東京ドーム
「東京ドーーーーーム」
「ワァァァァァァァァァァァァァ」
僕の叫んだ言葉を起点に、悲鳴に近い歓声が場内に響き渡る。
暗闇の中、僕だけを照らすスポットライト。
辺り一面を埋め尽くす緑色のペンライトが左右に揺れ、それは風に吹かれた草原のように波打つ。
僕の手に握られたギター、ファイヤーバードから放たれる歪んだ爆音と同時に、ステージから場内を一望出来る程のまばゆい光が解き放たれた。
草原を揺らす正体がオレンジの光で照らし出され、改めて僕はそれが人だと認識する。
「オン・ギター レイタぁぁ」
露出の多い黒の衣装を身に纏った綺麗な女性が、透き通るような声で僕を紹介する。
客席、アリーナの中心へと続く花道。
名前をコールされた僕は、そこへ導かれるようにギターを握ったまま走り出す。
僕がそこへ到着すると、この空間は僕を照らすスポットライト以外の光源が無くなる。
辺りは闇に包まれ、僕の立っているここからは人々の表情は伺い知れない。
だが、彼らの視線が僕へと集まっている事だけは何故か理解出来た。
四方八方から僕だけを照らす光。
僕の影が一切無くなり、僕が奏でるファイヤーバードの歪んだ音と歓声だけが存在する世界。
ピンと張られた2弦の15フレット。
僕の左手の薬指が、そこをゆっくりと持ち上げる。
キュイィーーーーーーーーン……… ィィン……
「ワァァァァァァァ」
やまびこのように木霊するその音に、またも悲鳴に近い歓声が聞こえる。
その歓声、ギターの音色に酔いしれ僕はギターを高く掲げ目を瞑る。
出てくる言葉(・∀・)
ファイヤーバード ギターの種類 ギブソンファイヤーバードが有名