第六話:ギルド…?
ようやくベルデルの街に入れた…
っていうかあそこの受付長すぎる…
一パーティーにつき30分とかやばいって…
しかもニワトリとスライムはペット宿というところにつれてかれてしまったし…
まあ仕方ないな。
そんなことを考えていると、デメトリオが話しかけてきた。
「悪い、俺が帰ったことを領主様に知らせなきゃいけないんだ。1時間ぐらいひまを潰しててくれ。」
そういい残すと俺に傘を渡して行ってしまった。
何というか、そそっかしい人だなぁ…
まあ、せっかくひまをもらえたし、すこし観光でもしますか。
ん?強面の男がこっちに近づいてきた。
「おい、そこのガキ」
ん?誰のことかな?
知らんぷりして通りすぎようとする。
「お前だよ、お前!」
小前さんですか、知りませんね。
「お前、俺のこと馬鹿にしてんのか!?」
いきなり殴られる。さすがに避けられないのでおとなしく防御する。
痛い…
「やっぱ所詮ガキか。おい、これ以上殴られたくなかったら金だせや。」
ええ…なんで第一エンカウントがカツアゲなんですかねぇ…
ちょっとやってみるか。
そう思って、息を吸い込んで大声をあげようとしたとき
「ベルデル自警団だ!街中での恐喝、暴行で逮捕させてもらう!」
おそらく街の人が呼んだであろう自警団が駆けつけて来る。
「ちっ!」
大きく舌打ちして強面の男は逃げて行った。
「至急連絡、南門方面へ容疑者が逃走中、大通りを通っているので捕らえよ。」
トランシーバーらしきものに何か呼びかけた自警団の人が近づいてきた。
「大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。」
「何か被害などはありましたか?」
「いえ、何もないです。」
「了解です。では、私はこれで失礼させていただきます。」
そういい残すと走り去って行った。
調書とか書かないんですね。
意外と雨の街ベルデルって治安悪いみたいだなぁ。
すこし気持ちが暗くなる。
いやいや、気持ちを切り替えよう!
ふと、周りを見回すとギルドの文字が看板にかかれた場所があった。
文字も日本語に見えるのか…よかった。
入ってみるか。
近づいていってドアをくぐる。
入った先はとても綺麗だった。
整然と並んだベンチ、ゴミ一つない床。
清潔だと言いたいところだが、左奥の扉から肉と酒の臭いがする。
後でっかい笑い声。なるほど、あえて分けることで
治安を守っている訳ですな。
右は…?あ、依頼受付カウンターがあるな、すこし見に行ってみるか。
ボードに依頼が張り出されていた。
・ブラックドラゴンの討伐
・キメラの討伐
・ケルベウス討伐
なんてものから
・アルバイト
・掃除
までなんでもある。
しかも多い。驚きながら見ていると、ふと自分のとなりにいた女子が立ち上がった。
年は自分と同じぐらいだろうか。
そしてそのままカウンターへと近づいていく。
「お願いします!もう一度あの依頼を受けさせてください!」
おお、ビックリしたなぁ!急にでかい声あげるなぁ…
「残念ですが、パーティー人数が足りておりませんので…集めてからまたお越しください」
それに対して顔色一つ変えずに平然と受け流す受付嬢。
それを受け、なぜかキョロキョロと周りを見回す女子。
そして、きっとこっちを見たとき目が光ったような気がしたのは気のせいじゃないだろう。