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翌朝、なぜか保安官とボブも見送りに来た。


『それじゃ、行くね』

『身体に気をつけるんだぞ。エス、何から何まですまないな』

『ハッカが自分で決めてやってることだ。俺はただついてきてるのを認めてるだけ、それ以上でも以下でもないさ』


本日も空は快晴、暑くなりそうだな。




育った町がなくなるかもって聞いてもそこまで寂しさは感じなかった。あの町は特別な町であることには変わりがない。でも、私の今はここにある。エスさんの隣…いや、まだ後ろ。


焦らない、自分のできることをするだけ。でも、もう目を離さないんだから。



『エスさん、コーティングはどれくらいするんですか』

ちょっと聞いてみる。

『いくらただでも全部じゃな…よく使う物を中心に5丁ぐらいにしようかと思ってるけどな』


私は母さんのA-12だけだから一丁だけね。


『そうそう、ハッカの銃は組み替えようのパーツも全部お願いしとけよ。本体だけ大丈夫でも後々困るからな』

『余り使わないので忘れてました。言ってもらえてよかったです』

『そろそろ慣れといた方がいいと思うけどな、今夜にでもやって見せようか』

『ありがとうございます』




ああ、惚れ惚れする。覚えなきゃと思うけれど…エスさんの鮮やかな手つきに目が釘付けになる…


夕食後、パーツの使用方法についてはお爺ちゃんから聞いているだけど、初めて聞いたような雰囲気を出しながらも復習…のはずが、余りに鮮やかなパーツチェンジに目を奪われているところ。


『と、まあこんな感じか。戦闘中に付け替えることは少ないと思うが手早くできるに越したことはないからな。やってみな』


ゆっくりならお爺ちゃんに説明された日にやってみている。この銃のパーツはネジなどでの固定は無く、工具無しでつけ外しができるようになっている。エスさん並みに扱えれば戦闘しながら状況に合わせての変更も可能だと思われる。引っ掛けてロック位置まで回せば固定、外す時ははめた方向の逆に動かすことで外すことができる。


肩当とスコープが一体化してる狙撃用。

小さな持ち手と銃の一部を固定することでセミオートになる連射用。

サイレンサーと本体を覆うようなカバーがセットの暗殺用。


後は撃った弾が上に上がるパーツや音だけで銃弾があえて発射されないようにするパーツ、射程距離を大幅に犠牲にして弾に回転をかけるパーツなどどの局面で使うのかわからないような物も多いけれど最初の3つはせめて使えるようにしたい。



銃もいつも通りに持つ。

反対の手でパーツを取り出す。

銃にパーツを引っ掛けて、ロック。

完成。


なるだけ慌てないように急いでセットしてみた。

『う~ん、最初に銃を持つ手を左にしてみてはどうだ』

『はい、やってみます』


銃を左手で抜く。

右手でパーツを取り出す。

銃にパーツを引っ掛けて、ロック。

ロックされた銃を右手に持ち替えて…


『ああ』

『どうだ』

かなり安定する。利き手でパーツを扱うこと、パーツを取り出すときに真下からだから身体を捻らなくてすむ。


『もう1回やってみますね』

『おう、何回でもやってみな』


やればやるほど安定感が増していくようだ。


『慣れたら、左手でも撃てると更に隙が無くなるぞ』



カチャ、カチャ…カチャ、カチャ…カチャ、カチャ…カチャ、カチャ…


『おーい、おーい。そろそろ寝てはどうでしょうか。ハッカさーん』


カチャ、カチャ…カチャ、カチャ…カチャ、カチャ…カチャ、カチャ…




ん、あれ、エスさんが横になっている…背中を丸めてる…

『エスさん…』

拗ねてる…しまった、夢中になりすぎちゃった。


背中を突いてみる…もぞもぞ動き出した…

もう少し突いてみる…もぞもぞが大きくなった…

もう一度…


目の前に毛布がばあっと広げられぐるぐる巻きにされる、そのままテントに連れ込まれる…


『子供は寝る時間』


そういい残してテントを出て行った。ちょっと期待したのにな…おやすみなさいエスさん…




ハッカは真面目なのはいいのだけど、集中すると入り込みすぎるのが玉に瑕なんだよな。


練習相手がいればいいのにな…って思っていた。





『ハッカ、あれ見て見て』

身体を縮めて腰を落とし、小声でハッカを呼ぶ。

『どうしたんですかって。あ』

ハッカの口を手で塞ぐ、「しー」うんうんと頷いたので口から手を離す。

なんか、顔が赤いな。

『あれ、どう見ても馬車が襲われてるじゃないですか。すぐ助けましょうよ』

『えー、嫌だよ。今回は相手の人数も多いし、だるい』

『そんな、ああ。危ない』


カチャ、カチャ

パン、パン、パン


馬車から落ちた子供に銃を突きつけようとした強盗の銃が宙を舞った…

急な狙撃に強盗達は馬車を囲みながら辺りをきょろきょろしている。


カチャ…

トン、トン、トン…


ハッカは暗殺用パーツをセットして俺の横を飛び出して行った。


ハッカの登場に気付いた奴の手から銃が弾かれる。


強盗達はパニックに陥る慌てた雑魚の撃った弾など今のハッカに当たるわけが無い、馬車へぐんぐん近づきながら1人また1人強盗の手から武器が消える…

見事なもんだ、走りながらマガジンを入れ替え、パーツを連射用に切り替える。馬車に無理やり乗り込もうとする奴の足元に威嚇射撃そして狙いを上に…上がった手に握られている銃を…お見事。


外さないな…とはいえ相手の人数は30位か、もう少しだけどハッカの予備マガジンそろそろ終わりかな。

まあ、ハッカの体格じゃあ格闘はできないから殺さない縛りとなると100点以上だな。紛れも無くハイスコアー。


『ハッカ、ほい。反動ちょい強め』

俺のオートマティックを投げて、下に落ちるA-12を拾って前転してハッカの横を抜ける。

銃を弾かれた奴等は俺が順番に気絶させていった、辺りには大勢の強盗が寝そべっている。


久々の鉄パイプは気持ちよかった。


さてさて、宝探しタイムの到来だ。俺をがっかりさせるなよ。いざ。




気がついたら駆け出していた…


ただ、もしあの子がって思ったら身体が動いていた。

あんまりハッキリと覚えていない。「助けなきゃ」と「殺したくない」その気持ちだけが私の中に渦巻いて…


エスさんに声をかけられて周囲を見て、気がついたら小さく震えている自分に気付く…


『お姉ちゃん、ありがとう』

小さな男の子、よかった怪我も無さそう…

『怪我は無い』

『うん、大丈夫だよ』

『本当に、なんとお礼を言っていいか。ありがとうございました』

『あなたのお陰でロイもこの通り無事でした』


なんか、照れくさいな…

『気にしないでください。私が勝手にやったことですので…』

気がつけば震えは止まっていた。



『おーい、ハッカー見てみろよ。こいつら屑の癖に結構持ってるぞ。大漁じゃーい』




『あちらの方は…』




『し、知り合いです…』

私は再度震えた…右の拳に力を籠めて…





私達は運がよかった、荒野の治安がどんどん悪くなる。荒野の中小の町は盗賊や強盗などの脅威にさらされている。力を持たない者はただ搾取されるのを待つしかない。


私は決断した。未来あるこの子のために安全を求めてアクアサークルの知り合いを尋ねる、そのために家を引き払い小さな馬車に手作りの幌をつけて。


町を出て5日間何事も無く過ぎた、油断していた。

少し見通しの悪いところを通る時、道に倒れている人を見つけた。

『大丈夫ですか』

馬車の上から声をかけるが反応が無い、私は迂闊にも御車台から降りてしまった。

銃を手ににやつきながら起きてくる男。

慌てて馬車の中に逃げ込む、相手の人数はどんどん増え囲まれる…

賊は威嚇のために発砲、それに驚いた馬が馬車を揺らす。

『ロイ』

バランスを崩した拍子にロイが外に投げ出される。もうだめだ、諦めかけた時。彼女が現れた。


不意をついた強盗達が不意をつかれた、奴等は混乱しているのがわかったが私も妻も腰が抜けてただロイの無事を祈ることしかできなかった。


全てが終わり、ロイは救ってくれた彼女にお礼を言っている。我々も身体に渇を入れてお礼を言わなければ。


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