初登校2
素人なので甘めに
大きな扉の前、とても錆び付いているように見える。不気味だ。普通の廊下から、この異様な扉が現れた。手のひら返しをしすぎて腕が切れそうなぐらいだ。そのぐらい、それは異様だった。そして中から聞こえるのは怒号、そして、強気になったり、弱気になる声。今、この中では、異様な光景な中、言い合いが行われているのだろう。恐ろしい。
だがそのような心の中でも興味、好奇心はある。
そして、興味や好奇心は時に人を無意識に動かす。
恐怖に知的欲求は勝ち、理性をも凌ぎ、一人の少年は周りと協調性の無い扉を開ける。
中は、異様だが、予想どおりの言い合いがおきていた。言い合いが起きていたが、起きていたのだが、内容がおかしい。
学生と先生が言い合う話ではない。戦争の話ではあった。だが、論点がズレている。平和のこと、戦争全体の反省のこと、安全のことなど今後に向かって話すべきことはたくさんある。だが、それとは違う。話していることが。
会話の内容からするに、作戦のことについて言い合っている。「兵站がダメ」「兵器がダメ」「指導者がダメ」「政策ダメ」などという内容だ。
平和と戦争について教育者としてではなく、担任は1人間として、別の意味で教えている。
そして、わたしは、奴等に見つかった。
担任は咳払いを一回してから私に声をかけた。
「あなたはここで何をしているのですか。」と。
とても低く、獣が威嚇するときに使う、威嚇するための声とそれは似ていた。
「私としたことが、生徒と議論するうちに興奮してしまったようだ。」
と独り言のように言った。
「先生、もっと話しましょう。今まで私と話したように。そこにいる人も加えて。とても楽しそうに喋っていたのにもうやめてしまわれるのですか。演説をしているみたいに声高らかに自分の意見を言い、言葉の抑揚、主張し言葉にしているその言葉の選び方、そしてジェスチャー、すべてのタイミングが素晴らしく揃い、的確な言葉と熱意を持った弁論でおしゃっていたではありあせんか。先生が話し出した瞬間からこの部屋の中の空気が、今、放たれんとする矢の弦の様に張りつめていた。もし、今あの演説の天才が生きていたらまさしくこのような空気を聴衆たちは感じていたに違いない。そう思わせるほどに小官はこころ揺さぶられた。あの主張の。否、あの演説の続きをぜひ聞きたい。まだ討論は始まったばかり。今からが楽しくなってくるのに。とても悲しい。」
と、その白人のような金髪碧眼の少女は言った。
私は彼女の、彼女たちの熱弁の仕方に驚いた。声のトーンと大きさ、ジェスチャー、全てが心を動かすようなものだった。一種の芸術といっても過言ではないと正直思った。
だが、私はこの討論に、演説に、芸術に歯止めをかけなければと思った。止めるのは惜しいけれど、しかし、私は返りたい場所があるのだ。
私は無意識のうちに言葉を発していた。その帰りたいという切実な願いが彼を動かした。
「あの、そろそろ演説をやめてかえりませんか。」
「嫌だ。」
言い終わったに即答が返ってきた。秒ではなく、コンマの速さで。
「先ほども言ったようにまだ討論が終わっていないではないか。」
声を張り上げていった。
「いやもうそろそろ教室に戻らなければならない。」
少女が喋っている途中に先生は言った。
少女はその後何も言わなくなった。思ったより素直らしい。
「これ以上遅くなると初登校なのに帰ってくる時間が遅くて心配した、という親が多いのでね。」
と先生はため息交じりにいった。
そして、3人は、速足で教室に帰っていった。
教室ではその後、自分の自故紹介は忘れられ、帰路に就いた。」
少年は、校門を後にしようとしたとき、空を見上げてみた。この学校で生活していけるのだろうかという不安と、青春を謳歌しようとする期待の気持ち、そしてこれからの希望を目に湛えていた。
そして、街路樹の桜がまるで声援を送るかのように、やさしく揺れ、花びらを落とした。
明日から、本格的にここでの生活はスタートする。
明日から頑張ろう、と心に刻み、少年は学校を後にした。
気分次第で書きます