確に言えば人の言葉が気持ちとして分かる。
アーサーは他の国からも知られるほど有名人らしい。
「かっこいい!金髪美少年、絵本に出てくる王子様みたい」
それにアーサーは有名人じゃなくても充分目立つ。
アーサーは噂をする人達にニコッと笑って神対応をする。
どうやらアーサーも言語が分かるようだ。
休み時間になればクラスメイト達が身振り手振りを使ってコミュニケーションを取っていた。
国や文化の壁が無いと言うのはこの事だろう。
「アーサー!わたし、知ってる!」
クラスメイト達が1番気になっていたアーサーの周りには円が出来ていた。
どこに行っても人気者だ。
カタコトの言葉を聞き取りアーサーは複数の言語と分かりやすい身振り手振りでコミュニケーションを取る。
「そっちの可愛らしい2人も同じ学校から来たの?」
クラスメイトは次々と僕とアリスの方を見る。
アーサーが同じ場所から来た者だと言ったのだろう。
「もしかしてどっちも彼女?」
「ははっ!こっちの白髪の子は男だよ?」
聞きたくなかった話まで聞こえてきた。
だがやっぱりアーサーにも欠点がある。
「アーサー、かっこいいよ!ねー!」
「···あ、あり、がと、う」
女子苦手。
アリスに対しては無くなってきたが···まだフォローが必要だ。
昼休み。
僕はアーサーとアリスと食事しに行く。
食堂はあるがこのユグドラシルでわざわざ食堂を選ぶ必要は無い。
学園の外に出ればあらゆる場所になんでも揃ってる。
そう、ご飯を食べるお店も。
「ここにしようか!」
向かった先はそば屋。
日本の食べ物、初めて食べるから楽しみだ。
「あ、カードで」
ユグドラカード。
ユグドラシルに住む学生だけが持つ身分証明書見たいな物だ。
このカードには自身の顔写真、指紋認証システム、そしてお金が入る。
指紋認証システムでカードを起動させ、お金は自身の銀行のお金と繋がっている。
それにお金は毎月10万入る。
なぜこんなに貰えるか?それは全ての国が関わっているからだ。
けど細かく考えない方が良い。
「本当に漫画の世界みたい···」
「悪くは無いが···七つの大罪が居ない」
アーサーは七つの大罪への復讐が出来なくてストレスが溜まっているようだ。
だが時間と友達がそのストレスを消してくれるだろう。
「あれ?確か···アーサー、アリス···ジャック、皆もここで昼かい?」
そば屋のドアを開けて来たのは担任のシェン先生だった。
「先生?そば好きなんですか?」
「いや、あまり食べたことがないから食べたくて」
シェン先生はそう言うとそばを頼み出てきたそばにがっつく。
「美味しい」
「先生、卒業の時以外にユグドラシルを出る方法は無いの?1日でも良いんだ···」
アーサーは少し考えるように下を向きながら言う。
やはりアーサーは復讐を急いでる。
「ないない!七つの大罪や暗殺者、それと···科学者達から守る為に造られた。万が一があったら大変だろ?」
「ですよね」
少し落ち込むアーサーを見てシェン先生は、
「まぁー、1日くらいなら···希望はなくも無いよ?」
「どういう意味?」
「さぁ?···そばごちそうさまでした」
シェン先生はそう言ってそば屋を出ていった。
その時のアーサーの目は何だか嬉しそうだった。
「あまり期待はしない方が良いよ」
「分かってる····分かってる。」
入学初日はそんな感じで終えた。
言語もまだ共通ではない為、入学式とかは無かった。
次の日。
僕は希望と幸せいっぱい持って学園に向かう。
学園は中学生と高校生が集まる。
小学校はユグドラシル内の違う場所にある。
「はい!この時間は魔導師の君達が将来身を守れるように魔法の訓練をします!」
教科に『訓練』と言う教科がある。
その教科は魔導師の子供、つまり僕達が自分や周りの者を守れるように魔法の使い方などを訓練する。
「それでは第2訓練場に行きましょう!」
学園内には訓練場もある。
文字通り訓練する場所、第1から第6まであり数字が大きくなるほど広くなる。
「体育館とか比にならねぇ···」
「訓練を担当するのは私では無くプロの魔導師の方です」
シェン先生は魔導師でも霊媒師でも無い。
その為、訓練を担当するのはSランク魔導師。
島に住む6人の魔導師が指導してくれる。
「中学2年の担当になったミハエルです。ロシアから来たSランク魔導師」
ミハエルと言う魔導師が僕達を担当するらしい。
なんともやる気の無さそうな人だ。
「え?ロシア1位の魔導師!?」
「そんな凄い人がなんでこんな島に?」
周りの反応を見たところあのナリで凄い人らしい。
「あの人凄いの?」
「凄い人、Sランクの反魔道士3人相手して勝った人だ。正直俺より強い」
アーサーよりも強い魔導師。
だがアーサーは興味無さそうだ。
「嬉しくないの?この人に指導されて」
「七つの大罪リーダーであるラースは俺の国のSランク魔導師を全員殺った男。奴に比べればこいつも俺も三下だ。」
「確かに、そう考えればラースって凄いヤバい奴だね」
「それに···ラース並にヤバいプライドとか言う神、あとジャックとか言う明らかに次元が違う神、俺以上に強い奴だらけで泣きそうだ」
「照れるな〜」
神である僕やプライドはともかく魔導師の世界で見たらラースの強さは異常だ。
実際にどれくらい強いかは見た事ないが実績だけ見たらダントツ。
「それでは、まず体に魔力を覆いましょう」
ミハエルがそう言うと皆魔力を体に覆う。
恐らく少し難しいのだろう、ほとんどの人がしっかりと体に魔力を覆えてない。
「ん?君···」
アーサーが魔力を体に覆うとミハエルはゆっくりとアーサーに近寄ってくる。
多分覆っている魔力量が多いから気になったのだろう。
だが、違った。
「君、魔力が安定してる···こんなに綺麗に流れる魔力は初めてだ」
ミハエルはアーサーでは無く僕の魔力を見てそう言う。
またやらかした。
「この子を真似して魔力を出してくれ」
おかげで視線が集まってきた。
「俺も教えてくれ。何かコツがあるのか?」
アーサーまで真剣な顔をして聞いてきた。
「体で呼吸する感じ?···嘘、本当はコツとか無い」
「いや、分かったぜ」
アーサーはそう言って深呼吸をする。
深呼吸と共にアーサーの魔力は静かに海の波が収まるようにように安定していく。
「さすが天才魔導師」
ミハエルはアーサーの魔力を見てニヤっと笑う。
そして嬉しそうに、
「上手く出来ない奴はそこの2人に教われ」
クラスメイトは次々と僕とアーサーの元に来てコツを聞きに来た。
だが僕は教えるのが下手っぴ、教えるのはアーサーの方が上手い。
「凄い、アーサー以外に素晴らしい実験体が···」
僕をどこからと見ている者がそう言った。
だが僕はまだこの者が何者で、誰なのか知らない。




