第16章 — タニア対アンナ
「この物語は歴史と神話をもとにしたファンタジーです。」
タニアとアンナは向かい合い、ロドリゴはさきほどタニアが座っていた場所に腰を下ろしていた。
「いい、ルイ。イコルがわたしたちの生命力だということはもう学んだわね。
次に覚えるべきは“マンナ”――わたしたちのエネルギーと魔力の源よ」
アンナがそう言うと、彼女の手に一振りの剣が現れた。
タニアも右手を上げ、指先が炎の爪へと変わり、構えを取った。
「わたしの剣の召喚も、タニアの炎の爪も、どちらも“マンナ”を消費するの。
戦いの最中にすべて使い切ってしまえば、もう何の技も使えなくなる。
だから、一度に全部使い果たすようなことはしないで、慎重に管理するのよ。
マンナが尽きれば、拳と足で戦うしかなくなるわ」
そう言うと、タニアとアンナは同時に飛びかかった。
アンナが剣で斬りかかると、タニアは素手――炎に包まれた爪――でそれを受け止めた。
二人の力がぶつかり合い、衝撃波が洞窟の地面を引き裂き、ロドリゴを吹き飛ばした。
タニアは勢いに乗じてアンナを突き飛ばし、もう片方の手――炎の爪――でアンナの頭を狙った。
しかしアンナは間一髪で避け、二回転して距離を取った。再び構えを取る。
タニアの爪の先端に五つの小さな光点が現れ、彼女は叫んだ。
「シャハール!」
五つの光の点が五つの巨大な火の玉に変化しました。
アンナは剣を闇のエネルギーで包み、次々と火球を斬り裂いた――ただし最後の一つだけは防ぎきれず、直撃して大爆発を起こした。
アンナは膝をついた。
タニアは再び跳び上がり、同じ攻撃を放つ。五つの火球がアンナを直撃し、轟音とともに爆発した。
しかし、煙が晴れると、アンナは盾を召喚して防いでいた。
「クラーグ・ドゥバーン!」
アンナが叫び、盾は消えた。
彼女は体を低く構え、まるで矢のように突進した。
「ベアンナ・ポルタ!」
その声とともに、アンナの姿が残像のように消え、カラスの幻影が背後に浮かんだ。
だがタニアは剣を両手の炎の爪で受け止め、力任せにアンナを壁へ叩きつけた。
壁は粉々に砕け、アンナの体はさらに飛ばされ、次の瞬間、次元の壁に激突して血を吐いた。
それでもアンナはまだ倒れていなかった。
反動を利用して再び飛び出す。
「ベアンナ・ポルタ!」
もう一度叫び、稲妻のように突進した。
タニアは止めようとしたが、今度のアンナはさらに速かった。
剣がタニアの腹部を貫く。
二人は爆発的な速度で洞窟内を突き抜け、次元の壁際まで吹き飛んだ。
宙を舞う最中、ベルベルの女神は自ら剣を引き抜き、アンナを壁に叩きつけた。
そして両手に炎の双爪を呼び出し、叫ぶ。
「ツェンプ・ダラク!」
一瞬のうちに、数千の斬撃がアンナを襲った。
防ぐことも逃げることもできず、次元の壁に押し付けられたまま、アンナは激しい連撃を受け続けた。
やがて意識を失ったように見えた。
タニアは片方の爪を引き、巨大な炎を溜め込むと、それをアンナの腹部へ突き刺した。
壁に磔にされたように、アンナの体は貫かれた。
それを見たロドリゴは絶叫し、女神にやめろと叫んだ。
タニアは爪を引き抜き、背を向ける。アンナの体は無数の破片となって爆散した。
「またあたしの勝ちね」
タニアは満足げに微笑んだ。
ロドリゴは立ち上がると、衝撃的な戦いを目の当たりにしたまま、アンナの残骸が落ちる場所へ駆け寄った。
「殺すことはなかっただろ!」と彼は叫んだ。
タニアは笑った。
だが驚いたことに、アンナはまだ生きていた。
片膝をつきながら、巨大な傷が目の前で癒えていった。
「うっ……うぐっ……大丈夫よ、ルイ」
黒髪の女神は苦しげに言った。
「この程度じゃ死ねないわ」
「今の攻撃で、イコルを一割ほど失ったわ」
アンナはロドリゴの手を掴み、立ち上がった。
「でもね、技に使ったマンナは百のうち一しか使っていないの。
叫びながら放つ技は最も消費が激しい――それがわたしたちの“秘奥技”なの」
そう言って、体の埃を払った。
そのとき、血のように赤い視線がロドリゴを射抜いた。
彼が振り向くと、タニアが狂気じみた笑みでこちらを見つめていた。
「さて、“ルイ”――今度はあんたの番よ」
タニアは皮肉に言い、アンナが使う愛称をわざと真似た。
「カラス頭が甘やかすばかりだから、あたしが本気を引き出してあげる。
あたしが襲いかかったとき、反撃できるか見せてもらうわ」
タニアは手を振り抜いた。
その速さから生じた衝撃波がロドリゴを数メートルも吹き飛ばし、アンナから遠く離れた場所に叩きつけた。
「うっ……殺すな、タニア……」
アンナは立ち上がりながら言った。
「自分の弱さで死ぬなら、それまでよ!」
タニアは咆哮し、炎の双爪を再び召喚して構えを取った。
「一度戦い始めたら、獣の本能が止まらないの。獲物を捕まえるまでね」
そう言って、彼女は舌で唇をなめた。
ロドリゴは追い詰められていた。
――僕は死ぬ。今度こそ本当に。
タニアが咆哮し、姿を消した。残されたのは炎の残光だけ。
ロドリゴが辺りを見回した瞬間、炎の爪跡が彼の腹を切り裂いた。
耐え難い痛みが全身を走った。
アドレナリンに駆られながらも立ち続け、周囲を見渡すが、タニアの姿は見えない。
次の瞬間、右肩、左脚、腹部へと連続して爪が襲う。
「反撃しなきゃ、あんたの喉笛を噛み切るわよ!」
怒り狂った女神の叫びが響く。ロドリゴの体には無数の傷が走った。
そのとき、彼の脳裏にアル=マンスールを殺せなかったあの無力感がよみがえった。
ロドリゴは怒りの咆哮を上げ、力が爆発した。
洞窟全体が揺れ、タニアは喉笛に噛みつく前に後退せざるを得なかった。
半ば意識を失いながらも、ロドリゴの緑の瞳は怒りに燃え、タニアを見据えた。
その目に、タニアは初めて“恐怖”を覚えた。
彼は右手を掲げ、エネルギーの球を作り出し、それをタニアに向かって放った――わざと外して。
爆風が洞窟の壁を吹き飛ばし、巨大な穴を穿った。
「やったのか?」
アンナが戦場に駆け寄りながら言った。
だがロドリゴは地面に倒れ込み、意識を失った。
一撃でマンナをすべて使い果たしたのだ。
「大丈夫、ルイ?」
アンナは彼を支えながら尋ねた。ロドリゴは荒い息をしながらも立ち上がった。
「やったわね。おめでとう。
これからはマンナを一度に使い切らないように気をつけなさい」
アンナは誇らしげに微笑んだ。
タニアは呆然としたまま立ち尽くしていた。
アンナが振り向き、言った。
「あなたのやり方は疑ってたけど……成功させたのね。すごいわ!」
「……たいしたことじゃないわ」
タニアは遠い目で答えた。
「正直、途中で殺すんじゃないかと思ったわ。最後の一撃、手加減してくれてよかった」
アンナは言いながらロドリゴを支え、次元の空間を消した。
タニアはしばらく黙っていた。
――あの目……あの殺気……まさか。
彼女は小さく首を振り、その考えを追い払った。
ロドリゴはその日一日、眠り続けた。
「ここまで読んでいただきありがとうございます!次回もぜひお楽しみに。」
「翻訳に間違いがありましたら、お知らせください。」
「とても感謝しています。」




