第七話(最終話) 姫様とサカモト。
登場人物紹介
アズサ姫 姫様、タイムトラベラー。
ハル 姫の友人、タイムトラベラー。
じい(サカモト) 江戸の名将。
カイザン サカモト博士の元共同研究者、骨董屋。
*登場する名称等は全てフィクションです。
何かじいがパワーアップしてる!
「私が何で名将になったか不思議なようだな。」
「だって、あのじいだよ。」
「この時代に来た時はこの姿だったが、カイザンに力を封印されたのだよ。」
「それで年寄りになっちゃったの。」
「ヤツが結晶を解放する機会を待っていたのさ。」
「サカモトさん、博士にもらった武器、効かないんですけど。」
「君達2人では無理だね。」
「じゃあどうすんの。」
「俺がマシンを操作する。」
「あなた江戸の人じゃないの。」
「話はヤツを倒してからだ。」
「サカモトーー!」
「カイザンが来るぞ!」
魔人化したカイザンが迫る。
サカモトさんが刀で抑えるが、カイザンが優勢だ。
「このままじゃヤバいよ。」
アズサも薙刀で加勢するが、カイザンの力は凄まじい。
何とか出来ないかな!
そう言えばヤヨイさんが現代で言ってたな。
「ハルさん、カイザン博士は強がりだけどちょっと弱い所あるのよね。」
「ヤヨイさん、それって弱点なんですかね。」
「んー、弱点になるかは分からないけど、例えパワーアップしても弱味は変わらないんじゃないかしら。」
「それって何ですか?」
「カイザン博士、カワイイぬいぐるみに弱いのよ。」
「目がないって感じですか。」
「ああ見えて、机にぬいぐるみ並べているのよ。」
「カワイイもの好きのオジサンですか。」
「強面なのにね。」
そうだ!カワイイぬいぐるみがあればカイザンの気をそらせられるかも!
でも、江戸にそんなのあったっけ?
いや、あるじゃない!私のリュック!
「ヤヨイさん、これカワイイですね。」
「ハルちゃん気にいった?」
「これ何ですか?」
「ぬいぐるみリュックよ。」
「リュック?どんな道具なんですか。」
「中に物入れたりするの。背中に背負うことも出来るわ。」
「何か便利ですね。」
「現代土産に買ってあげるわね。」
ヤヨイさんが買ってくれた大事なリュック。だけどカイザンを倒すには今はこれしか無い。
「サカモトさん、アズサ、私に策がある!」
「ハルちゃん、何するの。」
「カイザンを少しの間抑えといて。」
「了解した。ハル殿。」
サカモトさんとアズサがカイザンに近づいて動きを抑えた。
今だ!
「カイザン!こっち見なさいよ!」
ぬいぐるみリュックをカイザンめがけて投げる。
「何だと?うわっ、何てカワイイんじゃ!ぬいぐるみ可愛い過ぎ!」
いや、ある程度想像してたけど…、オッサンがぬいぐるみとたわむれるのはキモイよ。
「サカモトさん、アズサ、今よ!」
「カイザン、覚悟!一閃。」
「キモオジ成敗!」
いやいや、アズサ。その通りだけどさ、ラストのセリフがキモオジとか…、ないわ。
カイザンが元の姿に戻った。
「サカモトよ、我を倒すとは。」
「カイザン、かつては共に研究した仲間だったがな。」
「タイムマシンはやはり存在しない方が良かったのか。」
「タイムマシンは悪くない。悪いのは人の欲望や悪意だよ。」
「最後に貴様と会えて良かった…」
カイザンをついに倒した。
でも、何かしっくり来ないな。
「カイザンも研究者のはしくれ。こうなることは分かっていたのかもしれない。」
やっと江戸にも平和が訪れた。
「そう言えば、サカモトさん。」
「どうしたんだい、ハルさん。」
「何でサカモトさんはじいになっちゃったんですか。」
「そうだね、それよりアズサ。何か思い出したかい。」
「へっ?思い出すって何を…?」
「カイザンがいない今、君の記憶も戻るはずだよ。」
「私の記憶…、あっ!」
「思い出したかな。」
「そうよ。あなたが研究所から戻らないから様子見に行ったら何かぐるぐる回転して。」
「あのー、アズサどしたん?」
「ハルさんだったわね。私はサカモトアズサ。博士の妻よ。」
「えーー!姫じゃない?ってことは現代人?」
「ハルには色々世話をかけたわね。」
「アズサ、記憶も戻ったね。カイザンは残念だったが、一連の騒動はおさまったよ。」
「ところで、これからどうするつもり。」
「私はもう少し江戸で暮らそうと思う。」
「そうね。あなたならそう言うと思ったわ。」
サカモト夫婦、現代には戻らんのかな。
「ハルさん。」
「はい、博士夫人。」
「アズサでいいわよ。暫くまた世話になりますね。」
「てか、この城アズサの城だよね。」
「私だけじゃないわ。これからはサカモトアズサ城ね。」
あれから数日が経った。
名将サカモトは現代のサカモト博士だった。
博士は奥さんがカイザンのタイムスリップに巻き込まれたのを知り、この時代に来たんだって。
城下町で鍛えて剣の腕前は上達したらしい。
一方奥さんは城の姫様と間違われてそのまま城で生活してた。本物の姫様はカイザンの研究を見てしまい殺されたらしい。(カイザンの研究日誌に書いてあった。)
「アズサ、遊びに来たよ。」
「あらハルさん、今日も元気ね。」
「何か調子狂うな…。」
「現代には帰らないの。」
「今主人がマシンのチャージをしてるわ。」
「おや、ハルさんこんにちは。」
「博士も絶好調ですね。」
「この時代では力を入手出来ないが、時間をかければエネルギーを溜めることは出来るんだ。」
「じゃあ、まだ暫くはこの城で暮らすんですね。」
「たまには遊びに来てくれよな。」
今日もお江戸は日本晴れだ!
姫様あどべんちゃー 完
これで姫様、いや奥様の冒険物語はおしまいとなります。博士、愛妻家なんですよ。
それではまた別のお話しでお会いしましょう。
(次回作でまた?!)




