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う~ん、これは僕だけ捕まったのか、僕が目当てだったのか…心当たりは無いわけじゃない。

周囲に人の気配はない、頭には肌触りの悪い布のような物を被されているようで様子も分からない。


そもそもなぜ、こうなった。


この町に入るまでは何もなかった…




『潮風が心地いいな』

『いろいろな形や色使いの船があるんですね』

『遠洋用、国営の輸送船、各都市を結ぶ定期船。個人所有の船もあるので見ていて面白いと思いますよ』

『武義の家は大商人なんだろう、規格外集めるくらいだから、専用の船があるのか』

『あるにはあるのですが、僕には使用権が無いので…個人所有の船もいまのところ維持費の方が問題ですし』


イカを焼いている屋台から姉さんが3本買ってエスさんとハッカさんに渡している。



『自分の家の物なのに使用権って厳しいお家なのね』

『いえいえハッカさん。家は普通の商家と違って個人実力主義で普通とは仕組みが違うのですよ』

『想像は難しいと思う』

姉さんがハッカさんの頭を優しく撫でる。


『3日後の定期船に乗りたいと思います。切符を買ってくるのでこの辺りで待っていてください』

『1人で大丈夫か武義』

『切符販売のところは飲食禁止ですし、皆さんが食べ終わるくらいには戻って来れますから』

『そっか、まだ昼間だしいいか』



イカ焼きをなぜか同じ右手に持った3人に見送られながら切符売り場に向かって…



そうだ、やたら人が多いなって思ってたら、何かを口に当てあられて…なんて間抜けなんだ白昼堂々連れ去られるなんて…はぁ…


そこまで思い出しても、現状には何の役にも立たないか。時間もどれくらい経っているのか分からないし。打つ手なしか、縛られたまま少しでも体力を温存するしかないか…




『武義君遅くないですか…』

エスさんは海沿いのベンチに座ってイカが刺さっていた棒を持ったまま船を漕いでいる。


『確かに、切符販売の場所はそう遠くないはず』

舞さんは何かを考えているみたい。


『エスさん、起きて。武義君探しに行きましょうよ』

『う~ん、入れ違いになってもいかんからもう少し待とうや』

絶対眠たいだけだと思うけど、どうしよう…

『確かにその可能性もある。私がちょっと見てこよう。2人はここで待っていてほしい』


『分かりました、待ってますね』

舞さんは私の言葉を聞くと武義君が歩いていった方へ歩いていった。なんか嫌な予感がするけどあくびをしながらむにゃむにゃ言ってるエスさんの横顔でも見ながら待ってることにした。




声は聞こえないが人の気配がする…刺激しないほうがいいのか迷うところだな。

何人いるかは分からないが出て行った感じがする、残ったのは見張りか…

『目的はなんです』


返事は無い。



手足が動かせない以上どうしようもない…





『切符売り場周辺に武義の気配は無かった…』

『武義個人が狙われる可能性はあるのか』


『ある…』

舞さんはエスさんの問いかけにそう答える。


『じゃあ、待つか』


なんで待つんだろう、狙われる可能性があるなら誰かに連れて行かれたのかもしれないのに…


『舞は同じ理由で狙われる可能性はあるか』

『ある』



スッと差し出された舞さんの手の上に美しい鳥の細工が施されたメダル。

それを見たエスさんの表情が一瞬変わる…


『なるほどね、お前たち武一族だったのか。ちょっと考えれば分かりそうなもんだったな』


1人付いていけない私。また置いてけぼりなのね…




唐突に引きずられる、持ち上げられ背中に硬い物が当たる…

首を固定され頭も全く動かせない。その状態で頭の袋は取られた…倉庫か、目の前には誰もいない、後ろから紙が差し出される、薄暗いので読み難い。


メダルを渡せ。


書かれているのはそれだけ…





『ハッカ、このメダルは一族の後継者候補が持っている物。兄弟姉妹11人が持っているの』


『大事な物なんですね』


『そう、このメダルを失うことは後継者候補から外れるということ。このメダルを多く持っている者はそれだけ力がある証になる』

『でも、無理やり奪ったら駄目なのではないですか』



『いや、どんな方法も可能。もちろん無茶をすれば他の候補者全員を敵に回すことになる。争いを好まない者、後継者になる意思の無い者は現党首の母上に返上している』


舞さんの表情は暗い…私の頭をそっと撫ぜる。


『事情はこんなところ、狙いはきっと武義のメダル』



『じゃあ、とりあえず武義を救出するとしようか』

あくびをしながらゆっくり伸びをするエスさんはソニミオに手を入れるとたくさんのお金を空へばら撒いた。

『早いもん勝ちだ。好きに拾え』



辺りの人たちはみんなしゃがみこんでお金を拾う。私たちの周りは大騒ぎになった。

『2人ともここにいてくれ、一狩りしてくるぜ』

エスさんは人混みをすり抜けながら1人で行ってしまう…


『もう、いつも説明せずに行っちゃう…』


『私達を監視していた者を狩りに行ったと思う。きっとすぐ戻ってくる』

エスさんの行った方を見つめる舞さん…その表情からは何を考えているのか分からなかった。




まったく、なんて日だ。2000ジルもばら撒いちまった、絶対に逃がさん。




ちくしょう、何なんだあいつは…あの目はヤバイ…早く逃げなきゃ、助けを呼ばないと…

『そんなスピードじゃ俺からは逃げられない』

耳元で囁かれる絶望の声に俺は足を止めた…




『ただいま』

エスさんはイカ焼きを売っていた男を引っ張って戻ってきた。

『では、知っていることを吐いてもらおうか』


『俺はボリーノ一家の者でボスに命令されてそのこえー兄ちゃんのイカ焼きに眠り薬仕込んで見張ってただけで…他は何もしらねーよ。おいおい無言で銃を向けるなよ』

大人の男の人が泣いてる…


『どうやら本当にしらないらしいな…行くか』

『その方が早い』

首を傾げる。


『ボスとやらに話を聞こうってことな。さあ、案内してもらおうか』


『わかったよぅ』

ちょっとかわいそうだけど武義君のことも心配だから黙ってついていく。エスさんの機嫌が悪いのはきっとお金が減ったからだと思う、回りから見えないように男の人のお尻にちょんちょんと銃口を突きつけて遊んでいるから。

舞さんはいつもと変わらない、大人になると私もこんな風に落ち着いていられるのかな。





『メダルとは何のことでしょう』

痛い、何の躊躇も無い針のような物で左の腿を刺された…どうするべきか…





『本当にそんな男の子のことは知らない、頼むもう勘弁してくれ。俺たちの所有している倉庫を1つ貸してあんた達のことを見張るように言われただけなんだよ。ちくしょう、馬鹿みたいな大金だったから何かあると思ったらあんた達いったい何者だよ。もう、俺嫌だよ』


床には舞さんに関節を外された人が呻きながら寝転がっている、ボスって呼ばれている人はエスさんに顔をペシペシされながら子供のように泣いている。ここに入ってきてからの2人は悪魔のような雰囲気ととびっきりの笑顔でこの惨状を作りあげた。





『ボス、すいません、しくじりました』

『馬鹿やろう。まあいい、俺たちのアジトに女連れで乗り込むとは僕ちゃんいい度胸してるな。うちの一家に雑用で使ってやってもいいぜ』


8人位の人相の悪い人たちが私達を見ながら馬鹿にしたように大笑い、そのうちの1人がイカ焼きの人を蹴っ飛ばす。

『こんなガキやお姉ちゃん達にやられてんじゃねーよ、一家の面汚しが。僕ちゃん、イカ焼きの屋台から始めてみるか、あん』


あ、駄目。エスさんがいい笑顔…かわいそうに、もう止められない…


響く銃声…


『うぉぉぉぉっ、イテー、足がぁ俺の足がぁ』

『うるせえ。ちょっと静かにしてるといいよ。舞、足ヤレ』

舞さんはソニミオから六角の棒を取り出し瞬く間に全員を床に這い蹲らせた。


『今からこの銃をお前の口から抜く。俺はうるさいのが嫌いだ、うるさいとうっかり指が動くかもしれない。言いたいことはわかるな』

足を撃たれた男の人は口から銃口が離れると自分の手で口を塞いだ。


イカ焼きの人、ズボンが濡れてる…


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