#01-02 第1、此処は何処?
取り敢えず2つ目。無軌道かつ不定期だけど宜しくお願いします
from=royal places time=0825 august 15th
光が消えると、見慣れた教室とは別の場所になっていた。私は自分の鞄が手元にあることを確認し、安堵する。私自身にとっては前の世界に殆ど思い入れが無いが為そこまで慌てたりしないが、同級生には色々あるだろうと思う。そうすると案の定、騒ぐ人が出た。
「ここどこ。」「今何があったの。」
私はそれを冷めた目で見ていると、予想だにしなかった場所から声がかかる。
「勇者の方々。ようこそ私たちの世界へ。」
声に反応してそちらを向くと、祭壇の上に神官らしき人が立っていた。その人は続けていう。
「言葉に関しては貴方達と同様なので心配はありません。ここでは説明し難いので、こちらへ。」そう言いながら神官は指を鳴らす。その音と同時にメイド達が現れ、案内して行く。実物の美少女メイドに見惚れるものを尻目に案内について行く。
移動した先には明るい雰囲気の大広間に長机が二つ並んでいた。他の人が順次座っていくのを見て、私は目立たないように隅の方に座る。その奥では神官らしき人が王らしき人へ礼をする。その人は頷くと立ち上がり言った。
「私がこの国の王、東雲夕凪である。そして此方の神官が神凪夕姫だ。」
「先程紹介にあった通り私が神凪夕姫です。この世界は便宜上名称をテラとする俗に《剣と魔法の世界》と呼ばれるものの一種です。貴方達は私達が魔法によって召喚いたしました。その目的は魔人族、ひいては魔王に対抗することです。今現在私達人間は魔王によって存亡の危機にあります。その現状を打破するために神の託宣の許《異界の勇者》、今回における貴方達を召喚しました。そして最後にとても残念なお知らせなのですが、貴方達を送り返す、帰還させるための手段を私達は持っていないので現時点での帰還は不可能です。故に帰るためには自力で帰るか、我らが神の目的、すなわち魔王討伐を行うことと引き換えかとなります。」
その台詞が紡がれるとともに一気に騒ぎが拡大する。
「ああ。誤解しないでいただきたい。我々とて貴方達を苛めたい訳では無いのです。ただ生き抜くために我々の持たない力を持つ貴方達の力を貸して頂きたいのです。ただ、貴方達にも考えがあるでしょう。なので明日まで待ちましょう。その間にどうするのか決めてここで報告していただきたい。今から部屋に案内しますので、そちらで考えてください。動くことは基本的に自由です。また、昼食、夕食は部屋に届けさせます。」
夕姫はメイドを呼び出し案内をさせた。
from=private room of royal places time=0900 august 15th
狭霧は誰もいないことを確認したのち、リュックの中身を点検する。動作確認も行い、転移による損傷がないかチェックする。それを終えると彼女は唯一の心残りたる深雪に思いをはせつつ部屋を出る。首元に掛けたロケットを握りつつ、気持ちを一つにする。
「行ってきます」
from=uncertainty time=1000 august 15th
深雪は先日占ったことが現実になったことを確認する。それと共に何処から召喚されたのか、探る準備を整える。そして雫を象ったネックレスを握り、心を整える。
「どんな場所に居たって、どんな姿だって、どんな時代に居たって見つけ出す。京華、頑張るから」そして扉に手をかけ、家を出た。
from=meeting room of royal places time=0930 august 15th
右手の時計を覗き、9時半になったことを確認すると、少年が立ち上がり言った。
「全員あつまったな。じゃあ、これからクラス会議を始めます」
それに反応して少女が声を上げる。
「絢波さんがいない。なんで?」
「絢波さんはさっき来て遅くなるから先に始めてるように言っていた。」
「ならいい。それで議題はなんなの?雨宮」
「そのまま魔王討伐をするのか、それを切って帰還方法に絞るのか。それを決めるつもりだ」
「帰る選択肢は?」
「あの話し振りだと無いと思う。それで全部放って帰るのを目指すか、魔王を倒して神様にお願いするか、という話。俺は魔王を倒すべきだと思う。自分で探してもいつになるかわからないし、なんとかする力を持つのに困っている人を放っては置けないからだ。みんなは?」
その問いにそれぞれは考え込む。
少し経つと共に決心が決まったらしくバラバラと賛成の意見が上がる。
「みんなの意見も決まったようだし、多数決を取ります」
そう雨宮が言った直後、扉が開き綾波が入ってくる。
「遅れてすみません。それでこの王宮の簡易的な地図を作ってきました。でどう言う話になってるの?」
絢波の問いに雨宮が答える。
「ああ、今魔王討伐をするかしないかで多数決ってことになってる。絢波は決まってるのか?」
「問題ないよ。取りましょう」
促され改めて雨宮は多数決を取る。
「魔王討伐をしようと思う人は手を挙げて」
そう言われとバラバラと手が上がり、最終的には洗脳でもされたかのように全員の手が上がる。
「じゃあ決定で良いな。報告に行ってくる。解散」
そういうと雨宮は神凪のところへ向かう。その他の面々もそれぞれ自室へと戻っていった。
from=shrine of the ■■■■(In the royal places) time=■■■■ ■■■■■■ 15th
彼女は薄暗い廊下を歩き祠へと向かう。その空間の明るさは尋常ではなく暗いが足取り確かにまるで見えているかのように進む。
その先はカンテラ三つ吊るされただけの暗い空間に祠が祀られていた。そしてその祠の前に先客がいた。そこに居た少女は歩いてきた少女を見ると手を振り、呼びかける。
「やっほう、『生き残る破壊者』元気にしてた?」
そう呼ばれた少女は返事をする。
「こっちは元気よ。そっちは?『運命の繰り手』というか久しぶりね」
「まあそうね。と言っても高々三カ月。かれこれ800年にもなる付き合いから見るとそこまで長くもないでしょう?」
「というか『無謀なる守り人』はどこに行ったの?」
「なーんかあっちはあっちでドタバタしてるようよ。『生き残る破壊者』も自由に、年相応の生き方をすればいいんじゃないかしら」
そう言いながら『運命の繰り手』は『生き残る破壊者』に地図を手渡す。
「昔来た時との変更点をメインに描いてあるわ」
「Thanks. kwskongi.(詳しくお願い)」
「iy,htonmndkskntkrt,binotsnktmiizni.(いや、本当に面倒くさくなったからって母音落とさなくてもいいじゃない)余計面倒でしょう。んで、追加された隠し通路の類を書き足してあるわ。他人に見せる時はその手の奴を抜かして書き写すようにしてね。」
「ryki.(了解)。んじゃまた」
そう言うと『生き残る破壊者』は元来た道を引き返していった。