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幻想見聞縁起  作者: silica
#01
7/7

#01-07 模擬戦終わらせてーっと

…また遅くなってしまった。そろそろ#1は閉じれるハズ

模擬戦が終わり、意見交流とかをする。あれは私が出せる手札が少ない状況だったとは言え、私のことを何度か殺せるタイミングがあった。もうこの世界において天井と言えるレベルだろうと思う。


にしても、とんでもない人ね、白雲水城。純竜のブレス120秒、即ち威力測定器を用いた場合600万ダメージを持ってしてやっと割れるレベルの障壁を秒間4枚割るなんて荒業をやるのは私でもほ、ね、が…。あ、まずい。楽にやりかねないのが割と思いつく。あいつら私と違って火力おかしいのよ。ミサイルだのレーザーだの爆弾だのを使って過剰飽和攻撃仕掛けたり、一発で億単位の火力叩き出したり…。まあそれはおいときましょう。


「絢波さんが最後に使ったアレはなんだったんですか?盾や障壁が意味を成してなかったのですが」

「ああ、あれね。あれは別に首や関節を切ったわけじゃなくて、頭と胴体と四肢が離れているという状態に、五体満足な状態から書き換えているのよ。で、その結果首が落ち、四肢がバラける」

「それ、対処のしようがないですよね?」

「うんにゃ。コストが高いし発動に時間掛かるし下準備が面倒だしで刺さる時しかささらないしモチーフに似せる必要があるし、これが飛んでくると知ってる相手だと情報強度を上げて改変しづらくするとか、下準備させる時間を与えないとか、モチーフを逆探してそれを準えないようにするとか、対策は打ち放題ですよ。今回のだったら、鎧脱いだ時点で『箱』が崩れたので不発だった筈ですし」

それに、『誓い』が必要だし。力を求める強い願いとも呪いとも言えるものを常に持ち続けることになるから、求めないのが吉。いや、それは蛇足か。

「私としては、イナグザシティブル・ガリダの概要は分かったけれども、どう潰したのか気になるのですが」

「そうは言っても、凄くシンプルですよ。大きい亀型のモンスターなので、装甲に大穴開けて、突っ込んで、腹に爆雷仕掛けて、焼き上げるだけですよ」

「間違い無く、弾け飛んでましたよね?」

あらあら、割とお茶目ですね水城さん。

「ええ。その欠片はこんがり焼けてて美味しかったですよ。まあ、亀肉そのものでしたが」

あ、違ったわ。この人も頭逝ってる方だわ。


閑話休題


「で、いつ迷宮に向かうのですか?」

「予定としては明後日ですね。適当に基本的に3人以上8人以下で1戦闘単位を自由に組んで貰いたい所ですね。まあ例外としては貴方と剱岳さんはパーティーを組まなくても良いです」


まあそんなところでしょうね。セオリーは最小単位が近攻1魔法1盾1、魔法は弓と、盾は近攻と変わることありだった筈。安定で言えば主盾1副盾兼副攻1索敵1魔法1回復1近攻2遠攻1の8人体制だったかな。まあ結局盾1剣2魔1くらいに落ち着きやすいらしいけど。


「それと、付き添いとして私と、水城さん、さらに1パーティーに聖騎士1名が入ります」

となると、そうそう事故は起きないでしょうね。白雲に神凪はどちらも結構強いし、騎士も3人1組で純龍を屠れる戦闘力を持つし、問題は起きづらい筈ね。

「分かりました」

納得したため、クラスの人達のところに戻る。


◆◆◆◆◆◆


「はい、皆様お疲れ様でした。これから二日後に迷宮に行きますので、其れ迄僅かな時間ですが王宮内にて休息を取ってください」

それと共に、結界が解除される。そう聞いてテンションの上がったクラスの人達は我先にと訓練場を出て行く。私もその流れ乗って部屋へと帰る。


部屋に辿り着くと扉を閉め通知式鍵を構築、施錠する。更に結界を張ると簡易炉を設置、完璧な鍛冶屋セットに部屋を改装しつつ、元の環境を空間に記憶させる。こうして、中で鍛治やってるとは気付かれないようにしてから、作業に入る。


「取り出したるはー、銀。さーらーに呪符、珠、委蛇の眼球、縊鬼の魄」

依頼にあった剣を作る。素材は概ね持ち込みだから問題ないとして、さてさて、どう組み立てたもんか。といふ事でまず仕様書を取り出す。

「即死系、ね。刃を抜いた瞬間から死の幻覚を叩き込み、刃が触れた瞬間に自殺衝動に駆られる感じかしら」


ただし、問題一つ。これをそのまま作ると使い手に確実な死を齎す呪器になる。で、仕様書だとー、反動無しに扱えた方が良い、のね。

「流れてくる呪いを受けるか返すか。いや、返したら誰も近づけない妖刀になるわね。となると受け止める形でー、いやそもそも呪いを蓄積させるか。剣、というか大刀だとすると、鞘で封じてしまうか」

刀にきっちりと魄と眼球を組み込み、柄にその怨念を貯蓄、単なるエネルギーとして射出し飛び道具としても使えるギミックを仕込む。それでも漏れて来るエネルギーを鞘で封印する。これでデメリット無しの武器になるわね。


 まずミスリルを鍛錬する。手持ちの素材は基本的に最良のもので揃えている為選別はスキップし、ミスリルをセットする。沸かしてあった大槌で打って鍛接、鏨で折り返し、槌で打って鏨で返す。それを縊鬼の魄と混ぜつつ繰り返して良くなると次の段階へ移る。

 鍛接&沸かし延ばしで素延べ・火造りをこなして行く。叩いて延ばして叩いて延ばして、形を整えて行く。大体二尺五寸程の長さになると先端を峰側に三角に切り出し、小槌で刃から峰までの形を整える。その後縊鬼の魄を含む鑢や砥石で荒く整形する。

 そして委蛇の眼球の灰を含む焼刃土を塗り、焼き入れる。火が通ったタイミングを見計らうと、縊鬼の魄と眼球の魄が溶けた聖水に漬け、冷却する。

 一通り出来ると仕上げの段階に入る。まず呪詛を含む鑢を掛け、形を整えるとともに雑念を削ぎ落とす。そして呪符を順番に貼り付け、馴染ませる。1枚目で全体に生命力及びその変換物を通すための支脈を通す。更に2枚目で所有者からの生命力を含む呼び掛けに応える仕掛けを、3枚目で呪いが許可なく外部に飛ばない様にする。ここまでが制御部であり、是等を行わないと単なる無差別殺戮刀になる。

 

 次、4枚目で柄の部分に委蛇の眼球を埋め込み固定する。5枚目で刀身全体に委蛇の能力を展開する。最後に6枚目でこの大刀の呪いを全て増幅させる。そこまで行い、全てが馴染むと刀身は黝く染まっていた。その剣を更に研ぎ、美しい黒に仕上げる。磨きあげると柄に沙羅双樹の樹皮を巻きつけ、更に呪符を貼り固定化させる。その上から柄に握りやすいように布などを巻き、鞘をつける。鞘には徹底的に内側に呪いが篭る様に篭る様に、呪符を貼り付けていく。全工程を終えると、最後に組み込んだ呪いを更に馴染ませる。


 「狭霧、何作ってるのかしら?」

遙に問われたので何と答えようか少し迷う。

「あら、遙の目は見て分からない程節穴なのかしら?」

結論、ちょっと煽ってみることにした。

「分からないというより、鑑定スキルを起こしてシステムから情報を引き出しても、銘、品質、クラスに僅かは解説だけで、大量に籠めた筈の呪いが見えないのよね」

「まあ、そういう風に鞘を作ったからね。鞘を抜くと、見える?」

「鞘から抜いた瞬間に情報が増えたわね。でそれ依頼品なのよね?そんな物騒なもの渡していいのかしら」

まあ確かに悪用されたらかなり不味い代物ではあるけれども、問題無い。

「これの依頼者は雲母のとこだから、まあ悪用はしないでしょう。曰くこれ対人用ではないらしいから」

「というと?」

「なんでも、死んだ事に気付いていない、認めたくない亡霊を説得する時の最終手段として、これを用いてその亡霊を斬ることで、その前がなんであろうと本人の意識に一度死んだことを刻み付けるんだってさ。自分で死んだ自覚がなければ冥府へとその魂を送り届けれないから」

「ふーん。そういうこと。だからその銘なのね」


鑑定結果

==========================================

銘:告別ノ大刀

級:伝説級

説:銀を主として作られた直刀

=========================================== ===========================================銘:告別の大刀

級:伝説級

説:銀を軸に委蛇の眼球と縊鬼の魄で作られた直刀。その刃を見た者は強烈な死の幻想を抱き、その刃に触れた者は死へと誘われる。その力は月の運行と共に強くなる。月のある夜にこの大刀と対峙する者は努努忘れぬが良い。己を殺す者は第一に、己であることを。

===========================================


ふんふん、【神の命令】の名を冠したことで更に強力になってる感じか。新月は死へと誘い、満月は人を狂わせる、と。

「それ、届けましょうか?」

「いや、いいよ。自分で行くわ。それにこれと全く同じ大刀をもう一振り作るから、今持って行かれると困るのよ」

「あらそう。じゃあまた帰るわ。adios.」

そう言うと、また音も無く遙は転移していく。それを尻目にさっき使ったのと同じ材料を取り出し、全く同じ作業を行いながら魔術を起動する。先程の状況を今に重ね合わせて自動作成モードに入れると、寝台に入り、眠りについた。


 翌日、朝目が覚めると、まず鍛治道具一式を撤去し、普通の部屋へ戻す。その後身代わりの遠隔操作式人形を設置し、それを私と思い込ませるように魔法を掛ける。そこまで整えると、不確定性原理を利用した転移魔法を使う。


雲母姉妹の家の前に転移すると、ノックする。

「はーい、何方様ですかー」

「私だ。…いえ冗談です、依頼の大刀が完成したので持ってきました」

「裏口にて受け取るので、其方へ回ってください」

やっぱし表門からは敷居を跨がせないらしい。まあ私の位置付けが来客ではないからでしょう。それはさておき裏口へ回ると、既に扉の前で三姉妹の長女、雲母夜月は待ち構えていた。

「ようこそ、絢波。で剣は?」

「そんなに急がなくても私は逃げないわよ。でこれが依頼品の大刀ね」

そう言いながら告別ノ大刀を手渡す。

「銘は告別ノ大刀。見ての通りの真ッ黒な大刀ね。鑑定スキルの系統には鞘が付いている限り銀製の大刀としか表示されないようになってるわ。でその能力のメインは『死相幻視』と『創死葬愛』、『碑翼漣離』。効果は『死相幻視』が刀身を見た者に強烈な死の印象を与える、『創死葬愛』が刀身に触れた者の死を創り自己愛を葬る、要するに自殺衝動を発生させる、『碑翼漣離』が墓碑の翼は漣の如く離れる、要するに遠距離に死の呪いを叩き付ける。全て消費はかなり軽いアクティブな能力だからまああまり注意する必要はないけど、パッシブではないから、気をつけて」

 そう言いながら2枚程の紙でできている仕様書を手渡す。

「助かる、これでこの先亡霊を冥府に送るのが少し楽になるわね。これが代価ね」

そう言いながら、100枚程の呪符と呪布1反、玉1kg、儀礼用の特殊短剣20を受け取る。

「これで良いのかしら?もうちょいだしても良いのだけど」

「問題ない、寧ろ貰い過ぎぐらいに思ってるから。というか私的にはまだ借りを返済しきってないし。じゃあそろそろ帰るわ」

 再び自分の位置を不確定にすると、私の人形がある場所に転移する。


部屋に戻ってくると人形を撤収し、備え付けの調度品でお茶を淹れ、美味しく紅茶を蜂蜜と共に味わった。

色々おかしいのは仕様です。…治るかは…

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