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『説明は以上よ。不満がある方達は降りてもらって結構』
全部で40チーム、200名のカネホリ達の顔は不満顔。そもそも個人主義か、上級のカネホリ達は自分達でチームを組んでいるものがほとんどである。そこにきてはっきり一言。
『こちらで決めた5人組で探索を行ってもらう』
これで「はい、そうですか」って言う者のほうが珍しい。
勝手にチーム分けされた事への不満。
自分のランク査定に対する不満。
ともかくこの場が非常に険悪である事だけはほぼ全員わかることだろう。
そう、ごく一部の例外を除いては…
『早く行かないのかい。僕は待ちきれないよ』
この場に流れるのはのんきな声…
『痛い、エスなんだよ。僕と一緒じゃないからって拗ねてるのかい。痛い』
『空気を読め、悪目立ちだろうが』
『文句があるなら辞めてもいいってあの偉そうな女が言ってるじゃないか。残るなら文句なしってことだろう』
最前列1グループのジーザと隣の2グループにいるエスが口げんかを始めている。
『もう…2人とも…』
『あの2人、あんたの知り合い』
『ええ…まあ』
『凄いね、トップグループと知り合いなんてさ。私はキリ、あんたは』
『ハッカです。よろしくお願いします』
『よろしくね。私達は女だから固められたのかね。紹介するよ』
そういうとキリの後ろにいた女性達が声をかけてくる。
『フローラです。よろしく』『私はガネ』『キャハハッ、シェルよ』
長身の大きな人がフローラさん、舞さんに雰囲気が似てるもの静かな細身の長身がガネさん、私と同じくらいの女の子がシェルさん。
そして褐色の頼りになる感じの胸の大きな人がキリさんか…
私は31グループ…エスさん達の輪に声もかけられないくらい遠い…
『あの金髪の言うとおりだよ。早く行かないのかね。私達は運よくみんな一緒だし、あっとすまないね』
『いえ、あの2人とは実力が違うので仕方がありません』
そっとガネさんが肩に手を添えてくれる。
『大丈夫』
『そうそう、私達だって結構やれるんだから、みんなでガンガン稼いじゃいましょうフフフッ』
『これも何かの縁だもの、仲良くしましょうね』
『女のおしゃべりはうるせーな。そのよく回る舌で俺達のを気持ちよくしてくれや』
『何だと、そんなちんけな奴等に用はないんだよ私達は』
『ちんけかどうか見せてやろうか、その胸のでっけいのをたっぷり弄んでやるぜ』
『やめてもらえますか。そういうの嫌いなので…』
あわあわ言いながらズボンを濡らして座り込む男の股間から銃を頭に動かす…
『あんた、見た目より激しいね。気に入ったよ。そこの奴、とっととうせな』
『ああいうの嫌いなので』
『出発はトップグループから順に乗り込んでもらうわ。現地では各グループにコルティックの担当者が着くから細かい説明はその者たちから聞いて頂戴』
数字の若い順に大きな箱に乗り込んでいく、大きな音を立てながら10組位を乗せて徐々にその速度を上げていく。
『もうすぐ次のTホイールも到着するから到着後順次乗って頂戴』
そういい残し、エスさんを乗せた箱の次の箱に乗っていった。
『まだ、次のT何とか来てないから暇だね、なんか食うかい』
キリさんの言葉を受けてフローラさんが組み立て式の簡易テーブルを背中から取り出す、きっとテーブルの支柱が大きいからリュック型のソニミオかな。
大きな身体で手際よく、ティーセットを用意していく。
そこにそれぞれがカップを出していく。
『ほれ、ハッカ、あんたも出すんだよ。カップ位あるだろう』
皆さん、花柄の綺麗なカップばかり…私はそういうの持ってないな。
そっと飾りのない金属のカップを取り出す。
『女は華が大事だぜ。まあいいや、誓いのティーセットやるよ』
『えー、ここでやるですか…キャハハ、恥ずかしい』
『ハッカを仲間に加えるんだからやるんだよ。ハッカも私に続いて復唱すんだよいいね』
やる気満々のキリさん、それ以外の3人は周囲の視線を気にしてキョロキョロ…
フローラさんのお茶が入ったところで、キリさんが声を出す。
『心に華を』
『『『『心に華を』』』』
『手に金を』
『『『『手に金を』』』』
『女は度胸、稼ぐぜ華の団』
『『『『おー』』』』
恥ずかしい、これだけ人がいる中でとてつもなく恥ずかしい…キリさん以外のひとのこえちっちゃかったし…
『これでハッカも私達の仲間だね、改めてよろしく頼むよ』
『よろしくお願いします』
『キャハ、それにしても1回目で誓いのティーセットやりきるなんてやるねハッカちゃん』
『恥ずかしい…』
『私も上手く言えなくて3回くらいやりなおししましたね』
『ハッカは気合が違うんだな。変な奴が一緒になったらどうやって叩き出してやろうかと思ったけど嬉しい誤算だぜ』
キリさんの独断なのか…1人だけノリノリだったしな…1回で終わらせれてよかったんだよね…
運がよかったのかな、皆さん悪い人じゃ無さそうだし。
『ハッカ、これやるよ』
綺麗な花柄のカップがスッと目の前に差し出される。
『ほれ、女は華だよ。遠慮せずに受け取りな』
『ありがとうございます』
ニヤニヤしながらフローラさん、ガネさん、シェルさんがお茶を片手にキリさんを見ている。
その視線がくすぐったいのか頬っぺたを掻きながら照れ隠し。
『なんだいなんだい、もう1回誓いのティーセットやろうか』
『『『『お断りします』』』』
いい出会いにありがとう…
『ウェーッつ、ヤバイ、これはヤバイ、うっぷッ』
『私も、無理…』
『もう、着きましたか。ああっ良く寝ました』
『団長っ、ガネっだぁいじょうぶ。なかなか楽しかったねハッカちゃん』
キリさん、ガネさんは口を押さえて足元ふらふら、フローラさんはとても良く寝ていたのにまだ眠そう、シェルちゃんは終始楽しそうにしていた。
時間もあったためシェルちゃんと身の上話をしていた、皆さん結構重い境遇だった。
『でも今は、みんなと一緒だから昔の事はいいの』と言ったシェルちゃんの笑顔が印象的だった。
『31グループの代表の方はどなたでしょうか』
コルティック社の制服、グループの担当さんかな…ん、キリさんが口を押さえながら私に指を刺す。
『説明させていただきます。探索前にはワンダー入り口の受付にグループ番号を…』
私は代表じゃないですが、と言う間もなくコルティックの担当者さん、マルさんという方はどんどん説明するので聞き逃さないように集中して聞く。
『それでは説明は以上になります。簡易コテージには番号がありますのでこの鍵でご自由にお使いください』
それだけ言うとさっさと行ってしまった…私達はとりあえずコテージで休む事にした。
『いやー酷い目にあった。やっと胃が落ち着いたぜ、フローラ飯にしよう飯』
コテージの中は簡単な机と椅子、簡易キッチン、簡易シャワー、ベッドが5つ。
必要最低限の設備があるだけ、仮住まいには十分かなって思える。
『飯食いながらハッカ説明頼む』
『皆さんも聞いてましたよね』
4人とも首をぶんぶん横に振る…
『気持ち悪かった上に難しい話は嫌いなんだよ』
『同じく』
『私もワンダーに入る前には受付をまでしかわからなかったです』
『あのおばさんちょー早口だったもん笑っちゃう』
全滅…よかった、しっかり聴いておいて。




