第57章 ― 北欧の神々対エサス
「この物語は歴史と神話をもとにしたファンタジーです。」
アースガルズ、ユグドラシル。
かつて黄金の建造物と森と湖、そして光の石畳で満ちていた美しき国は——
今や炎と瓦礫の地獄と化していた。
エススは空中に浮かびながら、
“ウィッカーマン”と呼ばれる巨人たちに破壊を指示していた。
それらは無数の死体を籠に編み込み、人型に成形した忌まわしい兵器。
彼とマラキムがアースガルズの住民——ワルキューレ、エインヘルヤル、人間までも生贄として殺し尽くして造ったものだった。
その時、ビフレストが開き、光の橋から四人の神が姿を現した。
トール、フレイヤ、フレイ、そしてテュール。
彼らは、先ほどエススが造った別次元から脱出し、
四人のケルト神を退けてきたものの——
アースガルズを救うには遅すぎた。
ヘイムダルは片膝をつき、剣を地に突き立てていた。
さきほどエススに一瞬で倒されたのだ。
さらに彼の周りには、戦闘不能になった他の神々——フリッグ、ヴィーダル、フォルセティの姿も横たわっていた。
「来たのか、トールたち……」
淡々と告げるヘイムダル。喜びも怒りもない。
彼のトーテマが発動した姿はまったくの別人だった。
白と青の輝く兜、両脇に伸びる雄羊の角。
白いバイキング鎧に青と金の線。
雪のような肌と髪から、アースガルズでは“幽霊”と呼ばれている。
胸にはルーン【ᛞ】が光っていた。
「レルめ…なんという災厄を我らの国に落とした」
トールは怒りを噛み殺した。
「ねぇトールちゃん、あれってちゃんの可愛い息子くんたちじゃない? ♬」
フレイが笑いながら言う。
「そうだが……まぁ無理だな。あいつらは母親に甘やかされすぎた」
トールは肩をすくめる。
「なんて言い方するのよ!」
フレイヤが怒鳴る。
「家族の話など、そもそもお前に関係あるか?」
テュールが冷たく返す。
フレイヤは「ふんっ」と顔を背けた。
「テュールの言う通りだ。まぁこれで少しは鍛え直されるだろう」
トールは平然としていた。
「むしろ朗報だ。最近は強敵に会えなくて腕が鈍っていた」
テュールは不敵に笑う。
「あなたも本当にひどい人ねぇテュールちゃん。
戦うのは好きだけど、味方がやられてるのを見るのは好きじゃなぁい ♬」
フレイが肩を振る。
「この戦いが“にゃんとも完璧”に終わろうが、“ツメあとだらけ”になろうが、もう関係ないにゃ。エススを倒して、あいつの首をレルに持っていくにゃ。ユグドラシルの神々が、どれほど“にゃん力”があるか、思い知らせてやるにゃ!」
フレイヤは猫のように喋り出した。
「いい加減にしろフレイヤ!誰もお前の猫語なんて分からん!」
テュールの怒号。
「うちのカワイイ妹にそんな言い方しないでよ、テュールちゃん ♬」
フレイが抗議。
「うるせぇよ変態豚」
テュールは睨み返す。
……この兄妹、頭どうかしてる、とトールは内心ため息をついた。
四人はそれぞれトーテマを発動させていた。
トール——黄金の翼兜、雷を孕む鎧、熊皮のマント。
ミョルニルを握り、腰のメギンギョルズは白銀の光。胸には【þ】。
フレイ——黄金の大猪の兜、巨大化した鎧、背中には牙。
毛皮の腰布と蹄のブーツ。角のような剣。胸には【ᚠ】。
フレイヤ——白金の翼冠、白髪に猫耳、金の胸当て、青いスカートとマント。
巨大な二又槍。胸には【ᚠ】。
テュール——血染めの鎖帷子、目を覆う兜、赤いローマ式マント。
血のように滴る剣。腰には【ᛏ】。
その時——
エススがモディとマグニを手刀一撃で吹き飛ばし、地面に沈めた。
息子を倒されたトールは、怒るどころか嬉しそうに笑った。
「さぁ、苔頭!次は俺たちだ!」
エススは振り返り、笑った。
「おやおや。我が“アースガルズ破壊祭”にようこそ。
足元にキスしてくれれば全部避けられたのにね?」
「くそっ……あいつ、トーテマすら装備していない」
テュールは唸る。
「どうした?つけないのか?」
トールが挑発。
「必要ない。お前ら程度に」
エススは肩をすくめる。
「じゃあこちらも条件を揃えられん。付けろ。卑怯だ」
トールは言い放つ。
三柱も頷く。
エススは大笑いし、腕を広げた。
「なら……無理矢理つけさせてみろ」
「この臆病者が故郷を壊すなら、我が名誉を汚してでも止めなければならん」
テュールは剣を抜いた。
「まさか、行くつもりかにゃ?」
フレイヤが問う。
「もちろんだ」
「北欧の阿呆どもは、本当に一対一が好きだな」
エススは嘲笑した。
「戦士の誇りも知らぬ臆病者が口を挟むな!!」
テュールは大地を蹴り、疾走。
赤い剣が閃き——
「ここまで読んでいただきありがとうございます!次回もぜひお楽しみに。」
「翻訳に間違いがありましたら、お知らせください。」
「とても感謝しています。」




