第一章 女神様のダンジョン作成計画 その12 オデブちゃん、名前をつける
うろうろ。
はぐ。
うろうろ。
がぶっ。
もぐもぐ。
うろうろ。
うろうろ。
もぐもぐ、ごっくん。
って鬱陶しいわ!
食事中にうろうろうろうろすんな!
「ご飯は落ち着いて食べる!」
しかもうろうろしつつもしっかりと肉は両手に持って食べてるし!どこのアホな子供だおまえは。
叱り付けるとあからさまにしゅんとするワーム。
が、口には肉を食わえたまま目線は上目使いでオデブちゃん。
叱られちゃいましたぁ。なんて猫なで声が聞こえてきそうだ。
「神様、そんなに怒らなくても。見た目は大きくてもまだ生まれて間もないんだし。ね?ワームもちゃんと座って」
「はあい」とおとなしくオデブちゃんの隣にぴったりと引っ付いて座るワーム。
けど、視線はチラチラとオデブちゃん、私、肉を行ったり来たり。
ええい、鬱陶しい!
「オデブちゃん、ワームは頑張って肉を獲って来たよ」
仕方ないので私は助け船を出す。
きらきらした瞳で私を見るワーム。
?と首を傾げて少し考えてから、ああ、と一人で頷くオデブちゃん。ってかもっと早く気付け。
部下をきちんと労うのも上司の大事な仕事だよ?
「ええと、ワーム。ご苦労さま。すごく、美味しいよ」
「そんな・・・私はダンジョンモンスターですもの。マスターに尽くすのは当然ですわ」
くねくねくねくね。
上半身を人間の身体ではあり得ない動きでくねらせて頬を染めてる、けど。
いや、くねくねし過ぎて気持ち悪いから。
「でもでもでも・・・ああ、どうしましょう!」
「「ワーム?」」
おい、どうした?
頭湧いたか?
「・・・あ、あの、マスター」
「なに?」
「名前を。肉を獲って来た褒美に名前が欲しいです」
ああ、そういえば狩りの間に考えておくってことになってたしねー。
「うん。考えてあるよ!」
「おっ、ちゃんと考えてたんだね」
「もちろん!フレイ、でどうかな?」
・・・・・・。
・・・・・・おい。
フレイムワームだから、フレイ、だよね。
まんまだよね、それ。
ちゃんと考えたのか?
考えたって言えるのか?それ。
「フレイ!ああ、素晴らしい名前ですわ。さすがはマスター!」
うん。
まあ、喜んでるからいっか。
『ダンジョンモンスターフレイの親愛度が超絶アップしました。スキル〈絶対服従〉を獲得しました。ダンジョンレベルが2に上がりました。クエスト〈ダンジョンモンスターに名前を付けよう〉をクリア。クエスト報酬としてダンジョン周辺10キロに渡る地帯の障気をDPとして変換します。・・・変換が終了しました。236875のDPを獲得しました。ネームボーナスによりダンジョンモンスターフレイのステータスが10倍アップしました。スキル〈火焔〉を獲得しました。スキル〈土魔法レベル3〉を獲得しました。スキル〈同種モンスター支配〉を獲得しました。称号〈エロっ娘〉を獲得しました。称号〈生まれたて〉を獲得しました。称号〈食いしん坊〉を獲得しました。称号〈ちょっとアホの子〉を獲得しました。称号〈エロっ娘〉の効果によりスキル〈魅了レベル1〉を獲得しました。称号〈食いしん坊〉の効果によりスキル〈食中毒ほぼ無効〉を獲得しました。称号〈ちょっとアホの子〉の効果によりステータスにおける知能の上昇率〈ダウン小〉を獲得しました』
チャンチャカチャー♪
間抜けたリズムの後にダンジョン中に機械で合成されたみたいな声が響き渡る。
出所は、たぶんモニター横のちょっと引っ込んだ部分。
あ、スピーカーなんだ、あれ。
って。
なんだ、今の。