第十一話:違和感
あっつ!
思わずそう叫びたくなるぐらい復旧作業は暑かった。
雨が降っているから寒いと思っていたけどその分湿度が異常に高いことを忘れていた。
汗を拭いながら作業を進める
「兄ちゃん、若いのに根性あるな!」
隣の人に声をかけられる。
確かに一時間半程度作業をやっていたが…
「いやー、この街の若いもんと来たらすぐにバテちまうって言うのに。すごいなあんた。まあ、俺だってすぐにバテちまうんだけどな。」
そういって隣の人は大きく笑った。
つられて自分も笑う。
そんなに長く作業をしていた覚えはないんだけどな…
せいぜい1時間がそこらだろう。
それが長いとなると…よっぽどこの世界の人は暑さに弱いんだろうか…
いや、この街の人だけか。
別にたいしたことじゃないな。
そう思って作業を再開する。
「陽、お客さんだぞ。」
デメトリオが話しながら後ろを親指で指差す。
そこには聖弓の勇者がいた。
道具を床において近づく。
「昨日はありがとうございました。」
まずお礼。
「いえ、こちらもパーティーを組む相手の強さについてしれたのでよかったと思います。」
そういえばパーティー組むって話をしたなぁ…
「そういえば依頼っていつやるんですか?」
「この街の復旧作業が終わってからにしようかなと思っています。まだ五芒団に襲われたときのための体制が整ってないと思うので。」
「なるほど」
確かにこのままいけばまたこの街は狙われるだろう。
それを防ぐためにも選択は理にかなっていると思う。
あ、マンドラゴラについて聞かなきゃ。
「すいません、マンドラゴラについて教えてほしいんですけど」
「ああ、そうでしたね。まずマンドラゴラとは…」
すこしの間マンドラゴラ講座を受けた。
それによるとマンドラゴラは
・成長しきるとゴブリンのような見た目になり暴れ出す。
・抜くときにあげる叫び声を聞くと死ぬ
・土に埋まっている部分は顔のようで気持ち悪いらしい。
つまり、マンドラゴラを手に入れるには、
・どうにかして叫び声を聞かずに抜く。
・倒す。
・持って帰る
の三ステップが必要ということになる。
というか、どう考えても気持ち悪い見た目しか想像できない。
どうしよう。
抜く前から気が滅入って来たんだが…
でも、引き受けたからにはやり遂げるべきだと思う。
でもなあ…
そんな二つの思いの中で揺れ動きながら、
その日を過ごしたのだった。