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『ガメル、随分と安いじゃないか。何か裏があるんじゃないか』

エスさん良いタイミングでありがたいです。


『やだな旦那。裏なんてありやせんよ。初めての取引でサービスするのは今後もいい関係でいたい。そういう気持ちからのサービスじゃないですか』


私は余りあなたに関わりたくないですけどね…


『お言葉に甘えて、全部いただきますね。ありがとうございます』


素直に乗ってくれるとはありがたい、旦那との関係を良好に保つ為にもこのお嬢ちゃんには好感を持ってもらわないとな。


『サービスね…ほんとうかな…』


旦那は勘が抜群にいいからな…でも目は俺をからかっている感じ…

エスさんが疑ってる…やっぱり何かあるんじゃないかな。


『エスさん、何か気になることでもあるんですか。マガジンも綺麗でちゃんとした物だと思いますけど』


手にも取らないでわかるのか…当然状態の良い物しか出してはいないが…

もし、エスさんがひっかっかる事があれば話してくれるはず。


『物は確かにいいだろうよ、ガメルが本当にいい関係を築きたいならな』


うーん、これは早くこの話を終わらせた方がよさそうだな。

うーん、商品はいい物。この人が私をどう見ているのかが問題なのかな…


『旦那、俺だってそこまで疑うようなことを言われちゃ黙っていられないですぜ。ちょっと待っててくださいよハッカさん』


旦那の場合わかりにくいんだよな。どこまで本気か…思い切るしかないか。

何をするんだろう、急いで奥に入っていったけど…

ちょっとからかっただけにしては結構絡んでくるな、ガメルの奴。何か企んでたかな。


『エスさん、どうするんでしょうか』

『さあな。ちょっと探りを入れただけなんだが…』


やっぱり、エスさんは何か感じたんだ。私のために…

あと少しでチェックも終わり、腹減ったな…この後ハンバーグ食いに行こう、そうしよう。



『お待たせしやした。これをお近づきの印にハッカさんに差し上げます』

超軽量狙撃銃アリス6式、ハッカさんの腕ならいい狙撃銃は大いに役に立つはず。しかも、アリス6式だ。気難しい銃ではあるがハッカさんの腕なら問題ないはず。旦那の驚いた顔を見るのも久しぶりだぜ。


『差し上げるってアリス6式をか…本気かガメル。お前中身が変わっているんじゃないか』

すげーな、本気か…かなり高いぞアリスは…


『なかなか売れない物って事もありやすがね』

『どういうことですか』

『扱いが極めて難しい。狙撃はしっかり構えて狙うだろう。アリス6式は軽すぎる、利点と欠点が軽いってことになる。しかも値段が高い』


ふーん、何かすごいみたいだけど。A-12があるから別にいらないかな、狙撃用パーツで十分だし。


かなりの散財になるがこれで俺の優位は揺るがない。コレクターアイテムとしても価値が高いこいつをほしがらない奴はいないはずだ。



『折角ですけど、私には必要ないので。はい、100000ジルです』

『え、ハッカ。アリスはいい銃だぞ』

『でも、狙撃用パーツで十分ですし』

『ハッカさん、俺の気持ちなのでタダですよ』

『そんな高価な物貰えません。予備マガジンとかもだいぶ安くして頂いたんですよね。十分ですよ。エスさんお腹空きませんか』

『そうだな、もう終わるから。ガメル、会計早くしろ。情報もだぞ』


『コーティングはバースのところにあります』

『そうか、そういえばあいつ正規品取り扱いしてたな』

『へい』


『じゃあまた来るからな。ハッカ、美味い店紹介してやるよ』

『楽しみです』



なんだろう、このすがすがしさは…

なんであの人は旦那と一緒にいるんだろう、正反対なのにな…いや、だからかな。

あんな人がいるんだな。下手な駆け引きをあっさりかわすほどの無欲…完敗だ。


俺は手に持ったアリス6式を布で軽く拭いて元の場所に戻す為に倉庫の奥へ歩き出した。



このアリス6式は様々な経緯を経て最終的にハッカの手に渡ることになるのだけれどそれはまた別のお話…




ハッカが驚いた様子で俺より先に中に入る…

『エスさんは大盛りですか』

『ああ』

『大盛り1つ、普通1つ』

返事の変わりに店の奥からは肉の焼ける音と香りが漂ってくる。


『この店知ってたのか』

『エスさんを探しにこの街に来た時に3人で安くて美味しい店を探してたので』


そうか、いつ頃居たかはわからないがかなり近い所にいたんだな…


『エスさん、座りましょう』

『そうだな』


店主がいい匂いを運んでくる。

『逢えてよかったな』

ハッカに向けて一言言うとまた奥へ戻っていった。




膨れたお腹をさすっているところに質問が投げかけられる。

『これからどうしますか』


コーティングはどれくらい時間がかかるのか。早い方がいいだろうな。

『早速コーティングしにいってみるか。すぐできるとはかぎらないしな』

『そうですね』

バースのところに行くか…

さすがに手下どももあの日の事を忘れてないらしく、俺達はすぐにバースのところへ案内された。




『おうおう、久しぶりじゃねーか。急にどうしたいったい』

『ガメルの所によってから来た。これでわかるか』


俺の話を聞きながらもバースの奴はジロジロとハッカを品定めしてる。こいつも相変わらずってところか。



この人はジロジロ私を見て…さっきの人と言い武器商人って皆こんな感じなのかしら。武義君達とは大違いね。


ガメルもバースもしょうがない奴だな。ハッカの実力は見た目じゃわかりにくいのはわかるけどな。



『お前のこれか』


これ…これって…そう、人から見たらそういう関係に見えるのね。さっきの人とは違う、きっといい人に違いないわ。


見た目はお子様同士お似合いだが…エスの奴は中身化け物だからな…それと一緒にいるって事はこの嬢ちゃんも化け物かもしれねぇ…


『バース、そういうのじゃないから』


毎度毎度、エスさんはもう少しゆっくり否定…むしろ肯定してもいいと思います。


おや、エスの野郎は否定、それを聞いた嬢ちゃんはあからさまにガックリ…ほほう。


『そうか、いい雰囲気でお似合いだったからてっきりそうだとばかり思っちまった。まあ、立ち話もなんだまあ、座れよ』

『はい』


ハッカは上機嫌でバースに勧められた席にさっさと座る。何か引っかかるものはあるけど俺もハッカの隣に座る。


わかりやすい嬢ちゃんだな。むしろエスの野郎は不思議そうな顔しやがって、自分のことになるとボケボケだなこいつ。


バースさんは見た目の印象とは違ってとてもいい人だわ。


『お2人の用事はコーティングの件だろう。エス…高いぜ』

『それは大丈夫。これ見てくれ』



おいおい、コルティック重役のサインとか本当に気味悪いなこいつ…


『何か、問題があるか』

『いや、問題ない…金についてはだけどな。結構、予約が多くてな…』


あんまり時間をかけたくないんだよな…

『何とかならないのか』

『黄金十二宮…冗談だよ。ちゃんと懲りてるから睨むな睨むな。かわいい彼女の前でそんな顔すんなって』

『エスさん、バースさんが冗談って言ってるんですから、そんなに睨まなくてもいいじゃないですか』

かわいい彼女、エスさんにお似合いのかわいい彼女。ふふふ…


嬢ちゃんを味方につければいける。ここは1つエスの野郎に恩を売るチャンス…


『エス、どれくらいの個数やるつもりだ』

『俺のが5丁とハッカが1丁とパーツ数点だな』


思ったほど多くないな。


『よし、わかった。素敵な2人のために大急ぎでやってやるよ。でもこれはエスへの貸し1つだからな。あと、コーティングはコルティック本社への報告が必要だがいいか』


早くやってくれるならしょうがない。報告も必要であれば仕方がない…

『わかった…』

嬢ちゃん効果か、やけにすんなりだな。

『バースさん、私も何かあれば協力しますからね』

『ああ、ありがとな奥さん。ちょっと気が早いか』

『『はははははははははははは』』


乗せられすぎだハッカ…バースも悪乗りしやがって。




しかし、バースは宣言どおり早く仕上げてくれたのだろう、コーティングは3日後には無事終了した。


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