第22話 やっと領主の街!!
よく寝た……。
今までの堅い木の台に厚手の布敷いただけのベッドとは違って、ちゃんとクッションの効いたベッド!!
この世界に来て初めて熟睡したんじゃなかろうか……。
まぁ、今までもしっかり寝てたけどね。
幼児は寝台を選ばず、だ。
いつも通り、日が昇る前に目が覚めた。
習慣って、すごいね、昨日は馬車の苦行と、ターン制バトルやったから、寝坊するくらいかなと思ったけど。
仕方ない、起きてしまったら、いつものルーティンこなさないと気持ち悪い。
和泉守兼定を持って、素振りすべく外にでよう。
軽く素振りして、身体動かしたら、身体がほぐれて気持ちよくなるのだ。
階下におりて、外にでる扉を開ける。
……。
うん、やめよう。
剣を持った露出魔がいる。
「やぁ!美少女剣士!木刀を持って、素振りかい?私が、じっくりと、見てあげるよ!さぁ、さぁ!」
上半身裸の変態剣士が、湯気を上げながらすごい速さで回り込んできて扉を閉めた。
……うぇぇぇぇ…。なんでいるのよぉぉ…
いや、すげぇいい身体してるよ!さすがゴリラに次ぐ剣士だよ。何も言わなきゃ顔も何気に整ってるし!
でも滲み出る、いや、溢れ出てる『ニチャア感』が、全てを拒絶させにくる!
「あ、いや、その、朝の空気吸いにきただけだから!……ああ、美味しい!じゃあまだ早いし、もう一眠りするね!」
変態剣士は動かない。
「あ、あの〜?わたし、部屋にもどりたいなぁ〜」
迫ってくる変態剣士。
「今朝の君の木刀は、血に飢えているんじゃないのかね?」
それは虎徹だ!
これは兼定だよ!
ていうか何でそのフレーズ知ってるんだ!?
くそぅ、やらないと扉の前から動きそうにない。
ホントに血を吸わせてやろうかな。
いや、汚れる。大人しく素振りしとこう。
結局、いつもと同じ、100回くらい素振りした。
変態剣士が何か言ってくるかと思ったけど、100回振った後に、『無駄がなくて、とてもいい』と、真面目な顔して言った。
そんな顔もできるんじゃん、そのまま維持してよと、びっくりしてたら、秒でニチャアってなった。
変態ダメ、絶対!
そんな朝を乗り越えて、出発の時間。
リーンお姉様と一緒に行きたかったけど、ここから直接王都にいくらしくて、領主邸に向かう私とは別ルート。
すごい弱々しく、
「リーンさんと離れたくない……一人だと怖い……」
って言ったけど、軽く流された。
「ルナちゃんは、強いから大丈夫よー」
だって。
いや、私は嘘は言っていない。
変態、怖い。
この街から領主のいる街までは、夕方には着くらしい。また苦行が始まると思ってたけど、後半の道のりは苦にならない!
なぜなら、リーンさんが王国紀を貸してくれたから!
これ、リーンさんの写本らしくて、学院についたら、また作るからいいよ、だって!
綺麗な字なんだけど、少し崩し具合がとっても可愛い。もう、匂いも嗅いじゃう!!
インクの匂いしかしないけど!
変態剣士が、そんな私を変態を見るような目で見てくる。
お前と一緒にするな!これは高尚な行為なのだ!
馬車の中で何回も何回も読み返す。
読み返す程に分かることもある。
ここに書いてあることが、創作ではなくて、本当にあったことなら、これからも起きうることなら……
この世界は過酷だ。
人が住める土地はごくごく限られているのだから。
そんな感慨に耽る中、馬車は領主邸のある街についた。




