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『もう、本当にすいません、すいません。ほら、2人もちゃんと謝ってください』


あの2人の頭を抑えて私に頭を下げさせる少女…


『いえ、部下もお2人の扱いに悪い点がありましたし。コルティックの方から事情も伺えましたので。事情も聞かず逮捕したこちらに非があることですので』


『ハッカ、その人もこう言ってるしもういいんじゃないか』

『だよね、エス。そもそも悪い事してないしね』


『明らかにやりすぎでしょう。もう』


本当にもういいから早く帰ってほしいもんだ、こいつらの手当てと部屋の片付けせんといかんしな。


『お互いに行き違いという事で済ませていただければ』



『そうですか。では、お騒がせしました。ほら、2人とも行きますよ』

『『はーい』』


廊下の角で少女は私にもう一度頭を下げ4人は去っていった。



『おーい、早くこいつらを医療室へ運べ。あと、コルティック社付近の巡回を倍に増やせ。ああ、先にコルティック社に連絡入れておけよ。あいつらの姿が見えなくなったら塩撒け、大量にな』


それにしても、あの2人を素直に連れて行くとはあの少女一体…いや、詮索は早めた方がいいな。俺の保安官としての勘が首を突っ込むなっていってやがる。


その日のうちに保安部アクアサークル本部には3人の人相書きが密かに回覧され、手出し無用が徹底される事になる。





『本当にありがとうございました』

ウェアだっか…俺とジーザに何度も何度も頭を下げている。


『気にしなくてもいいよ。楽しかったしね。ハッカちゃんの命令でもあるし』

『ジーザさん私がいつ命令しました。やめてくださいまるで黒幕みたいな言い方』

『えー、無自覚怖い。ハッカちゃんが助けたいって言ったからエスが行く気になった、それを見て僕も楽しそうだから付き合った。ほら、事の始まりは』



『私の一言…』

『黒幕』ジーザはビシッと指を突きつけ勝ち誇った顔をしている。

『私達窓口はハッカさんのお陰で助かりましたけどね』

すかさずウェアのフォローが入る。



ジーザが俺の方をぐるっと向く。サラサラの金髪が風に舞う…

『エスはさ…ハッカちゃんに甘いよね………』


『そうか』『そうだよ』『そうですね』


『ずるい気がしてきた、面白くない』

『やりすぎる時も多いですけど、いつも助けてくれますもんね』


本気じゃないけど頬を膨らますジーザと体を少し左右に揺らしながら上目使いでちらちら見るハッカ。

そんな2人を見ながら俺はまったく別のことを考えていた…



『ウェア、俺を雇わないか』

『『ええっ』』

『悪いようにはしないぜ』

『『無視』』


何か2人が息ぴったりに不満たっぷりの目線を大量にくれるが、どうせならお小遣いの方が嬉しい。

問題のウェアは困り顔だ。


『金は要らない』

『『ええ、無料』』

2人してこの世の終わりか、変態でも見ているかのような顔はやめてほしい。



『条件は一つ』「やっぱりタダはないですよね」「だよねー、またおかしくなったかと思ったよ」


ハッカ…俺を何だと思ってるんだ。ジーザ、またって俺は記憶喪失はあってもおかしくはなってないぞ。こいつらは無視だ。


『俺は受付に並ぶのが嫌だ。だから3日間朝コルティック社の前で朝食、昼食、夕食を食べに来る。どうだ…』


ウェアは余り迷わずに俺に頭を下げる。


『受付は私が責任を持って完了させておきます』

『取引成立だな。ハッカ、ジーザ同じ条件で受付済ませたいなら3日間俺に付き合えよ』

優しい俺は2人にも同じ条件を受けれるようにしてやった。


「あれって、1人じゃ寂しいから…」

「しっ、ああ見えていろいろ気にするタイプだから、素直じゃないのもエスっぽいよね」

「ですね。しょうがないから付き合ってあげますか」「そうそう、僕らは大人だからね」



『『エス(さん)、ありがとう』』

俺の耳の良さを知らないのか、知っていてわざとなのか…まあ、俺は大人だからな、細かい事はいいとしよう。


『今日の夕飯分はサービスにしてやる。明日から3日間にしよう。ウェア、効果をあげるためにも今日の夕食は付き合えよ、制服でな』




この人は見た目は少年のようだが恐ろしく老練な人物だ。あの騒ぎや保安本部への連行すらこの話しの布石であったのではと思うのは考えすぎだろうか…

とにかく、この人達が入り口にいれば冷やかしの類は大きく数を減らすだろう、それが噂になれば窓口は正常化するはず。


『では、夕食は僕の方でお弁当を手配させてもらいますね』

『お、ご馳走になっていいのか。なんか悪いな』

『エスさん、顔がにやけてますよ』『ばればれだね』



『うるさーい』『逃げるよ、ハッカちゃん』『え、はい』

「じゃあ、また後で来るからなぁぁぁ」と言い残して楽しそうに2人を追いかけていったエスさん、やっぱり僕の考えすぎかな、さてと上司に報告しないと。




『という訳でして、あの方達が冷やかしよけになってくださるそうです』

『ウェア、よくやった。開発部主任様の到着が遅れていたからな、結果としてあの騒ぎを見られていたら…遅れてくれてよかったとも言えるか。よし、期間中の食事はアクアサークル支部の経費で準備しよう、それと窓口職員交代で毎食ご一緒するように手配を頼む』


支部長は決断の早い人だからな、この人をもってしてもあの騒ぎは収まるどころか膨れていったからな。





『えー、皆さんあのチックスターに居たんですか』

聞けば聞くほど、驚く事ばかり…

『ちなみに最後の奴にとどめをあげたのは僕だよ』

『ええっ。本当ですか』

僕の目の前に2つの銃口…

『試してみるかい…身体で…』

『ジーザ、やめとけ。この場所でコルティックの制服に銃口向けるな』

『ジーザさん、めっ』

『そうだった、そうだった。うっかりしてたよ』

『飲みすぎじゃないのか。真っ赤だぞ』

『また、3人で楽しく遊べているのが嬉しくてね』


3人はお互いに顔を見合わせどことなく喜びの雰囲気を漂わせている。



『そういやウェア。俺達の登録大丈夫だろうな』

『それはもちろん。支部長が責任を持って行うので間違いないですよ』

『それにしてもテーブルに銃を置くのはちょっと抵抗ありますね』


ハッカさんの言う事もごもっとも、これはエスさんの提案でコーティングしてある銃をわざと見せる事で無言で資格があるのかを訴えかけるのだそうだ。ジーザさんの2丁が異様な存在感をかもし出している。

この提案は効果抜群で僕達を気にするような人たちはわざとらしく通り過ぎる。堂々と中に入るのはそれなりに強者の雰囲気を纏うもののみ…それでも目の前のお2人には及ばないだろうってなんとなく思う。


『いちいち、絡まなくていいから楽だろう』

『楽なのはいいよね』

『まあ、そうですけど…あの、ウェアさんこれからどのような感じになるか聞いてもいいですか』


支部長から聞かれたら答えていいと言われているからいいか。


『大きい声では言えないしまだ非公開なので他の方にはないしょでお願いしますね』


僕は軽く念を押してから伝えた。


北の山岳地帯に大規模な変種のワンダーが見つかった事、コルティックが占有している状態でそこの調査を進めるためにも人手が必要なので契約である程度縛った状態で内部の様子を調査したいこと。


『そんな感じで資格者を5名1グループにしていくみたいですよ』

『げっ、5人組みか』『めんどくさい』『緊張しますね』


反応は全員に不評、支部長に伝えとかないといけないな。


『なんとかならないのかい。僕は足手まといは要らないんだけど』

『僕では答えられないので、支部長には伝えておきますが…』

『ジーザ、これはウェアに言ってもしょうがないだろう』


「舞さん達がいればな…」


ハッカさんの呟きが風に乗って聞こえてきた。


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