第103章 ― タニト対セクメト
「この作品は純粋なフィクションであり、いかなる論争を引き起こしたり、人々の考えを変えたりすることを意図したものではありません。作品に描かれている出来事は、著者の見解を反映するものではありません。物語の一貫性を高めるために、一部の歴史的および神話的な出来事は改変または変更されています。この作品は、古代の出来事に関する歴史的または宗教的な言及を意図したものではありません。」
火星の気候は元に戻りつつあった。
気温は再び下がり始め、激しい振動も止んでいる。
タニアはその場に静かに立ち、身体から穏やかな深紅のオーラを漂わせていた。
アンナは片膝をついたまま、凍りついたような表情で彼女を見つめている。
「まさか、こんな小娘に傷を負わされるとはな」
セクメトは燃え盛る爪を掲げながら歩み寄った。
不吉な獅子の仮面の奥で、炎のような眼光が揺れる。
「待ちなさい、セクメト! モリガンは私の獲物よ!」
廃墟の上からイシュタルが叫ぶ。隣にはニンシュブル。
「私はただ、この私を傷つけた女を殺したいだけだ」
セクメトは怒りに濁った声で唸った。
タニアは真っ直ぐに彼女を見つめる。
アンナは立ち上がり、ディルンウィンを召喚する。
「一人でやれる?」
アンナが問う。
「……たぶん。あれが、前に話したエジプトの女神よ」
タニアは緊張を滲ませた。
「あれが!? あなたが憧れて“獅子”になったきっかけの狂女神!?」
タニアは答えず、ただセクメトを見据える。
「おしゃべりしている暇があるなら、ちゃんと戦いなさい、モリガン。二人まとめて相手してあげてもいいのよ?」
イシュタルが挑発する。
「タニア……幸運を祈るしかない。止められなくてごめん」
そう言い、アンナはイシュタルへ飛びかかった。
彼女は空中で剣を振り上げ、イシュタルが振るう鎌剣の柄を叩きつけた。
一瞬、大地が震えた。
——いつか、必ず恩は返すわ、アンナ。
セクメトが炎の爪を振り下ろす。
四本の灼熱の線がレーザーのように走る。
タニアは自らの炎爪で弾き返す。
爆炎が遠方で炸裂した。
「……覚えていないの? セクメト様。あなたに何があったの?」
返答の代わりに、無数の炎線。
回避、弾き、爆発。
「答えて! 何があったの!?」
セクメトは全身を炎に包み、突進。
大地を砕く一撃。
「お前に語ることなどない、子供」
「思い出して! カルタゴで会ったでしょう!? マヌの国で!」
「ああ……思い出した。あの訪問者か。宇宙も狭いものだ」
「そうよ! あなたに憧れて火を学んだの! アレス軍なんてやめて、一緒に戦いましょう!」
セクメトは嗤う。
「私は戦の女神ではない。私は虐殺の女神だ。人を滅ぼし、血を啜る。腐臭と硫黄の匂いが好きだ」
タニアの表情が凍る。
「アレスに仕えたのは楽しむためだ。再び、殺す快楽を味わうためにな」
タニアは唇を噛みしめる。
「カルタゴでも楽しかったぞ。死にゆく人間を眺めるのが。何人か自分で殺して喰った。実に愉快だった」
「黙れ、悪魔! あなたはセクメトじゃない!」
「私はマヌの地から追放されて久しい。お前はただの無知な子供だった」
怒りの炎。
タニアが斬りかかる——止められる。
「本気を見せよう」
神威が爆発的に膨れ上がる。
タニアは吹き飛ばされ、空中で腹を貫かれ、叩きつけられ、血を撒き散らす。
「セネフ・タウ(Senef Taw)(血の息吹)!」
仮面も口を開く。
巨大な赤い光線がタニアを直撃し、空を暗く染める。
結界へ叩きつけられ、地に激突。
だがセクメトは止まらない。
斬り裂き、引きずり、顔を噛み千切り、首を刎ね、頭部を爆破。
「最高だ!」
自らを引き裂き、歓喜する。
——だが。
タニアは立ち上がる。
頭は再接続し、傷は消える。
「……ごめんなさい、師よ。でも、私はあなたを超えた」
再び神威が膨れ上がる。
火星全土が震え、空は深紅に染まる。
「セネフ・タウ(Senef Taw)(血の息吹)!」
赤光線が放たれる——
次の瞬間。
光線ごと、セクメトの身体が真っ二つに裂けた。
「ヘルプ: テレト マーコール(Helep: Telet Mardykhor)(変身:マンティコアモデル)」
タニアは背後に立っていた。
姿は一変している。
炎は鎧となり、巨大な肩当てを形成。
爪はさらに巨大化。
脚は獅子の鉤爪のようなブーツ。
腰からは二股の炎尾。
髪は炉の炎のごとく逆立ち、背には炎の蝙蝠翼。
静かに、しかし圧倒的に——
彼女は立っていた。
「ここまで読んでいただきありがとうございます!次回もぜひお楽しみに。」
「翻訳に間違いがありましたら、お知らせください。」
「とても感謝しています。」




