女子供の定義について
敵の部隊が百人ほど敵に捕らえられてしまった。
なぜ残念かというと、ほとんど死刑になるからだ。あまりにも酷い。
「あの、クソ野郎……」
人質保護部屋に着いた。
気が重い。
「人質の中の女子供だけ解放しろとのご命令です」
「……クソが、上等だよ!」
また、こいつらも——
「では、こいつらは牢獄に——」
「違うでしょ?」
今日入った新人だ。
「ほら、その子。前に出て」
「……俺?」
鎖の音を鳴らしながら、上半身裸のムキムキのおじさんが一歩出る。
腕は丸太みたいで、顔には無精髭。
どう見ても——
「君、年齢言ってごらん」
「……四十——」
「ほら」
「五歳くらいの女の子でしょ?」
沈黙。
「……いや、おっさ——」
「どう見えるの?」
「…体格のいいおっさ——」
「はい!リピートアフタミー、私は何も見てません!」
「あれー!聞こえないなー!」
「わ、私は何も見てません!」
「そうだよね」
怖い。
「で、君、何歳?」
おじさんは少し考えてから、諦めたように言った。
「……五歳」
「よし!連れて行ってあげて」
「ちょっ、待て——」
(責任、俺に来るんじゃ……)
「次。君は?お母さんを探しに来た少年」
「……俺も?」
「何歳?」
「……五歳」
「よし」
次々と、屈強な男たちが「五歳」になっていく。
「その真っ白なふんどし……じゃなくて、フリル付きのリボン、とっても似合ってるよ?」
「……あ、ありがとうございます(野太い声)」
現場は、まさに地獄絵図。
丸太のような腕をした大男たちが、次々と「私は五歳の女の子です」と虚ろな目で唱え始める。
新人の「可愛いねぇ」という声が響くたび、牢獄の空気は書き換えられていった。
「どうしたの?疲れたの?大丈夫、あとは私がやるから」
「……はい」
——数分後。
牢には、誰もいなかった。
「なぜ人質が一人も残っていない?」
「ご命令通りです」
「女子供だけ解放しろと言ったはずだ」
「女子供なんて、部隊にいるわけないだろ……」
「貴様か!」
「ヒィ!」
「私です」
「……」
少しだけ首を傾げて、彼女は言った。
「全員、そう見えましたので」
(あぁ、駄目だ。殺される)
クソ!鬼教官!
俺は絶対殺される!せめて彼女だけでも——!
「いや俺」
「つ、次から気を付けろ」
「え?」
「ありがとう〜お父さん♪」
「お、お父さん?!」
「そうだよ〜。クソ野郎のね、あははっ」
「……なんだって?」
(……やっぱ死ぬかな)




