第84章 ― コンスの狩り
「エジプト神話ではコンスは悪者ではないが、私は脚本の中である程度自由に解釈することにしました。」
コンスは飛行しながら、周囲の気配を探っていた。
(……いくつも気配を感じるな)
(女が二人……そそるじゃねぇか。殺して、死体を犯すのは後回しだ)
(だがまずは……エジプトの神が二人いる。そいつらから殺す)
コンスはそう考え、己のトテマ――
包帯を巻いた男が杖を持つ像を取り出し、起動した。
その瞬間、
隼の形をした兜が出現し、二本の角が三日月を形作った。
肌は青緑色に変わり、顎にはエジプト式の髭が生え、
黄金の牛のような鎧が、包帯だらけの肉体を包み込む。
左腕には黄金の蛇が巻き付き、
背中からは巨大な白い翼が広がった。
コンスの神力は爆発的に解放され、
オルニスケムの全員が同時にそれを感知した。
アンナとタニアは、巨大なキメラと戦っていた。
オルニスケムのマラクたちは、アレスの天使たちと交戦している。
アンナは剣で容易く首を斬り落とし、
タニアは炎で怪物を焼き尽くした。
だが次の瞬間――
二人は、遠方から放たれた圧倒的な力に気づき、凍りついた。
「……とんでもない力ね」
タニアが低く呟いた。
「遠いよ。アレオパゴスの宮殿を探し続けないと」
アンナが答えた。
タニアは静かに頷いた。
別の地点では、
ミトラス、ソル、エポナがバジリスクの群れと交戦していた。
すでに複数のマラクが石化され、
神々が直接戦闘に入らざるを得なくなっていた。
その時、
三人同時に、異常な神力を感知した。
「……あんな力が存在するとは」
ミトラスが眉をひそめた。
「本当にケレスなのか?」
「ま、間違いない……」
ソルが答えた。
(……とても強い)
(アンナ、タニア、ロドリゴ……気をつけて)
エポナは心の中で祈った。
「集中しろ!」
ミトラスが叫び、バジリスクの首を刎ねた。
「奴はここには来ていない。進め!
それと、マラクを捕らえたら殺すな。情報を全部引き出せ!」
「はい!」
ソル、エポナ、そして生き残った天使たちが叫び、戦闘を再開した。
さらに別の場所――
ロドリゴは、エジプトの神々とマラクたちと共に、
巨大な戦車を引く戦猪と戦っていた。
「あれは……コンスか?」
マアヘスが問うた。
「……違う。前より遥かに強い」
モントゥが戦いながら言った。
「間違いない。アムンの息子だ」
(……信じられない)
(あの神力……化け物だ)
(勝てるわけがない……)
ロドリゴは不安に駆られながらも、必死にマラクを守っていた。
「クソ野郎……こっちに真っ直ぐ来てる! 気をつけろ!」
マアヘスが叫んだ。
その瞬間、
空が暗転し、三日月が浮かび上がった。
白い星のように輝きながら、
両腕と翼を広げ、コンスが降臨した。
「ようこそ、オルニスケムの戦士ども」
コンスが愉悦に満ちた声で告げた。
「マアヘス、モントゥ……久しぶりだな」
「また会えて嬉しいぜ――
俺を追放した、あの腐ったエジプトの種族によ」
「……よりによって、最悪の敵に会ったものだ」
モントゥが吐き捨てた。
「知らねぇ奴のために名乗ってやる」
コンスは地に降り立ち、空は元に戻った。
「俺の名はコンス。三日月のエジプト神だ」
「ロドリゴ、マラクたち!
気をつけろ、あいつは異常に強い!」
マアヘスが警告した。
「ここは俺たちが引き受ける」
モントゥが言った。
「お前たちはアレオパゴスを探せ」
「その作戦は無理だな」
コンスが笑った。
「拷問するのはお前ら二人だけだ」
「他は――慈悲深く殺してやる」
「危ない!」
マアヘスとモントゥが同時に叫んだ。
――遅かった。
コンスは人差し指を突き出した。
そこから、
巨大な銀の円盤が幾重にも放たれ、螺旋を描きながら飛翔した。
次々とマラクの首が飛び、
ロドリゴの腕も切り裂かれた。
完全に失わなかったのは、奇跡だった。
戦猪と、モントゥたちと戦っていたアレスのマラクも、
一瞬で皆殺しにされた。
「な……なぜです、コンス様……」
アレスのマラクが叫んだ。
だがコンスは杖を振るい、
天使の上半身を真っ二つに裂いた。
顎だけを残し、即死だった。
「俺はマラクが嫌いなんだ」
コンスは吐き捨てた。
「なんで下等生物が、俺たちと同じ神性を持ってやがる?」
「理解できねぇ」
マアヘスとモントゥは、惨状を見つめた。
マラクの大半は死に、
ロドリゴは負傷しながらも、イコルで回復していた。
「……何も変わっていない」
マアヘスが苦々しく言った。
「やはり、あいつは怪物だ」
「マヌの地の怪物だな」
モントゥが続けた。
その言葉を聞きながら、
コンスは静かに二人へと歩み寄ってきた。
「ここまで読んでいただきありがとうございます!次回もぜひお楽しみに。」
「翻訳に間違いがありましたら、お知らせください。」
「とても感謝しています。」




