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苦手な方はご注意ください。

夏のホラー2020

猛烈超特急

 甘い臭いに誘われて、私はある屋敷に忍び込んだ。仲間からの情報によれば、この時間にはたくさんの甘いものが現れるらしい。噂をすれば、分厚い板の上にはチョコレートやビスケットが山ほどある。

 ちょっとばかし拝借して、地面をそろりと滑るように移動していた私は、溶けた飴が固まってくっついた、機関車に気がついた。

 とても敷地が広いので、屋敷の中には幾つもの駅や高架線、ビルが連立している。この辺りでは別に珍しいことではない。

 黒い機関車には、石炭が積まれているはずの部分に、照り輝く飴がこびりついていた。

 思わず手にしたビスケットの欠片を落とした私は、吸い寄せられるように機関車へと乗り込んだ。

 これも少しばかり頂いて、直ぐに立ち去るつもりだった。

 ふいに暗くなった空を仰ぐと、黒い雲が伸びてくる。大きな影が機関車を包むやいなや、恐ろしい速さで景色が吹き飛んだ。

 曲がりくねったレールの上を猛スピードで機関車は走り始めた。驚いたことに、急に止まったり、徐に動き出したりするものだから、私はしがみつくだけで精一杯だった。

 そして、私は目を疑った。機関車は線路から浮き上がり、宙へ舞ったと思うと、地面に向かって叩きつけられた。

 所々塗装が剥がれ落ちた車体から、命からがら私が逃げ出すと、地響きが近づいてくる。

「ちょっと、サトル!駄目でしょう散らかしちゃ。またこんなに汚して、掃除大変なんだから」

 やってきた女の巨人は小さめの巨人に対して何やら叫んでいる。

 私はフローリングに散らばった飴を回収して、ベランダへと向かう。しかしベランダへと通じる窓は閉められてしまっていた。

 いつの間にか巨人たちの姿はなく、代わりに見慣れない金属の物体が置いてあった。

 金属の物体から、突然白い煙が噴射され、私は目の前が真っ暗になった。

 昨晩に姿を見られたことが命取りとなった。(了)


ローチの繁忙期となりました



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