第13話 走馬灯より身長だ
「さあ、好きなように打ってくるといい」
RDJはそういうけど、私はまだまだ、筋肉ないから、早く動けないんだよね。反応は走馬灯補正でバツグンなんだけど。
だから、パパ(もう、推しっていわないもん!)との訓練は、動きを見てからそれに合わせて動くっていうやり方にしてたのだ。それでもパパには1本も取れたことはない。
しょうがない…脳内高速バトルから始めようか。
このまま右に振り抜く、当然木剣に防がれるから、腕を振り上げて振り下ろす……
うん、防がれるね。
じゃあ振り下ろして、木剣が防ぐ軌道に入ったところで、身体を右に回転させて、木刀ごと身体に巻き込んでガラ空きになった脇へ打ち込む……
うん、いけそうだ。
視界には、RDJ、その後ろに領主様と金髪少年。
あ、うん、入ってこないで。気が散る。
はい、集中!
耳鳴りのような音とともに世界が極端に遅くなる。
木の枝から飛び立つ小鳥が、枝から足を離した状態で宙に浮く。
砂埃の一粒一粒が静かに舞い上がっていく。
まずは右からの振り抜き。
じれったい。でも、少しずつRDJに向かっていく。
RDJの剣が横に動き始める。
ここで、腕を振り上げる。
横に動く剣の動きは止まらない。
RDJはまだ、動きの変化を認知できていない。
今。目に驚愕の色が少しずつ浮かんでいく。
剣の動きがブレて、急制動がかかる。
そして振り下ろし。
筋肉が一目でわかるほどに繊維の束毎に隆起していく。
わお、体脂肪率低そう!
筋肉が膨らんでいくとともに剣が上に引き上げられていく。
ここで回転、そして剣を巻き込む。
視界がゆっくりと回っていく。
他の兵士の姿、パパ、畑……。
砂埃が身体の周りを舞うように飛んでいるのがみえる。
視界にRDJが再び入ってきた。
ガラ空きの右脇に木刀を打ち込む。
着実に空気を裂いていく木刀。
身体が回転と共に、前に進んでいく。
細い筋肉が悲鳴をあげる。
木刀がRDJの脇に食い込み……
カンッ!……………
木刀と木剣が当たる硬い音が、村長宅の前に響いた。
あれ?なんで?
回転の勢いのまま、進む身体を両足で必死に止める。
砂埃と靴が滑っていく音をたてて、ルナの身体が動きをとめた。
「なかなかのものだ。驚いた。腕の長さがないから、打ち込める幅が狭いだけだな」
手の長さ……。身長かよぉ!!
いや、だって6歳だもんね。そもそも頭にも木刀が届かないんだよ。
「早さも足りないが、目がいい。鍛錬を積めばかなりの腕前になるだろう」
あ、しまった。キツイのはいや。初心者コースでお願いします。
「次はこちらから打ち込むぞ、防いでみせろ」
まって、まって!無理無理無理無理!
その太い腕で打たれたら吹っ飛ぶから!
グラッドさーーん!
あ、名前思い出した。




