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『ハッカ師匠ばいばーい』

『本当にありがとうございました』

『ハッカさん、頑張ってね。私応援しているから』



アクアサークルの入り口、シモン親子と別れる。


『いい人たちでしたね』

『そうだな。悪い奴なら今頃は荒野だけどな。とりあえず寄るところがあるから行こうか』

『はい』



向かうのはガメルの奴のところ…いつも通りに奥へ通され、茶菓子を食べながらしばし待つ…


『旦那、いつもより早くないですかい』

『いろいろあってな、あれから何か問題はないか』


ガメルの奴がハッカの方をチラッと見る。

『紹介が遅れたな、今一緒に旅をしているハッカだ』

『ハッカといいます。よろしくお願いします』


『どうも、旦那にはいろいろお世話になっております、武器商のガメルと申します。以後お見知りおきを』

ガメルは品良くハッカに頭を下げる、それを見てハッカも慌てて頭を下げる。


『ガメル、俺の連れを試そうとするなよ』

『すいやせん旦那、つい癖で…』





丁寧な人だな、しっかりした身なりで頭を下げられる、いけない私も下げなくちゃ。

『ガメル、俺の連れを試そうとするなよ』

『すいやせん旦那、つい癖で…』


顔を上げるとガメルさんの手には小さなナイフが握られていた…

『ハッカ、こいつはもぐりの武器商だからな。手癖が悪い』

『酷いな、旦那。商売はきっちりですぜ』『知ってるよ』


2人とも目線を外さずに笑ってる…



『今日の用件は例のコーティングですかい』

『いや、さすがにお前でもあれは用意できないだろう』


『早くやってくれるところは知ってやすよ…』

『いくらだ…』


『今日の買い物次第でどうでしょう』

『わかった…俺はいつもの奴を倍用意してもらおう』

『承知しやした。そちらのお嬢さんは、何かご入用でしょうか』


何か…何がいるんだろう。A-12のパーツとかあるかな。


『A-12のパーツとかありますか』

『ほう、A-12とはいいご趣味ですね』

『ハッカはいい腕だぞガメル』


『見せて頂いてもよろしいですか、A-12を』

さっきのこともあるしどうしようかな…エスさんをチラッと見る。


『もう大丈夫だろう。見せてやるといい。仕事は確かだからな』

ソニミオからA-12を取り出してガメルさんに渡す。



手に持ち各部を丁寧に眺めるガメルさん…

『ガメル、とりあえず俺のいつもの奴用意してくれ』

『ああ、はいすぐに射撃場でいいですかい旦那』

『どこでもいい、頼む』


ガメルさんに案内された射撃場に箱が山積みになっている。その前に座りエスさんは箱をひとつひとつ開けて弾をお金を数える時のようにチェックしていく。


『ちょっと時間がかかるからガメルの相手してやってくれハッカ』


相手って…

『手入れのいい風格のある銃ですね。少し腕前を見せて頂きたいのですがお嬢さん』


20メートル位先かな、人型の的にターゲットが書いてある。立ち位置を進められる。


『5発、お願いできますか』

バン、バン、バン、バン、バン


ガメルさんが何かのボタンを押すと的が手前に動いてくる。

『これは…』

『すごいだろう、ハッカは』


穴は1つ。


『ハッカさん、すぐにパーツを確認してきますのでお待ちくださいね』

にこやかにそう言うとガメルさんは奥の扉から1人出て行った。


『よかったなハッカ、客と認められたぞ』

『どういうことですか』

『あいつは自分が認めた奴しか客として扱わない。裏家業だからな、あいつなりの防衛手段なんだろう』

『あいさつのときのあれもそうですか』

『そうそう。紹介でも何かしようとするからな。基本的に人を信じてないんだろう』


エスさんにはかなり心を許しているような気がするんだけどな…


『エスさんの時はどうだったんですか』

『奴がしくじった時にたまたま出会ってな、助けてやったんだよ。それからの付き合いだな』


ガメルさんにとっての恩人なのか。


『でも、こういう商売してるってわかってからさっきみたいに試そうとしてきた時はぼっこぼこにしてやったけどな。いい思い出だ』


ガメルさんにとってはいい思い出じゃないような気がするけど…





旦那が女連れで俺のところに来た、体の動かし方がいいし旦那のことだから情婦ってわけでもないだろうし、どんな関係なのか、少女の名前はハッカと言うらしい。


俺の客ではないな。これが最初の感想だった。


俺が頭を下げると慌ててお嬢さんも頭を下げる。

『ガメル、俺の連れを試そうとするなよ』

『すいやせん旦那、つい癖で…』

緊張感も無い、やはりただの連れか…



この時期に旦那が来るなら例のコーティングの件しかないだろうな、残念ながら俺のところには無い。あれはコルティック直営か正規取り扱いしか手に入らない、しかもコーティングした内容などの詳しいデータの提出を求められる。

バースが言うには儲かるが手間がかかりすぎるだそうだ。


旦那からいつもの倍の注文を手に入れる、皮肉を込めてお嬢さんにも話をふってみるか。


『承知しやした。そちらのお嬢さんは、何かご入用でしょうか』


こんな少女が欲しい物はここには無いだろうけどな。


『A-12のパーツとかありますか』

A-12だと、実用性のある骨董品。また、マニアックな名前がでたな。アクセサリーとしてはどうかと思う。旦那の知り合いだから変わってても驚きやしないが…

『ほう、A-12とはいいご趣味ですね』


『ハッカはいい腕だぞガメル』


いい腕…旦那はあまり冗談を言うタイプじゃなかったと思ったが、まさかな…

『見せて頂いてもよろしいですか、A-12を』


手入れがいい…実際に使い込んでいる感じではある。この少女が使い込んだとはかぎらない、しかし旦那がいい腕だと言っている。



これ以上は考えてもしょうがないな、見せてもらおうか旦那の言ういい腕とやらを…


『ガメル、とりあえず俺のいつもの奴用意してくれ』

『ああ、はいすぐに射撃場でいいですかい旦那』

『どこでもいい、頼む』

旦那の振りに射撃場へと誘導する。


準備は済んでいる。旦那の言ういい腕が本当なら腕前披露を勧めるはず。


『ちょっと時間がかかるからガメルの相手してやってくれハッカ』

はい、きた。これで腕前があるのは確定した、後はどの程度か…

『手入れのいい風格のある銃ですね。少し腕前を見せて頂きたいのですがお嬢さん』


俺の目に適うか見せてもらおうか………





………おいおい、なんだよあの腕…痺れるなおい。


A-12のパーツいいのあったかな。




『お待たせしましたハッカさん。思ったより種類が無くて…申し訳ありません』


そういいながら予備マガジン5本とよくわからないけれど小さ目の部品、長いマガジンも4本かごに入れて持ってきてくれた。

エスさんはすごい勢いで箱の山を半分くらい確認終わったようだ、横にあるざるに十発ほどの弾が除けられてる。


『予備マガジンは全部頂きたいです。後の物はどういう物ですか』

『小さな部品は補助パーツの調整用になります。長いマガジンは連射用パーツに役立つ通常の倍の弾数装填できる物です。普通に使う分には重心が変わるので余りお勧めしませんが、掃討戦では隙を減らせますね』


何だろう、エスさんが言っていたお客さんと認められたからかな、とても丁寧に説明してくれる。

う~ん、急に変わって、ちょっと嫌な感じ…


『全部いただけますか。お幾らになります』


『予備マガジン5本と連射用マガジン4本、調整用補助パーツ全部で100000ジルちょうどでいかがでしょうか』

高いのか、安いのか…そういえば私この銃以外ほとんど知らないし、弾しか買ったことが無い…でもこの人に相場とか聞くのも何か嫌だし…


どうしよう…営業スマイルを崩さずににこにこ、こっちを見てる…


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