第10話 事務所スカウト?
少年の熱い視線
ドアの外の様子をうかがう気配
村長の楽しげな、誇らしげな眼差し
興味深げなお貴族様
そして何より、
お貴族様の隣にいる護衛の人がウザったい。
なんか微妙にピクッ!ピクッと動いてくる。筋肉の微妙な張りが次の動きを予想させるんだけど、動きを止めて違う動きをし始める。
いや、ホント、そういうことされると、集中しちゃって、お貴族様とか村長が話してることが、ドンドン間延びして聞き取りにくくなるんだよ!
なんだ、お前!
脳内高速バトルでもしたいんか。お前はロバート・ダウニー・ジュニア(RDJ)か!
お前のRDJと私のRDJ、どっちが強いか勝負すっか?!
……とはならない。
なんたって、私の脳内はかよわい眼鏡女子高生だ。身体だって、たかだか6歳の美少女(メタモルフォーゼ前)、バトルなんてとてもとても……
それよりも早くそのテーブルの上にある、お菓子貰えないかな?スイーツプリーズ!
そう思って視線を落とす。
落としたところで、気配を感じちゃうのは変わらないが。
「……それで、隣の娘が5人の盗賊を見事撃退したという神童か?」
おおい!かよわい設定が台無しじゃないか。
脳内モノローグに突っ込んでくるとは、高等技術だね、お貴族様。
「はい、さようでございます、領主様」
パパの丁寧な言い方、初めて聞いたわー。敬語の推しもいいね!
「……ふむ……、どうだ?グラッド」
隣にいたRDJモドキが答える。
「ええ、先程から、私の仕掛けにことごとく反応してきました。うちの剣士団にも、ここまで反応できるものは、いないのですが……。入ってこい」
お前!試してたのか!!
やめて?そういうの、良くない。女の子試すとか、嫌われるやつよ?
扉が音を立てて開く。
4名程の剣士風の者達が入ってきた。
RDJモドキ(グラッドさん)が問う。
「お前たちはどうだった?」
4人を代表して、先頭の一人がおもむろに話し出した。
「おそらく、4名とも看破されました。順番に見えない位置から殺気を放ったのですが、すべてに反応されました……。驚きです……」
おまえらもか!
なんだよぅ、よってたかって健気な女の子をいじめて……。良くないぞ!そういうの!学級会で先生にチクるぞ!学校にいってないけど!
お貴族様が、感心した風で考え込む。
「……ふむ……、かなりの素質があるようだ。ちゃんとした鍛錬を積めばかなりの腕前になるかも知れんな……。よし、エルクラインよ、そなたの娘、私に預けてみないか?専門の鍛錬を積ませて、世に名を轟かせる剣士にしてみせようぞ」
その途端、少年の顔が花が咲いたように輝く。
いや、ちょっと、待って!
少年!喜ぶな!早い!
それと、何?スカウト?なんだここは原宿だったのか?
あと何より……
パパの名前って、エルクラインっていうの?!




