どんどんうるさい
トントン。
ちょうどよくだれか部屋に来る。
一瞬レオンの力が抜けたため腕の間からすり抜けて服装を整えてドアを開ける。
「ちょうどいいところに来たわね。入って頂戴」
「ええ、」
この子は私付きの侍女である。
可愛いところがまたかわいい。
何言ってるかもう自分でもわからない。
「ということで、殿下。話は終わりです。」
「ルーネ(侍女)が来たので出てってください」
そんなウルウルした目を向けても無駄です。さあ。
「なぜルーネがきたから出ていかないといけないのだ」
「話が終わったからですではさよなら」
「いやだ。俺はまだここにいる」
「お子様じゃないんですから」
困りました。
「さっきの続きまた今度するっていうなら出てぐ」
さあどうだろう。
「じゃないと出てがない」
「ルーネ。護衛騎士を呼んできなさい」
「はい」
◇
「読んでまいりました」
「ありがとう。そこの王子を私の部屋から出してちょうだい」
「はい。ですが王子に無理やりを強制すると私の立場が・・・」
「私の部屋なのだからそんなの誰だってわかってくれるわよね?ねえ、もしじゃあずっと王子が私と2人きりで、ずっとこの部屋から離れないとなったら私があなたをどうするかわからないわよ?」
「はい・・・」
しぶしぶ出してくれた。
「ありがとう。あとで特別手当を出すわ。」
王子の財布から。
そういうと護衛騎士はルンルンで帰っていった。
部屋にもカギをかけた。
ドアがどんどんされているのは気のせいね。
きっと気のせいだわ。
どんどん
どん
どんど
どんどー
どどどー
どどっどどどどどどどど
どどどどーんー
どんどん
どん
どんど
どんどー
うっせえ。なんかリズムに乗ってるところがうざい。
ガチャ。
「何の用でしょうか。護衛騎士の次は国王様を呼ばれたいのでしょうか」
「そんなわけないじゃん。俺が読んでほしいのは、お前に寝室にだけだよ?」
ガチャ。無言でドアをしめ・・・たかった。足を挟んでドアを閉めさせられない。
足でも踏んでやろうかな…。
と思うと無理やり入ってきやがった。
「ルーネ、録音機と国王様と護衛騎士を読んでちょうだい」
◇
わかっているルーネは録音機を最初に持ってきた。王子を何とか力ずくで出してまた鍵を閉めると
案の定どんどんしてきたので録音する。
どん
どんどん
これが4分間も続いたのだった。あと4分くらいつづいたら確実にやむにきまっている。
しばらくしてカチャカチャとした鎧が擦れ合う音と同時に足音が聞こえてきた。
護衛騎士と国王様だろうか。
ドアを開ける。
「お久しぶりでございます。国王様。突然で悪いのですが、この王太子様がずっと私の部屋のドアをノックし続けていて困っていまして。これ、録音してあります」
「それはすまないことをした。息子が悪かったな。代わりに息子を自分の部屋に閉じ込めておこう。」
「いえ、国王様が謝ることはありませんが、よろしくお願いします」
長く続いた攻防は、国王様によって納められたのだった。