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世界が紡ぐ物語  作者: きっしー
2/10

ダメ男スキー


「あんな男、私は来世でも要らない」


恋愛クズという言葉のルビは、高村千尋と書いてあるのが、もはや一般常識だ。

なのに世の中とはまた不思議なもので、被害者の数は減るどころか増えているんだ。

世界の七不思議はすぐ近くに。


今日は久しぶりの巻き込み事故に遭っている。

近所とは言え私立の高校に入ってからは、同じ学校の人は半分以下になって噂もそこまで回らなかったからかだいぶ減っていたのに、やはりゼロになったわけではない。

中学までは、一週間に最低一回はこうして事故に巻き込まれていた。

慰謝料だけで生活していけそうなくらい。

「桐島メイって、アンタでしょ?」

放課後の高校の校舎は日射しでキラキラしていて、日陰側のげた箱もうっすら明るい。

履き替えた靴をしまって鍵をかけ、今まさに帰ろうとしていた所を呼び止められた。

アンタ呼ばわりとフルネームで呼び捨ててる時点で、懐かしくも不快な予感一択だ。

掃除当番もなく、ホームルームが終わると同時に席を立つほど急いで来たのに、その時差も無駄に消えた。

「何ですか、」

わざとらしく左腕の時計を見ながら、相手を見据えた。

眉を吊り上げて腕を組む女子が前に一人、後ろに今にも泣きそうな女子とその肩を抱いて支える女子がいた。

全員茶髪で、全員ケバめの化粧をしている。

全体的に濃いフェイスカラーに、つけまつげはもう重ねづけが逆効果になって、目がしじみみたいだった。

手前の女子がボブにハーフアップで、薄いネイビーと白のストライプ柄のシュシュを着けていて、長さが足りないのかほぼチョンマゲにしか見えない。

後ろの泣きべそ女子はロングを低い位置ポニーテールにしており、もう一人はショート。ポニーテールと左腕にそれぞれ、チョンマゲ女子と同じ柄のシュシュを着けている。

仲良し三人組って感じ?

そんな主張するくらいのお揃いアイテムを着ける趣味がないからか、ポーカーフェイスのまま引いた。

うっわ、ダサッて。

「ちょっといい!?」

「良くないです。急いでるんで、」

「こっちは聞きたい事あるんだけど!!!」

いや、知らんし。

有無を言わさぬ空気を出してくるけど、人にものを聞く時は相手の都合も考慮するって、中学までで覚えられなかったのかな?

断ったら周りにも聞こえるくらい叫んでくるとか。

今度は嫌とわかるよう、深いため息をわざとらしくついて、髪の毛を書き上げた。

「じゃあ、三分だけね。本当に時間ないから、」

イライラしながら、某ヒーローが戦っていられる時間を提示した。

今日はスーパーでお肉の特売日なんだ。

その中でも、更に過熱するタイムセールを狙わなければならない。

数日前から、目的地までの最短最善ルートや対戦者とのバトルに勝つ為の作戦を考えていたのに、この三分が命取りになるかも知れないっていうのに。

牛ステーキが豚ステーキに代わるなんて、絶対にあってはならない。

「で?」

不満を顔に貼りつけたまま、チョンマゲ女子が舐めんなと言わんばかりに言った。

「高村千尋君、知ってるでしょ!」

「それが?」

「どういう関係か答えなさいよっ」

「ただ家が近所の幼なじみだけど、それだけ?

ーーーじゃあ、終わりね」

「何よそれ!そんなわけねえだろ!!バカにしてんのかよ!?」

チョンマゲ女子はチーク要らないってくらい顔を真っ赤にして、私の左肩を掴んできた。

ネイルが長くて、気持ち悪い。

眉間にシワを寄せて、イライラを目一杯前面に出す事にした。

「じゃあ、どんな答えが満足なの?私とあいつがそれ以上って答え?それ以下って答え?何言ったって満足しないでしょ。大体、あんた達、誰?名乗りもしないで不躾に失礼じゃない?」

「はあー!?信じらんない!この子はねぇ!高村君の彼女だから!先月やっと告って付き合えたのに昨日突然理由もなく別れるって言われて、可哀想だと思わないの!?」

いやいや、それこそ知らんし。

ってか、私のが謎に絡まれて予定潰されて可哀想じゃない?

「大人しそうに見えて、桐島さんって嫌味な性格だったんだね、」

ショート女子がチョンマゲにかぶせてくる。

いやだ私、めっちゃ可哀想。

千尋が別れるって言った理由が欲しくて、私の噂を聞いて濡れ衣着せて非難しようとするパターンか。

大きなため息をついて、左腕の時計をわざとらしく見た。

「私ねえ?あいつの幼なじみなのよ、生まれた時からの。今後の恋愛の為に教えてあげる。

千尋は昔からモテてはいたけど、昔から拒まないし追いもしない。でも、受け入れることもないから、追われたら拒む。

意味わかる?

それをわかってて付き合ったんじゃないの?まさか付き合ったら自分だけは違うなんて、夢でもみてた?今まで変わらなかったのに、変わるわけないじゃない、あんな恋愛クズ。

あいつは刺激物じゃなくて、ただの劇薬、毒にしかなんないから。

もっとまともな男探して、私を巻き込まないで。

ハイ、三分。

じゃあね」

校門までダッシュした。

言い逃げだって思ってくれても結構。

途中でポニーテールがボロ泣きし始めてたな。

バッカじゃないの、自業自得!

幼なじみから恋愛対象になることは世間じゃよくある話かも知れない。

でも、それが全部当てはまるとは思わないで貰いたい。

私は高村千尋が世界で一番大嫌いだ。

母を亡くしたあの時から。


「あんな男、私は来世でも要らない」


スーパーのタイムセールには、何とか間に合った。

牛ステーキも買えたし、他のお肉も安く手に入れられた。

重くなったかごをカートで押していると、ガムが右から勝手に入ってきた。

睨みながら右上を仰ぐと、放課後の事故の元凶がついでに買ってと子供みたいにけらけら笑っている。

「……荷物持ち」

「喜んでー!」

10キロのお米を運んで貰った。




サイトの便利機能がよくわかりません…(T_T)

文明の発達についていけない季節です(^_^;)

寝ている場所がエアコンの直撃を受けるので、お腹を壊し気味です。

そして間取り的に移動も出来ず。

皆様も、体調には気を付けてくださいませ。

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