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第14章 — ケルヌンノス

「この物語は歴史と神話をもとにしたファンタジーです。」

「次は瞑想の練習をしようね」

アンナは言った。

「今日一日中、“ケルヌンノス”という修行をやってほしいの。足をCの形にして座って、両腕をVの形に上げるの。そして、周りで起きていること——風、海の波、鳥の声、自然の音——にだけ意識を集中させるの。

もし心に暗い思いが入ってきたら、また外の音に意識を戻して、その思いが消えるまで感じ続けてね」

アンナはその姿勢を実際にやってみせ、ロドリゴにもわかるように説明した。

「どれくらいやればいい?」とロドリゴが尋ねた。

「一日中やってみよう。明日、結果を見せてね」

アンナはそう言ってうなずいた。

彼女が手を軽く振ると、空間を覆っていた次元が溶け、最初の白い火花が再び現れた。アンナはそれを素早くつかみ、ポケットに戻した。地面のひびや破壊の跡は完全に消えていた。

「さて、木でも抱きしめながら祈る異教徒の修行が、どれほど効くか見ものね」

タニアが皮肉っぽく言った。

アンナとロドリゴは洞窟を出て、海を見下ろす崖の上へ向かった。ロドリゴは言われた通りの姿勢をとり、アンナがそれを丁寧に整えた。体勢が安定すると、アンナは翌日の同じ時刻に戻ると言い残し、洞窟へ戻った。

海の眺めは息をのむほど美しかった。遠くには岩礁が見え、船が通れないことがわかった。崖は洞窟の裏に隠れており、村人からは見えない場所だった。日差しは強烈だったが、海風がやさしく吹き、少しだけ涼しさをもたらした。潮の香りが漂い、カモメが円を描くように空を舞っていた。

ロドリゴは瞑想を続けた。心は何度もさまよい、腕は痺れたが、それでもあきらめなかった。

風の音、鳥の声、波の音——それらに耳を傾け、怒りや憎しみが心に浮かぶたび、再び海と風の音に集中し、思考を溶かしていった。

「なかなか上手い説教をするじゃない」

タニアはワインを飲みながら言った。

「アンナの師匠の言葉を繰り返しただけだよ」

アンナはワインを口にしながら微笑んだ。

「皮肉なものね。許しとか、憎しみを捨てろとか言いながら…それがアンナを動かす唯一の力なんだから」

アンナは小さくつぶやいた。その瞳には寂しさが宿っていた。

タニアは彼女の背中に手を回し、軽くたたいた。

「わかるわよ、アンナ」

と優しく言った。

翌朝、アンナは八時頃に起き、眠そうな目をこすりながらロドリゴの様子を見に行った。そして、息を呑んだ。

ロドリゴは宙に浮かび、穏やかな神気を放っていた。暴力的ではなく、静かで温かい光だった。鳥たちは彼の周りを恐れることなく飛び回っていた。幸い、この場所は洞窟の裏で、村人からはまったく見えなかった。


挿絵(By みてみん)


「信じられない……まだ二十四時間も経ってないのに」

アンナは息を漏らした。

タニアも洞窟から出てきて、その光景に目を見張った。アンナがロドリゴの名を呼ぶと、彼は目を開き、集中が途切れて地面に落ちた。

「おはよう、アンナ。君の足音が遠くから聞こえたよ。いや、聞こえたというより、君の気配と……タニアの気も感じたんだ」

ロドリゴは笑顔で言った。

「すごいよ、ルイ。アンナは信じてた」

アンナも嬉しそうに微笑んだ。

朝食を終えたあと、三人は再び洞窟の下層へ降りた。アンナはもう一度、ポケット次元を展開した。

「さあ、ルイ。さっきみたいに心を落ち着けて」

アンナが言った。ロドリゴはうなずき、静かに目を閉じた。

彼の体を包む神気は穏やかで、柔らかな光となって漂った。やがて彼の体がふわりと浮かび、数センチ宙に上がった。

「完璧だね」アンナが言った。

「その感覚を手に集めて」

ロドリゴが右手を開くと、白い光球が生まれた。

「金星」

タニアが再び観察しながら言った。

「間違いないわ」

アンナがうなずいた。

ロドリゴは光を消し、静かに着地した。

「金星?」彼が尋ねた。

「そう。神々はそれぞれ“八つの属性”に分かれているの」

アンナは説明した。

「太陽——タニアのように、炎を操る。

土星——アンナのように、闇を司る。

金星——ルイのように、神聖さと念動力を扱う。

月——水と冷気を支配する。

水星——風を操る。

地球——生命と星の内なる力を司る。

火星——戦闘技術と金属を制御する。

そして最後に、最も強大な木星——光と雷を支配する。」

「エル自身も木星の神だって言われてる。つまり、桁違いの力を持つわけ」

タニアは口角を上げて言った。

アンナは軽く咳払いをして続けた。

「ただし、複数の属性を持つ神もいるの。あるいは、どの属性にも属さない特別な力を持つ者も。そういう存在は、わたしたちの中でも最強なのよ」

「すごい……」ロドリゴは感嘆した。

アンナは再び闇の力で剣を生み出し、にっこり笑った。

「よし、それじゃあ次の段階に行こう。第二段階——戦闘訓練、開始!」

「ここまで読んでいただきありがとうございます!次回もぜひお楽しみに。」

「翻訳に間違いがありましたら、お知らせください。」

「とても感謝しています。」


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