第四話:現状把握
説明回です
「「コケコッコー!!」」
急に耳元でニワトリの鳴く声がした。
驚いて目を覚ます。
声がしたほうを見るとなんだか誇らしげなニワトリがいた。
なるほど、ニワトリにとっては誇らしいことなのか…
っていうかまだ日が出始めた頃だ。
これぐらいに起きるのは久々だなぁ…
まあ、そんなことより隣にいる怪我人を起こさなきゃ。
っていうか今の声でも起きないとか、どんだけ眠かったんだろう。
ゆらゆらと体を揺らすと簡単に目を覚ました。
「目は覚めたか?」
「……ああ、ありがとう。」
日本語に聞こえる…よかった。
これで完全に異世界の言葉だったらどうしようもなかった。
そんなことを思っていると急に怪我人がこちらを向いてきた。
「改めて、礼を言う。俺はデメトリオという。召喚勇者御一行の教育係だ。」
勇者いるんだ…っていうか教育係ってなんだ?
子供なのか?
まあ名乗られたら名乗り返さないとな。
「十条陽という。異世界人だ。」
「異世界人…なるほど、道理でこんなところにいる訳だ。」
異世界人=変人的な扱いなのか…
マジで何やってんだよ他の異世界人…
「まあ、それはいいから朝飯を食べよう。」
そういうと相手も頷く。
「どれが食べられるんだ?」
「これだ。」
そういってデメトリオはイチゴっぽい奴を指差した。
イチゴと違うのは実の大きさ。
ここのはすごくでかい。それをデメトリオは持ち上げてはかじりついてる。
多分重過ぎて持ち上げ続けられないのだろう。
「なんて言う名前なんだ?」
「イチの実だ。異世界人が名付けたらしいな」」
異世界人、ネーミングセンス無さすぎやろ。
いろいろ聞いてみるか。
「すこし聞きたいことがあるんだがいいか?」
「ああ、いいぞ。」
「この世界の地理を教えてくれないか?」
「分かった、まず今俺達がいるのはデン大陸。人間と亜人の大陸で、お互いに平等な生活をしている。
次にライ大陸。これは魔族の大陸だ。そして残り二つの大陸は完全に未開の地だ。
そうそう、東の方にニホンとかいう島国もある。」
ニホン?偶然とは思えんな。
この世界は奴隷システムがなくてよかった。
その後もいろいろなことを聞いた
~それからすこし後~
「陽で、いいよな。実は俺、本国に戻らなければならないんだ。できればもう少し長くいたかったけど、規則なので仕方がない。世話になった。ありがとう。」
え、早くない?
このままほっとくと行っちまうな。
「待ってくれ。頼みがある。」
「なんだ?」
「俺もその街へ連れていってくれ。」
「もちろんかまわんが、あまりお勧めはしないぞ?人がたくさんいるし。」
いや、俺は別に悟り開いてる訳でもないから大丈夫だけど…
「いや、大丈夫だ。」
「そうか、出来れば早めに出発したい。大丈夫か?」
ニワトリの方を見ても特に問題なさそうだ。
「ああ、大丈夫だ。」
「分かった、じゃあ行こう。」
そして、俺達は移動を始めたんだ…