第十四話:崩壊
「なっ…」
思わず言葉を失う。
「笑えるぜその顔。それにしても、まさかここまで馬鹿だとはなぁ…。普通、もう少し勘繰りをするもんだぜ、
陽。それにしてもこの気候は便利だよなぁ…周りから見ると煙が雨雲に見えて怪しまれない。」
デメトリオがさぞ愉快そうに話す。
俺は、裏切られたのか…
「ああん?はっ…今更気づいたのかよ。俺は五芒団五つ星の「デメトリオ」だよ。
全く、ここまでお前が馬鹿だったとはなぁ…まあいい。まずは聖棒の勇者から潰させてもらおうか。」
そこまで言われてふと気づく。
聖弓の勇者がいない。
まさか途中ではぐれたのか…
「言葉もないってか!じゃあさっさと死ね!火炎魔法「フェニックス」!」
デメトリオの手にあったルーンが輝き、火が出る。
その火が鳥へ姿を変えた。
「じゃあな!愚かな勇者!「バーニンクファイヤー!」」
フェニックスがこちらへと猛スピードで突っ込んで来る…
ああ、短い人生だったな…諦めて目を閉じた。
しかし、来ると予想としていた炎は来なかった。
「…まさか裏切るとはなぁ…リューク。」
その代わりに、目の前にリュークが立っていた。
「この子は殺させません。陽さん、行ってください。」
「え、でも…」
「いいから行ってください!」
行くべきだと判断して森の方に走り出す。
逃げなきゃ…
ベルデルの町西門
「リューク、どうしてあいつに肩入れするんだ?」
「わかりません…ただ、そうしたいからそうするだけです。」
「なるほど、理由なんてないと…お前らしくもないな。まあいい、お前がそうするのなら、こちらも全力で迎撃するしかあるまい。」
「望む所ですよ。」
こうして、五芒団、リュークVSデメトリオが始まった。
陽側
ふがいない自分が情けない。
もっと疑っていれば、もっと怪しんでいれば…
そんな思いとめどなくあふれて来る。
今日ほど無力を悔やんだ日はない。
さっきのことを思い出すたびに、辛くなる。
ベルデル側
ドンと大きな音がしてリュークが倒れた。
「所詮デメトリオ様には敵わないってことだよ。」
デメトリオがリュークの死体に向かって唾を履いた。
そして、そのままデメトリオはドコカに歩いて行った。、