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『そろそろ、夕食にしようと思うが講義は一段落着いたかね』

『ちょうどいいタイミングだな。まるで見ていたかのようだったぜ』


ボレロは軽く咳払いをして「そんなことはない」と言って食堂へ戻ってしまう。

俺たちもそんなボレロの後を追いかけて食堂へ。


3人で夕食を食べながら素朴な疑問を聞いてみた。


『ボレロ、他の客は居ないのか』

『ストレートだな君は。家の部屋は全部で6部屋あるが今は2人の客がいる状態だな』

『近くの町から出稼ぎに来ている女性の方ですよ』


なるほどね、人が集まるから一時的に仕事が増えるそういうのを狙ってくる人もいるわけね。後はキャラバンを持ってない商人とかがメインの客ってわけか。


『そうか、綺麗な子だと嬉しいな。かわいい系でもいいけど』

『お2人とも綺麗な方ですよ、酒場で働いているので夕方にはお仕事に行ってしまいますけどね』

喋り方はいつもどうりなのに妙に不機嫌な嬢ちゃん

『これハッカ、お客様のことを簡単に話してはいけない』

『ごめんなさいお爺ちゃん』

『大丈夫だよ。そこまで女に興味があるわけでもないしね。目の保養になれば十分さ』


お、美味い。丁寧な仕事がされている、材料は一般的なのものというのも俺の中の点数を引き上げる。幾らぐらいだろうか、15…いや、13くらいか…


『客に出すならこの夕食で幾らでだす…』


ボレロはあごひげを触りながらちょっと考えて…

『夕食を宿で食べるお客はあまりいないが、今日の内容なら10ジルってところか…』

『なんと。この内容で10ジルだと』

『高いでしょうか…』

心配そうに俺の顔を見る嬢ちゃん…


『安いだろう。宿代と言い。金をなんだと思っているんだ』

1人大興奮しながら食事を食べる俺を冷静に見る2人、その落ち着いた視線に俺も徐々に落ち着きを取り戻す…


『すまない、俺としたことが取り乱してしまって』

『君は、なぜそこまで金にこだわるのかね…』

少し呆れ気味に尋ねてくる…


『お金は大事だろう。貯まっていくのが楽しいじゃないか』

『何かほしい物でもあるんですか』

『いや、無いね。無駄に使うのが嫌なのさ』


なんとなく生暖かく見られているのが居心地悪くて俺は話題を変えようと大きく舵を切る。


『嬢ちゃんの練習のことだが、まずはメモを見なくてもばらして組み立てられるようになったら次に進もうと思うが』

『私頑張ります。先生』

『君に頼んだのはやはり正解だったかな』

『まだ入り口にも来ていない段階で判断されちゃ困るぜ。手は抜かないからまあみてなってところかな』


話題を変えることに成功した俺は1人にやりと笑うのだった…



『君の部屋は202号室を使ってくれ』

『お姉ちゃん達の隣りかい』

『2Fは君だけだ、ゆっくりするといい』

俺はお手上げポーズを冗談っぽくしながら受け取った鍵を見ながら2Fに上がり部屋へ。


1人用のベッドと簡単な椅子と机があるだけの部屋、綺麗に張られたシーツと磨かれた机、床や壁の木はアンティーク家具のような光沢をうっすら感じる。

マントを外し、椅子に裏返してかける。端から端まで大きく開いた口は大きく笑う悪魔のよう。そこに手をいれて数発の弾丸を取り出す…


A-12に合う弾丸を選び、とりあえず13発の弾を出して机に立てる。その後は自分の銃を順番に点検していく、すっかり暗くなった外を見ながら13発の弾以外をマントに飲み込ませ丁寧にたたみ枕元へ、今日はぐっすり眠れそうだ、窓からの薄明かりを見ながらゆっくりと意識を手放した…




よく寝た。むしろ寝すぎた。俺は指を細かく動かし、指の体操をする、さらにそれをしながら体をほぐす為に前後左右へゆらゆら揺らす。野宿の時はしない朝の日課だ…

なぜ、野宿の時はしないかって。


人が見てたら変だと思うだろう、指をわきわきしながら身体全体をうねうね動かしている姿を荒野で見かけたら、俺なら近づかないか攻撃するね。

マントを羽織り、昨日出しておいた弾を手に階段を降りる。眠そうな嬢ちゃんが「おはようございます、先生」と言ってくる。


『おはよう嬢ちゃん、急いで欲しいが無理はいけないよ。これを預けておく、まだ使うなよ。預けるだけだ』

嬢ちゃんは小さく頷いて俺に答える。


『エス、今日はワンダーに行くのかね。外出する時は鍵を預けていってくれ』

『了解した。食事は頼めるのかな』

『昨日のような簡単な物でよければ、朝食は5ジルでいい。私達が食べるもののついでだからね』

『もうちょっと、金取った方がいいぜ』

『この宿は私の宿、料金も私が決める。もう少しで2人も帰ってくるから座って待っていてくれ。ハッカ、エスの言うとおり無理はいかん、座ってなさい』

『あいよ、練習状況でも聞きながら待ちますかね』


嬢ちゃんは自分の部屋からA-12を持ってきて時間がかかるところや、スムーズに行かないところを聞いてきた。ほぼ何も見ずに組み立てができている…思った以上に早い、いい感じいい感じ。


『あら、ハッカちゃん銃なんて持ってどうしたの』

『そっちの子はお友達かな』


『あ、エルさん、ラドさん。お帰りなさい、お仕事お疲れ様です』

『今日もハッカちゃんかわいいわ、ぎゅーさせて。あー癒される』『私も私も』


うーん、凛々しい目つきのスレンダータイプのエルさんに、垂れ目の巨乳、癒し系のラドさんか…よし、覚えた。


『お2人とも、こちらはエス先生。私に銃の扱いを教えてくれているの』

『始めまして、見た目と違って結構年なんだ、子ども扱いはやめてくれよ』


『あら一人前なのね。もし良かったら酒場で働いてるから来てね。先生』

『一緒のところで私も働いてるからよろしくね』

『子ども扱いはやめてくれって言ったんだがな』

『せ、ん、せ、い… ニヤニヤしすぎ』


ハッカはぷぃっとそっぽを向いて銃を片付けに行ってしまった。


『あらあら、やきもちかしら、かわいいわハッカちゃん』

『ほんとうね』


『お2人ともお疲れ様でした。朝食持ってきますね』

ボレロが食事を持ってくる。ハッカも戻ってきて手伝うようだ。


食事を取りながら2人にワンダーの様子がどうなっているか探りをいれる。


『ぶっちゃけ、今どんな感じになってるのカネホリ達』

『あら、エス君カネホリなの、そうね、入り口辺りの小物は取り合いで死人が出るくらいだそうよ』

『ある程度腕がある人は入り口をさっと抜けて中層まで行くんだってお客さんがいってたの』


『深さが結構あるんだなここのワンダー』

『トップ集団もまだ深部についてないからどれくらいの規模かはわからないって。まだ稼ぎ時はこれからだからって駆け出しのカネホリさん達も装備の充実に必死みたい』

『町の酒場にはトップクラスのカネホリさんなんてこないからねぇ。あくまでうわさ話よ』


『トップクラスはキャラバンの馬鹿みたいなサービスに高い金を払うからな。俺ならお2人がいる酒場の方がいいけどね』

『もう、先生ってば』



『ははは、それじゃあ稼いでくるわ。嬢ちゃん練習無理なくやれよ。ごちそうさん』


じと目で睨む嬢ちゃんに軽くウインクを撃って宿を出る。


さて、がっちりいきますか…ワンダー目指して。




『姉さん、大物はこれからって所みたいですね。いい頃合ですかね』

『そうね、まだ雑魚が多いけど仕方ないでしょう』


『キャラバンの申請をしなくてはいけないので行きましょう姉さん』

『そうね、行きましょう武義…』


小さな荷車を引きながら町に入る2人。


『お前達カネホリか、荷車ってことはキャラバンか』

『はい、できれば登録するところを教えて欲しいのですが』

『そうか、おいナヒタ。町長のところに案内してやれ』

『ジョンさん、今日も案内ですか』

『保安官だ、保安官。いいから行ってこい』

『はいはい、保安官様』


案内の男と共に町に消えていく。


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