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『他には何かあるかしら。なんでも言って頂戴。できることはすぐに改善させてもらうわ』


『そんなに簡単に決めていいのか』

『いいのよ、トップ2グループと言っても結局はあなた達2人の力が大きいのでしょう』

『いや、そんなことは無い』『まあね』


意見が分かれる…


『そんなこと無いよな』

『みんなの力に決まっているよね、エス』


すぐに修正…

まあ、いいわ。そろそろこっちの用件を切り出してもいいかしら。


『次は私の番でいいかしら』

『駄目だよ。僕らの用件は終わった。つまらない、だから帰る』

この金髪はうっとうしいわね…


『ジーザ、そう言うな。1つ聞いてもらったんだ。1つぐらい聞くのがフェアだろう』


1つ…1つだけ…何をどのように聴くか、引き出せる情報を最大限に増やす聴き方は…


『黙っているならもう帰るが』

考える時間を与えないつもり。

『チックスターのワンダーの奥に何があったの』

細かく聴けばそれで終わり、と言って考える時間は無い…


『高純度のプルトロン鉱石の玉と攻撃を加えてくる無数の水晶の蔓だ』

『思い出したくも無いね…』

『あなたはどうやって生き延びたの』




彼はマントを開き、とても広い口のソミニオ……あんなのあったかしら…

『これで喰った』

『喰った…』


『そう、その後のことは覚えていない、気がついたら北の山の中にいたからな。買取の件頼んだぜ』


お茶を持ってきたカノンに丁寧に礼をして2人は出て行った。


『もう、お話し終わっちゃったんですか。折角お茶入れたのに』

『カノン、うちの製品で口の広いソミニオってどれ位までかしら』

『国とか軍用、うちの機密扱い用ならかなりの大きさもありますけど…』

『個人で持つには膨大なエネルギーが必要よね』

『個人なんて絶対無理ですよ主任』



『そうよね…』


あのソミニオの口…感覚だけどとてつもない深さを感じた。興味深いわ、正規品ではないはず…誰がどのように、どんな意図で作ったのか。知りたい…もっと彼を知りたい…





『エス、ソミニオで喰ったって本当かい』

『さあな、1つは答えた。2つ目は本当でも嘘でも問題ないだろう』


俺は両手を軽く上げてジーザに答える。


『ふーん、まあいいや。これからどうする、ルートだっけそれができるまで』


『俺は今のグループにそれとなく話して独立だな』

『僕はめんどくさいから準備でもしながらすぐ独立だね』


ジーザは両手を広げて俺に向かって期待の眼差しを向ける。



『奥を目指すにはお前が必要だ、俺と組んでくれ』

『ちょっと棒読みなのが気になるけど…まあいいか。何かやっとくことはあるかい』


ジーザに頼むようなことなんて…あ。

『ジーザ、足手まといにならない程度の腕前のカネホリがどれくらいいるかワンダーの出入り口でそれとなくチェックしておいてくれ』

『限りなくゼロじゃないかい』

『ハッカの半分、このラインで頼む』


『ハッカちゃんの半分ね…暇つぶしにやっておくよ』

とりあえずジーザと別れ、舞のところに向かう。



小さな商店、品揃えは日常使用する消耗品、お茶などの嗜好品など金額は高くない物が多い。

客は2、3人。近くの店員を捕まえる。

『マリーかトビーは居るか』

『こちらへどうぞ』


店の奥に通される。

『舞ひとりか』

『フェイは今所用で出ている。茶でも入れよう』

大陸風の内装の小部屋にやわらかな茶葉の香りが漂う。


『何かあったのか』

『情報提供しにきたのさ、武義の役に立つかも知れないからな』

『感謝する』『よせよ、武義は仲間だ』


『きっと情報より喜ぶわ、その一言の方が』

『随分丸くなったな舞』

『愛し、愛されることは人を変える。私もあなたに感謝している』




『ハッカのこと………無粋ね、私が口を挟むことではないわね』


『いらっしゃいませ』

『話を持ってきた』


フェイは自然な動きで舞を膝の上に横抱きにして俺に相対して座る。

『いつも、そうなのか』

『はい、これが自然ですね』

『フェイは逞しいから大丈夫』



『そうか…』

話が出来れば問題ない。


聞いてきた情報と言葉の端々からの俺の推測を分けて話をする…



『ここのワンダーは消えないとの情報は入ってきていましたが、公式発表なら確定ですね』

『さっき話した通り、間違いないな。根拠までは明かさなかったがルートのことがあるしな』

『エスの推測はどの程度信憑性があると思う』



話をふられたフェイは少し目を閉じ思案している…


『エスさんのここ以外にも消えないワンダーがある。と言う件について、可能性は高いと考えます』


『なぜ、そう考える』

少し突いてみる…


『コルティックにしては段取りが悪い。予定外の進捗状況であったとしても、ここ一点集中であればそもそも予定外が起こることも無かったでしょう。様子見…ではないかと』


『もし次のポイントが判れば…』

『確実にコルティックの利益を喰えるだろうな』


『武義君に連絡を…僕が行く』

舞はとても静かに頷く、フェイより早く間違いのない者はいないだろうからな…



『ちょっと待ってくれ。武義に恩を売る為に今から主任様に情報をもらってくる。もう少し仲良く待ってるといい』


動くに値する情報なら2人で武義の元に戻るだろう。




『エス、どこに行くんだい』

『主任様に情報を貰いにだよ』

『ふーん、僕は人間観察を続けるよ』

『狩りはいいのか』

『あいつらは自由にしてやったよ』

『いつも思うけど即決だな……行ってくるわ』

『行ってらっしゃい…』





戻ってきた、とりあえず部屋の鍵をかけましょう。

『部屋の鍵を閉める必要はない、俺は話しに来たんだから、話す前に出て行ったりはしない』

『それもそうね』

一度鍵を開けてカレンにお茶とお菓子の用意と部屋から出たら外から鍵をかけるように指示を出す。逃がさない…



『いろいろ聞きたいが。あんたは怖い…俺から出せそうなものについてから話そうか』

『キャスよ。情報交換にはお互いの距離感も大事ではないかしら。キャスと呼んで』

『確かにでは俺のことはエスと呼んでくれ、キャス』


先ほどのミスは私の焦りから出たもの、この警戒を少しでも和らげなければ…


やはり頭がいい…俺が戻ってきた理由を解った上で対応してくる。俺には乗る以外の選択肢が無い…



『私もエスにはいろいろ聞きたいことがあるわ。でも、私にだって出来ない事はたくさんあるのよ…希望に答えられるかどうかは欲しいものによる、違うかしら』


聞きたいことだけをサクッと聞いて短時間で出て行きたかったが…この短時間で対応修正されるとはな。最初に口を出した俺の方が不利か…


逃がさない…エスは情報が欲しいだけ。コルティックの利権や私の権力、個人に興味はとても薄い。それならば与えればいい、私のことを…

記憶に多くの情報を持つ人間を無視できないはず…



『主任、お待たせしました』


カノンはやっぱり優秀ね。いろいろな種類の茶菓子にお茶も数種追加できるようにしてある。チラッとこちらを見てすぐに下がっていく。


旗色が悪い…さっきは茶も飲まずに帰ったからな…豪勢な茶菓子だな。

さっさと負けを認めたいが、させて貰えるかどうか…


主任がこんなに真剣に男性に興味を示すなんて、大半はいつもの研究馬鹿だと思うけど、ひょっとしてひょっとするかも…

へへへへへ、面白いことになるかも。ミラ様に報告しておかなくちゃ。



『折角のお茶が冷めてしまうわ、ゆっくり楽しみましょう』

『わかった…安易に動いた俺の負けだ、お茶会を楽しむとしよう』


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