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第46章 ― トテマ発動

「この物語は歴史と神話をもとにしたファンタジーです。」

エポナは、ロドリゴが自分の前に立ち、両拳に光を集めて構える姿を見て、ようやく我に返った。

「バカロドリゴ!戦うなって言ってんのよ!!

あんな化け物、まず戦い方知らなきゃ即死よ!!」

その瞬間、ヨルムンガンドの巨大な頭部が襲いかかった。

二人はギリギリでかわす。牙が地面に触れた場所は紫色の毒で溶け、獣の口からは猛毒のガスが噴き出していた。

「そのガスも、毒の一滴でも触れたら激痛で死ぬわよ!絶対に当たるんじゃないっての!」

エポナは叫び続けた。

再び蛇が頭を持ち上げ、今度はエポナへと大口を開く。

「……やっぱ危険覚悟ね」

エポナは胸元からトテマを引き抜き、両手で強く握った。

小さく呟く。

「エス ミセ エポナ、リーグ ドムフ も チュムハド に ビス アガム(私はエポナ。どうか、この力を)(Is mise Epona, leig dhomh mo chumhachd a bhith agam)」

眩い光がエポナを覆い、ロドリゴは反射的に腕で目を覆った。

ヨルムンガンドが焦れて突進しようとした瞬間、何かに殴られたように後方へ吹っ飛ぶ。

光が強すぎて何が起こったか分からない。

光が消えた。

そこに立っていたエポナは——完全に変わっていた。

髪は白に近い金、瞳は鮮やかなエメラルド。

黄金のティアラと胸当て、緑のケルト模様のロングドレス、厚手のブーツ。

そして背後には、馬の形をした光の翼が浮かんでいた。

ロドリゴは思わず息を呑む。

「この次元に閉じ込められてる馬は……351頭ね。

つまり私の力は351倍ってわけ」

エポナはふっと消え、次の瞬間にはヨルムンガンドの顎をアッパーでぶっ飛ばしていた。

大蛇は地面に叩きつけられる。

ロドリゴが呆然と見つめていると、エポナが隣に降り立つ。

美しすぎて顔が赤くなるロドリゴ。

「今は惚けてる場合じゃないっての!アホ!!」

「す、すみません!」

「いい?この“翼”は、馬たちの霊力を借りてるだけ。戦場だから馬が多くて私の力は跳ね上がってる。

でも——それでも足りない。タニーンは桁違いに強いのよ」

彼女は巨大な蛇を見据える。

「アンナを泣かせたら承知しないからね。絶対死ぬんじゃないわよ、ガキ」

ロドリゴはごくりと喉を鳴らす。

遠くからロキの声が響く。

「ほぉ……思ったよりやるじゃないか。

でもねぇ、その坊やはすぐ死ぬよ。その苦しみが、我が主にもっと力を与えるだけだがねぇ」

アテナは丘の上でワインを飲みながら呟いた。

「ふふ……あの子の目、悪くないわね。うまくいけば化ける。

失敗すれば即死だけど……まぁどっちでも楽しめるわね」


ユトランドの別の場所。

タニアは乾いた大地の異界に放り込まれていた。

「待っていたぞ、タニト!」

スルトが炎の剣を構え立ちふさがる。

「探してたのはこっちも同じよ、クソ巨人」

「トテマなしで何ができるっていうんだ、クソ娘!」

スルトは咆哮しながら剣を振り下ろす。タニアは軽くバク転してかわす。

「今日はアンタの罪、全部償わせる。地獄でね」

タニアはトテマを握りしめ、呟いた。

「ダール ラナット、 エッシュ ラッシュ(来い、神炎)(Dar lanat, esh lash)」

大地が炸裂し、巨大な火柱が立ち上がる。

スルトが目を見開く。

「なぜ奴にトテマが!?」

炎が消えたとき——

タニアは炎そのものになっていた。

紅蓮色の髪が燃え、瞳は黄金。

胸当てと冠、オレンジと金のスカート、紫のマント。

そして頭上には赤い三日月が横向きに浮かぶ。

「残念だけどね、スルト。

あんた……今日で消滅よ」

タニアは指をL字に構えた。

スルトが喜びの笑みを浮かべる。

「私はタニト。私に挑む者は——皆、死体になる」

彼女は爪を炎に変え、一気に飛び込む。

スルトの剣に飛び乗り、踏みつけ、頭を掴んで地面に叩きつける。

轟音と共に大地が砕ける。

「私は炎の女神よ。アンタの炎なんてクソ以下よ」


ユトランドの山岳地帯の別の場所。

アナは、また別の異界——凍てついた世界に一人だけ転移させられていた。

雪が降り、霜が地面を覆い、凍える風が山頂の間を唸りながら吹き抜ける。

そのとき、空に裂け目が開き、巨大な毛むくじゃらの爪が大地へ叩きつけられた。

アナは剣を構えた。

「モリガン……闇の幻影の女王よ」

ロキの声が反響する。

「我が子の餌となれ。フェンリルは飢えているぞ」

十メートルを超える巨狼が現れた。

白く濁った瞳、灰と黒の毛並み、槍のように長い牙からは唾液が滴り落ちる。

(これが……オーディンを殺す運命の獣……?)

アナは息を呑む。

(全力で戦わなきゃ……殺される……!)

「忠告だよ、モリガン」とロキ。

「“モリガンって呼ぶなって言ってるでしょ!!”

アナが怒鳴る。

「君の坊やとイギギは、今タニーンと戦っている。

のんびりしていると——死ぬよ?」

「この野郎!!」

アナは叫ぶが、ロキの姿はもうどこにもない。

フェンリルが突進してきた。

アナは顎を斬り裂き、血を飛ばしながら横へ跳んで回避する。

「よし……全力でいく。

そしてルイを助ける……絶対に」

アナは左手でトテマを掴み、強く握りしめた。

「一撃で仕留めるしかない……!」

狼が唸り声を上げる中、アナは低く囁く。

「タ の おい シオライ ファオイ も ラダルク(永夜は、わたしの視界に宿る)(Tá an oíche síoraí faoi mo radharc)」

暗い羽根が無数に舞い上がり、アナの体を包み込み、宙に浮かぶ黒い球体を形成した。

そして——

球体が割れ、内部から漆黒の巨大な翼が広がる。

アナの姿は完全に変貌していた。

夜のように暗い紫の鎧が身体を覆い、

瞳は幽鬼のような青い光を宿し、

白く透き通った肌は冷気を帯び、

髪は黒い霊力を噴き上げるように揺れ動く。

そして剣は——

黄金の柄に竜の彫刻をまとい、白い幽炎を宿した巨大な刃へと変わっていた。

「私はアナ。

“モリガン”なんかじゃない。

モリガンは私と、もういない二人の姉妹の融合体……

その名を名乗る資格なんて今の私にはない。」

アナはゆっくりと剣を握り直す。

「でも……今の私の力なら、あんな未熟な狼くらい簡単に殺せる。」

そして、そっと呟いた。

「ルイ……アンナは信じてるよ。

アンナのルイなら……絶対に負けない。」

フェンリルが凄まじい咆哮を上げ、顎を大きく開いて突進してくる。

アナもまた、黒い翼を広げ——

夜を切り裂くように、真正面から飛びかかった。

「ここまで読んでいただきありがとうございます!次回もぜひお楽しみに。」

「翻訳に間違いがありましたら、お知らせください。」

「とても感謝しています。」


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