第三話 アルカディア入団
人型戦闘機、軍などではそれをナイトと言う。
ナイトには、アマチュアタイプとプロタイプがある。
アマチュアタイプは操作が簡単であり、もともと戦争で使うために開発されたわけではなく、土木や建築関係で使われていた。
操作が簡単なだけあって、機械自体が賢くなければならない。そのため、あまり量産されていない。
プロタイプは、操作が難しいが、複雑な動きができる。
基本、戦場で使われるのはプロタイプである。プロタイプは、アマチュアタイプより、量産されているからだ。そして・・・・・・
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「おいおい、寝ないでくれ、今から重要なところだから」
「す、すみません・・・」
あの空襲から一ヶ月がたった。
僕は今、アルカディア本部でお勉強中である。
なぜ、こうなったか、遡ること一ヶ月前・・・
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「ぼ、ぼくがパイロットに!!??」
僕はすごく驚いた。いきなり空襲から助けてくれた少女、ティーファさんにいきなり、人型戦闘機のパイロットになれと言われたからだ。
「だめ~~?」
「だ、だ、ダメですよ!そんなパイロットになれなんて!僕まだ子供ですし・・・」
「私も子供だよ~」
「それは、そうですが・・・」
この人はおかしな人なんだろうとずっとおもっていたが、ようやくそのもやもやが晴れた。
この人おかしな人だ!しかも、とびっきりの!
「第一、親が認めてくれないですよ!」
「ふ、ふ、ふ~それについては安心して!親の許可は得たよ!」
「はぁ?」
この人の言っていることはどこまでが本当かわからない。もしかしたら、パイロットになれということも嘘だろうか。
てか、絶対嘘だろう。そんないきなりパイロットになれとか普通言わないわな。マジになって損をした。てか、なんできずかなかったんだろう。
「なんか嘘ついてるな!みたい顔されてもさっきから私嘘なんて一言もいってないからね。ホントかどうか確かめたかったら電話してみれば、お母さんに」
ははははは、まさかね。そんなわけないだろ。
そう思いつつ、僕は母さんに電話をする。
だが、母さんは出ない。何度も何度も掛け直したが。
でない・・・まさか、空襲で死んでしまった!?
考えたくもないことが脳裏を過ぎる。
「そのまさかだよ・・・君の母さんは空襲でね・・・」
彼女の声がいきなり真剣になる。
「なんだよ…それ…まだ空襲が終わってから小一時間しか経ってない。そんなすぐわかるはずないじゃないですか…まずそれが僕の母かどうかわからないんじゃないですか…僕の母見たことありますか?ないですよね、だからわかるはずないでしょ…」
「今は情報社会、しかも我々アルカディアは日本中全ての情報を取り扱っている。そんなのすぐわかるわ」
「そんな…いくらなんでも…そんなこと…」
「はい、これ。死亡者リストに天下晴恵てあるでしょ。これ君のお母さんだよね。違うて言うなら天下晴恵ってところタップしてみて」
僕は天下晴恵、僕の母さんと同じ名前のところタップした。
そしたら、顔写真とプロフィールなどの個人情報が出てきた。
「そんなまさかね…第一、証拠がないよ…証拠が…」
「じゃあここをタップしてみて」
僕は言われたところをタップした。そしたら、母さんの血だらけの死体の写真が出てきた。
あまりにも気持ち悪くなり僕はその場で倒れた。
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気がつくとベッドの上で寝ていた。
「ここは…」
「お、気がついた。ここはね、アルカディア本部の医務室だよ!」
そうティーファさんは言う。
「ごめんね、あんな写真を見せて。そして、お母さんに電話させるようにして。」
「いいんですよ…どうせ…知らなくても数時間後にはわかってた話ですから…」
ティーファさんが親と電話させるようにさせたのは真実を自分の口から言いたくなかったのだろう。
まぁ最終的には言っちゃってるけどね。
「あなたはこんなこと許せる?」
ティーファさんが真剣に僕に尋ねる。
「許せるわけないじゃないですか。あいつらは俺の母さんを…」
「なら、一緒に戦わない?」
「え?」
「君もロボットに乗って戦うの」
「でも、僕なんかに」
「私たちにはあなたが必要なのよ。今から鍛えれば凄腕のパイロットになれる」
「やりますよ…僕やります!」
自分の口からこんな言葉が出るとは思わなかった。
これは、僕にしかできない。僕がやらなきゃまた死体が増えていく。
僕はそんなの嫌だ!
やってやるさ…全て…終わらせてやる!
この僕の手で!
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「はぁ…また、講義中に昼寝か…全く…お前ってやつは…」
「すみません…ザーク大佐…」
ザーク大佐は僕の教育係を任されている。
ザーク大佐のため息を聞くのはこれで何度目だろうか…
「まぁ子供には退屈な話かもしれんが…お前も一応アルカディアに所属している。自覚を持て、自覚を!」
「ハイ…スミマセン…」
この後僕は体術の訓練があり、その後、ロボットの操作基礎の勉強と演習がある。
「おーすっ!隼人くぅーん!」
「あ、ティーファ先輩!」
「なんだ、ティーファまだ講義中だぞ!」
「いや〜すみません、すみません。思い出した事があったのでこの後隼人くん貸してもらえませんかね」
「別にいいぞ」
「まさかの即答!僕の意見も聞いてくださいよ〜」
「講義を聞いてないのに自分の話は聞けってか。よく言うなお前….」
「す、すみません…」
「おっけ〜じゃあ講義後にねぇ〜」
ティーファ先輩がいなくなる。ティーファ先輩が何しようとしてるかわからないが嫌な事じゃなければいいな〜
前なんて、バンジージャンプさせられたからな………
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講義が終わり、ティーファ先輩のところへ行く。
「お〜きたね〜。じゃあ、行こっか!」
「どこへですか?」
「日本が攻撃された理由がわかる場所」
そういえば初めて会った時に日本が攻撃された理由は聞くより見たほうがわかりやすいとか言って教えてくれなかったな。
「じゃあ、付いてきて」
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僕らはアルカディアの兵器保管所にを歩いていた。
薄暗くて怖い。
「まだ着かないんですか〜」
「もうちょい、もうちょい」
アルカディアの中だけでもすごく広い。僕の住んでいる町ぐらいあるんじゃないかと言うぐらいに広い。
「付いたよ〜」
「何もないじゃないですか!」
「果たしてそうかな〜」
なんだろうと思っていると、いきなり電気がつき始めた。
「ま、眩しい」
「前を見て!」
さっきまで暗くてわからなかったが前を見ると人型のロボットがあった。
「ナイト…?」
「そう、ナイト」
見た目は武士って感じであった。色は赤と白。そのナイトの横には刀がかけてあった。
「これは…いったい….」
「機体名ブシドー、タイプはアマチュア場合によってはプロにする事もできる」
「すごい…でもなんでこれを目的に攻撃なんかを…」
「それはね、これがプロとアマチュアの切り替えができるニュータイプであり、この機体の性能は世界で3番目にいい。そして、このナイトを使いこなすと核兵器の数十倍に匹敵する威力をその刀で出す事が出来るの」
「へ、ヘェ〜」
よくわからないが、強いと言うことだけわかった。
「そしてこの機体、君が乗るんだよ」
「……………………え?」
本当によくわからなかった。