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『なにやってんだ、ボレロ』

『どうしたの、お爺ちゃん』


カウンターの上でライフルを磨いている…レバーアクションとはまた渋い…FAか、いいな。


『ハッカに昔話をしていたら懐かしくてな、ちょっと磨いていたところだ』

やはりボレロは実戦経験豊富なんだな、ライフルを手に持つ姿が様になっている。



『なんだ2人して、私がライフルを持っている姿がそんなにおかしいか』


『いや、逆だ。どこの傭兵かと思うほど似合っているぜ』

隣でハッカがコクコク頷いている。

『こんな年寄りをからかうもんじゃない』


どこか、照れてるような、喜んでいるような…かわいいとこあるな。


『ハッカは通用しそうかエス』

無理矢理話題を換えにきたか。素直じゃないお爺ちゃんめ。

『1人ではまだ危なっかしいが、いい線いってるぜ』

『そうか、よかったなハッカ』

『これからボブさんの所に行くけどお爺ちゃんも一緒に行かない』


ライフルを磨く手を少し止める…



『私はやめておこう。せっかくだ2人で行ってくるといい』

『2人じゃないのよ…』

『何かいったか、ハッカ』

『ううん、なんでもないの。じゃあ行ってくるね』


『エス、頼んだぞ』

『子ども扱いしないでお爺ちゃん。行きましょうエスさん』


ハッカに引っ張られながら、ボレロに手を振りボブの店に向かう。

今日は、ほぼ満月…狼に変身するホラー映画が昔あったな。ガオーって。まあ、どうでもいいか…俺はいつまで手を引かれ続けているのか、細かいことはまあいいか。


静かな夜道は徐々に失われ、楽しげなざわめきが耳に届く、目的地はもうすぐか…



『いらっしゃいませ、エス様、レディハッカ』

『ボブさん、こんばんは。エルさんとラドさんはいますか』

『忙しいので少々おかけになってお待ちくださいです、はい』


『客はいつもぐらいだが、何かあったのか』

『実は…メルさんが店をやめて町を出られまして。バタバタしている次第でして…』

『そうか、俺たちは急いでないから、他の客の相手を優先、ナンバー1不在の穴を埋めなくては…よし、ハッカ、俺たちも少し手伝おう』

『了解です』


ハッカも俺もこの店では有名人だ。この夕食時をこなせば店も一段落着くだろう。


『あれー、2人ともどうしたのエプロンなんかつけて』

『今は、労働中だ座って待ってろ』

『へー、ハッカちゃんエプロン似合うねかわいいよ。あと店で一番高い白ワイン持ってきて』

『はい、喜んで』


ハッカの人見知りは徐々に改善されつつあるようだ、色々自信がついたのかも知れないな…



『エス様、そろそろ大丈夫かと』

『よし、明日からのシフトを考えないとな』

『その辺はすでに手配済みです、はい』


そっと渡された封筒の中身を確認。さすがボブ、ふざけた見た目とは違って出来る男だ。


『お疲れエス。何でもやるんだね』

『まあな、金を稼ぐ方法は1つじゃない』


カウンターの方でハッカがボブの封筒を拒んでいる…

ハッカを見ながら、ソニミオに入れるようにアイコンタクトを取る。

受け取って、仕舞って、ボブとハッカのお辞儀合戦が始まった、少し好きにさせておこう。


『なんで、こんなに忙しそうだったのかね』

『昨日来たときにいた髪の長い女の子が居ただろう。急に町を出たらしくてな』

『そうなんだ、なかなか具合のいい子で沢山お金あげたんだよ。そうか、もう一晩くらい楽しんでもよかったのにな』

『お前が原因か。幾ら位渡したんだ』

俺に怒鳴られてむくれながら、机に金額を書く…そりゃ、そんだけあれば働かないわ…


『久しぶりだったからね。楽しかったよ』

酷いことはしてないからと繰り返し強調するジーザに冷たい視線を送りながら。ハッカが居なくて良かったと一人思っていた。


『エスさん、大声出して何かあったんですか』

『いや、なんでもない。大丈夫だ』


『お待たせ助かったよ』『やっと一息なの』

ハッカを突く、耳元で囁き、金を手渡す。ハッカも自分のソニミオから金を取り出す。

『じゃあ、これでエスさんと私に晩御飯と飲み物を適当に、残りはお2人に』


『『かしこまりました』』



『そういえば、あれから狩りはどうだったのさ』

『初日にしてはまあまあだな』

『ジーザさんのアドバイスのおかげで何とかって感じですね』

『そうかい、役に立ったならよかったよ』


ジーザはかなりハッカを気に入ったようだ、黙っていれば妹を心配する姉だな…

ん、俺のほうを向いて…またか…


『ハッカちゃんは素直だね。ねーエス。本当に素直なのは素晴しいね』




『ジーザ、お前の指摘のおかげで助かった。ありがとよ』



『いいんだよ、僕らはチームなんだから、当然のことさ』

面倒くさい…



『エス様、少し確認をお願いしたいのですが』

『ちょうどいい、2人とも座れよ。今から遅めの夕食なんだ』

『では、ご一緒させて頂きます』

舞は、エルさんに金を渡して、席についた。


『武義、その手に持っているのはなんだい』

『ジーザ様、2週間後の必要物品のリストです』

ふーん、と興味なさそうにハッカにワインを勧めようとしているので頭を叩いておいた、少しの間ハッカに任せておこう。

『仕事が早いな、どれ…』



ほう、ハッカへの配慮がキチンとされている。数箇所新しい感じに直っているのはこの町の物価を調べたからかな。武義の視線が刺さるほど、舞は相変わらず表情が乏しくてよくわからないな。


『いい内容だと思う。食材をもう少し増やしておいてくれ。ありがとな武義』

『では、早速明日から準備に入ります』



飲み食いしながら確認したいことを質問していく。


『武義、舞。戦闘スタイルとか得物を教えておいてくれ。数日後に一度簡単な演習やるからな』


『僕は篭手に小型のリボルバーですね。護身用です』

『私は、近接武器全般ですが、棒がメインです』


ふむ、接近が俺、間にジーザ、ハッカが遠距離で武義と舞はハッカの護衛と荷物番だな…



演習やるにも実戦形式のほうがいい、俺とジーザはともかく、後衛3人は必要だな…



どうしたものか…うーん…



『エスさん、エスさん』

『ああ、どうした』

『そんな難しい顔してどうしたのかと思って』

『僕はやはり足手まといでしょうか…』


ちびっ子2人が心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。

ジーザはボブのアフロにコインを入れて、違うところからボブが出すという遊びに夢中だ。

舞は静かに、しかし大量に酒を飲んでいる。


『いいか2人とも、俺はより良いスタイルをシュミレーションしていただけだ。この5人でな』


少しほっとした2人に続けて言う。


『しかし、問題が1つ…練習相手が欲しい。いきなりワンダーは不安だ。俺やジーザは基本人と組まないからな、人数が増えたときに間違いがあってはならない。それを考えていたんだ。実戦経験があって、頭がいい奴………いるじゃないか。問題は解決だ』



きょとんとする2人の頭をポンポンと叩く。


『ラドさん、ジンストレートで頂戴』



届いたジンを一気に飲み干す。


『明日も稼がないといけないから帰るか』

『はい』


『武義、舞、準備頼むぞ5日後にここに集合だ、途中経過聞くからな頼むぞ』

『わかりました。お任せください』

舞は飲みながら頷く。


『ジーザ、ボブ弄りもほどほどにしとけよ。聞いてたか、』

『聞いてたよ。5日後にここに集合だろう。了解了解。このコインはボブにやろう』

『ははっ、ありがたき幸せです、はい』


『よし、では俺たちは帰る。ハッカ行くぞ』


ハッカの手を引き店を後にした…



『月が綺麗だな』

『そうですね』


問題は今のところオールクリアー。帰って金数えて寝るか。


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