第54章 ― ロキの攻撃
「この物語は歴史と神話をもとにしたファンタジーです。」
ロドリゴは獲物を仕留めた野獣のように咆哮しながら着地した。
「ルイ……大丈夫……?」
アンナがゆっくり近づきながら声をかけると、
ロドリゴは不安定で混乱した瞳で彼女を見つめた。
その瞬間——
ロドリゴは血を吐き、
意識を失って倒れ込んだ。
アンナが駆け寄ろうとしたが、
アテナが腕をつかんで止めた。
「今触ったらダメよ。
彼の血はまだ“毒”になっているわ」
ロドリゴは地面に転がり、蛇の特徴が少しずつ消えていく。
呼吸は荒く、体温は異常に上昇していた。
「身体がまだ耐えられないのよ」
アテナはそう言ってアンナを抑え続けた。
「じゃあ、何かしないと……!」
アンナは必死に訴える。
アテナはロドリゴの身体を抱き上げ、
少量のアンブロシアを飲ませた。
ロドリゴは激しく咳き込みながら意識を取り戻す。
「何が起きたか、覚えてる?」
アテナが尋ねる。
ロドリゴは周囲を見回し、
自分でも信じられないほど混乱した顔をした。
「……あの毒の霧に巻き込まれてから、
何も覚えていません……」
彼は顔の半分を手で覆ってうめいた。
「ルイ、本当に大丈夫……?」
アンナが駆け寄る。
「平気よ。血ももう正常に戻ってる」
アテナが保証する。
「いったい何があったんです……?」
ロドリゴが尋ねると、
エポナが足を引きずりながら近づいてきた。
タニアは腕を組んだまま、距離を置いて立っている。
アンナが説明しようとした瞬間、
アテナが先に言った。
「隠された力であの怪物を倒したのよ。
でも、これから鍛えなきゃいけないわね」
「本当にすごかったよ、ルイ」
アンナが安堵の笑みを浮かべる。
「ロドリゴ、アンタのおかげで命拾いしたよ。ありがとね」
エポナも言った。
ロドリゴは小さく微笑んだ。
「皆さんの役に立てて……本当によかったです」
三女神(タニア以外)は彼に微笑み返した。
その時——
ロキが目の前に姿を現した。
灰色のローブをまとい、フードの奥に顔を隠している。
「クソガキども……よくも俺の軍勢を倒したな。
仕方ない……誰か一人くらい、ここで殺しておくか」
北欧の神は不機嫌に唸った。
アテナは地面に座り込んで、
ワインでも飲むような気軽さで言った。
「それで? 戦って何が得られるのかしら。
まだレルの命令に従ってるの?」
「黙れ。それは貴様の知ったことじゃない」
ロキは吐き捨てるように返す。
「その上、ケルトの神々がすぐあなたの首を取りに来るわよ?」
アテナは淡々と続ける。
「それも関係ないと言っている!!」
ロキは怒鳴り返した。
「お前らを生贄にできなかった以上……
せめて一人くらい殺して計画を進めさせてもらう。
さあ来い、全員でかかってこい」
ロキは腕を広げて挑発した。
「私が相手よ」
タニアが静かに前へ出た。
「よかろう」
ロキは灰色の外套を脱ぎ捨てた。
そこに現れたのは——
黒髪に紫の瞳、
ヤギのような短い顎鬚、
巨大な山羊の角がついた黒紫の兜、
胸には黒と紫のヴァイキング鎧、
暗色のキルト、
黒いブーツ。
その胸の留め金には ᛚ のルーンが刻まれていた。
「では、お前を生贄にしよう」
ロキは薄く笑った。
タニアは火の爪をまとい、
まっすぐに飛びかかった——
しかしロキはただ素早く印を結び、叫んだ。
「フィンブルヴェトル(Fimbul-vetr)(忌まわしき氷の大嵐)!!」
瞬間、タニアの周囲に巨大な氷柱が伸び、
彼女を閉じ込めた。
「一人目、終わりだ」
ロキは冷たく言い放った。
「ここまで読んでいただきありがとうございます!次回もぜひお楽しみに。」
「翻訳に間違いがありましたら、お知らせください。」
「とても感謝しています。」




