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第9話 男の子というものは

長く、長く見つめ合う。


実際にはそんな長い時間ではないのだけど、見つめるという行動はそれなりに集中するのだ。


いや、相手が、興味無くしたらすぐそっぽ向くと思ってたのよ。そしたら、何?釘付けになったような表情よ?


こっちから目を逸らしても良かったんだけど、女の子を見つめてたら、すぐ目を逸らされたってかわいそうかなと思って。

中身知ったら余計にがっかりだとは思うけど。


結局、通り過ぎるまで、ずっと私のこと見てたわよ。時間にして5秒くらいかな?私の感覚では、5分くらい。なげぇよ。


まぁ、もう会うことはあるまい。

お貴族様の息子と田舎の狩人の娘なんて、皆既日食くらいの頻度しか出会うことはないだろう。


そう言えば私(御門あすかではなく、ルナ)は、こっちでは相当可愛らしいという扱いだ。あのママの娘なのだ。無理はない。

同世代の男どもがこぞって、貢ぎ物を持ってくる。良さげな木の棒とか、蛙とか、虫とか。


あいつら絶対許さん。

ミリ秒で払い除けてやったけど。


そもそも、6歳児の美人とか、あとでがっかりすることの方が多いだろうに。

思春期のメタモルフォーゼを甘く見てはいけないのだ。


だから私は慢心しない。2度目だしね!


そんな日中を過ごした夕方、推し(パパ)からとんでもないことを言われた。


今、ここの村長のところに、領主様がいらっしゃっているそうな。

なんでも、盗賊撃退の褒美をするだとかなんとか。


いや、それはいい。パパが受け取って、我が家でウハウハする分には。


なぜ私も行かないといけないのか!

やだ、絶対。面倒なことが起きる気しかしない。


いやいやアピールを続けたが、パパは頑として聞き入れようとしない。最近、パパが優しくない。推しの塩対応……悪くない…か?


その時、ママが発した一言が私を貫いた。

「ルナ、行ったら、美味しいお菓子とか、ご馳走してくれるかも知れないわよ」


「行かせていただきます」

我ながらチョロい。だって、甘い物とか滅多に食べられないんだもん。

スイーツとか夢のまた夢。サツマイモモドキとか、カボチャモドキくらいしか、甘い物がないのだ。ツツジの花があれば蜜吸えたのに……


しょうがない…甘い物が出てくることを祈ろう。



翌朝、私はパパに連れられて村長宅へ。

いつものボロい服ではなくて、比較的綺麗めのワンピースを着せられ、髪をとかされ、ママのお古の髪飾りをつけさせられた。


鏡とかないから、自分がどうなってるかはわからない。周りの反応からすると、そこそこな見栄えになってるようだ。


この村は、その大きさに比例してか、村長宅も結構広い。お貴族様が滞在するのに適しているかと言えば微妙だと思うが、ここしかないから仕方ない。


その扉の前に着いた時、微妙に視線というか、見られている気配を感じた。

多分、4人。

風が止まったような視界の中、意識だけで視線を探る。

襲ってくるようなことはなさそう。

ただ注視してるだけか。


走馬灯状態が進むとこんな感じで視界の外の気配も何となく感じれるようになった。

すごくない?私!もはや柳生十兵衛並みだ。

名前しかしらんけど。


そして、村長宅に入り、言われた部屋の扉をあける。


そこには、村長と一人のお貴族様、その護衛、そしてその傍らに金髪金眼の男の子がいた。


その子は私をみて、ゆっくりと顔を赤く染めた。



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