第十二話:戦闘
マンドラゴラがたって追いかけて来るというだけでも恐怖なのに、何故か森中の魔物がこちらに近づいて来ている。陽は、過去を思い出して馬鹿な自分を攻めていた。
というのも…
復旧が終わった次の日、マンドラゴラを取りに聖弓の勇者と行ったんだ。
そこで、偶然にもマンドラゴラが大量に生えているところを見つけたんだ。
聖弓の勇者が防音魔法を持っていたので、それを使って引き抜いたまではよかった。
しかし、マンドラゴラが急に叫び声、といっても口の様子から判断したのだが…
をあげると、周りにいた魔物が何故か集まってきたのだ。
一瞬嵌められたのかと思ったけれど、聖弓の勇者が驚いていたのでその可能性は捨てた。
そして、俺は全力で走り出したのだった。
「ちょっと…待って…速い…」
後ろから聖弓の勇者が息を切らしながら陽に話しかける。
いや、止まったら死ぬでしょ。
とりあえず無視しようか。
突然前に何かが立ち塞がった。
それを見上げると、すぐに何か分かった。
オーガ!
鬼!
なんというかまさに鬼のような表情でこちらを見下ろしている。
前にはオーガ、後ろには魔物の群れ。
まさに絶体絶命という奴で。
けれどもここで諦める訳にはいかんので、
「聖弓の勇者、後ろは任せた…聖棒!」
「了解!」
相手の声が聞こえたのでとりあえずは大丈夫だろう。
さて、とりあえずこいつを倒さないとな。
まずはあれをかますか…
「神速突き!」
ドン!
「ウガァ!」
痛みを感じたのかオーガが暴れ出す。
固い!鋼で出来ているのかと思うレベルだった。
これはどこか別の部分を狙う方がべきだろうな…
目?
思いっきりジャンプして
「百烈突き!」
「グゥッ」
首近くを狙った連続突きは何回か目に当たり、オーガを怯ませた。
相手は今手を使って目を押さえている。
たたみかけるか…
姿勢を低くして後ろに回るとアキレス腱を狙って
「神速突き!」
しっかりと狙ったところに突きが入り、オーガがバランスを崩して倒れる。
人じゃないから通じるかどうか不安だったけど、通じてよかった…
いや、まだとどめをさしていないからな…
ふと、倒れているオーガを見る。
筋骨隆々なのと、角があるのを除けば人間と大差ない…
俺に、そんなモンスターを殺すなんて出来るのか…?
駄目だ…悩んでいても答えは出てこない。
こんなことを考えるひまがあるなら、群れの方に参加すべきだろうな。
そう考えた陽はくるりとむきをかえ、聖弓の勇者の援護に入ったのだった。