第27話 いざ!学院へ
長いようで短い、いやすんごい長かった一ヶ月が過ぎ、いよいよ明日、王都の学院に出発することになった。
書庫の本も読み尽くし、残るは数冊。
その本を手に取ろうとしたとき、領主様から呼び出しをうけた。
なんだろうなと、向かうと、そこには領主様とマクスさん、それからクラリッサ様が待っていた。
「そこに座りなさい、ルナ」
向かいの椅子に座ると、マクスさんが綺麗な所作でお茶をいれてくれた。
なんでもできるんだね!マクスさん!
「各教師とクラリッサ、マクスから報告を受けているよ、ルナ。極めて優秀だと」
いやいや、やめて?
前世知識補正を褒められても、いたたまれないよ?
転生者なら、これくらいは当たり前なのよ。
「おそれいります。教師の皆さまにとても丁寧に教えていただいたおかげです」
まあ、口ではこう言うしかないけど。
「それに、書庫の本もかなりの勢いで読んでいると聞いたよ?どれくらい読んだのだ?」
それも知ってるのか。多分マクスさん調べかな?
「残り5冊くらいでしょうか……。読んでいいものなのか分からなかったので、後回しにしてたのですが」
領主様とマクスさんが目を丸くしてる。
クラリッサ様は変わらず無表情。でも、その細かなマイクロジェスチャーは……、焦り?
「ほぅ……素晴らしい。それで?その読んでいいかわからなかった本とは?」
んー、言っていいのかなぁ……ちょっとぼかすか。
「多分、何代か前の方だと思うのですが……。C.グラナドという著者で、『詩集 愛編』、『詩集 恋編』、『詩集 憎編』、『詩集 戦編』、『詩集 失編』ってタイトルなんですけど……」
その瞬間、クラリッサ様が優雅な歩き方で凄い速さで部屋をでていった。
ちょっと経ったところで戻ってきた。
「それらの本は禁書です。読んではなりません」
やっぱり、クラリッサ様の黒歴史だったか。
みんな察した。
後で書庫に行ったら無くなってた。
出発の朝。
馬車に荷物が積まれていく。
結構な大所帯だなぁって思ってたら、なんと領主様夫婦も、この時期に社交で王都に行くんだとか。大変だね、お貴族様も。
わたしはならないぞ!なれる気もしないけど。
わたしが乗る馬車はどれかな?と思ってたら、クラリッサ様がこっちよ、と言いたげに招いてくる。
いや、やさしい方なんだけどさ……愛情が重いよ。わたし娘じゃないからね?
ほら、コルセットとドレスを使用人にヒラヒラさせないで?
クリストフ少年も手を引くでない。
君、今好感度だだ下がり中だからね?恋愛シミュレーションゲームだったら、リセットボタン押すレベルよ?
使用人がのる馬車は……
あの辺りかな。
メイド服のお姉さんたちが手招きしてる。
その馬車まで行くと、お姉さん達に肩を掴まれた。
へ?
そのまま、クラリッサ様の所に連行される……
王都までの道中はビスク・ドールになることが確定した。




