第一話 姫様の旅立ち
今、姫様の冒険が始まる。
どうなる、どうする、姫様。そして...
ここは江戸時代のとある城。
「姫様、アズサ姫様。」
「なあに、じい。」
「姫、いつも遊んでばかりいないで少しは教養作法を身に付けて下さいませんか。」
「いっつもじいはそればっかりだね。たまには休んだら。」
「姫は休みっぱなしですが…。」
「そうだ、ちょっと城下町に行ってくるね。」
「あまりハメをはずさないようにして下さい。」
城下町は賑やかだ。
いつもの茶屋でお茶してると友達のハルが来た。
「ハル、こっちこっち。」
「アズサ来てたんだ。」
「気晴らしにね。」
「そう言えば、この先に骨董屋が店出したんだって。」
「めずらしいね。ハルは骨董品好きなの。」
「掘り出し物とかあったりしてね。」
「ちょっと行ってみよっか。」
裏通りの片隅に骨董屋があった。
周りには誰もいない。
「何か誰もいないね。」
「こんな真っ昼間なのにね。」
2人は店に入る。
見るからにガラクタばかりだが、妙な箱が1つあった。
「この箱なんだろ。」
「ハイカラな感じだね。」
奥から店主が出て来た。
「おやおや、お嬢さん方。その箱がお気に召したかな。」
「この箱何が入っているんですか。」
「興味あるのかい。」
「何か気になっちゃうんですよね。」
「じゃあ説明してあげるから向こうで話そう。」
そう言うと店主は奥の座敷に向かった。
「それで、箱の中身は?」
「中身をどうするかはお嬢さんたち次第じゃな。」
「どゆこと?」
「箱の横にネジがついてるじゃろ。」
「あっ、ここにネジあるよ。」
「まだ回すんじゃないよ。お嬢さんたちが何かを頭に描いたら回すんじゃ。」
「回すとどうなるの?」
「それは回してからのお楽しみじゃ。」
「早速回そっか。」
「お待ち、これからとても重要なことを話すからな。」
「何ですか。」
「一度回し始めたら元には戻せん。同じことを頭に描いても同じ結果になるとは限らん。本当に必要な時は元に戻るじゃろ。」
「よく分かんないんですけど。」
「いずれ分かる時が来るじゃろ。お代は次にこの店に来た時でよいぞ。来れればだがな。」
ハルと店を出て箱を見る。
「ねえハル。」
「アズサ、何かあの店主様子が変だったね。」
「明日じいにお代持って店に来るよう言っとくね。」
「このネジ何だろ。」
「回せば箱開くよ。」
「何か頭に描くとか言っていたね。」
「そうね、アレのこととか…」
そう言いながらネジをおもいっきり回す。
「アズサ、そんなに回して大丈夫?」
「外れたりはしないよって、あれ?」
周りの景色が回り出した!
回っていた景色が止まった。
「あれ?ここどこ?」
「見たことない場所だよ。」
「誰かに聞いてみよう。」
少し歩き人通りの多い場所に来た。
「あのー、すいません。」
「何だねお嬢ちゃんたち。」
「ここってどこの町ですか?」
「ここは京の都だよ。旅の人かい。」
「京の都?」
えっ、なっなんでどうなってんの?
「ちょっとアズサ、ネジ回しながら何か変なこと考えなかった。」
「陰陽師カッコいいとか…」
「何考えてんのよ。あの箱過去に移動するカラクリじゃない。」
「えー!じゃあ平安時代の京都なのここ。」
「箱のネジ回せる?」
「ネジ回んなくなっちゃった。」
「どうすんの。元の時代に帰れるかな。」
「まずはこれからどこに泊まるかよ。」
「お城に戻ればいいじゃん。」
「あんたの城どこにあんのよ。」
あてどなくトボトボ歩く。
見知らぬ時代、見知らぬ土地ではどうしようもない。
「はにゃ?そこのお二人さん、どうしたにゃ?」
「ダレあんた。」
「あたしゃヤヨイ。この先で暮らしてるもんにゃ。」
「ヤヨイさん、私達訳あってさまよってしまっているの。」
「それならウチに来るといいにゃ。ついて来るにゃ。」
ヤヨイさんの家に着く。
中には…!陰陽師?
「ヤヨイさん、あのお方は?」
「サカモト様にゃ。陰陽師なんだにゃ。」
「おやおや、ヤヨイさん。お客様ですか。こちらへどうぞ。」
「サカモト様、この方たちはさまよっている人にゃ。」
「さまよう?はて、迷子とかですかね。」
「あの、サカモトさん。私達この箱の力で未来から来てしまったみたいなんですけど。」
「どれどれ、ほう、箱には妖力が込められているようですね。」
「あの、元の時代に帰る方法とかありますかね。」
「おそらくあなた方をこの時代に引き寄せた何かがあるでしょう。それが分かれば元に戻れるのではないでしょうか。」
「あの骨董屋が言っていたことが何か関係してないかな。」
「あのオヤジ、カラクリ箱と分かって渡したんかい。」
「あの、サカモトさん、このネジが回らないんですけど。」
「どれどれ、ネジに妖力が無いようですね。」
「どうすれば妖力を溜めることが出来ますか。」
「妖力を溜める方法はただ一つ。」
「それは?」
「もののけ退治です。私も退治する依頼を受けているので、一緒に退治するのはどうでしょう。」
「どうやらそれしかないようですね。」
「あのー、もののけって何ですか?」
「アズサ、そんなことも知らんの!だからじいから勉強しろとか言われるんじゃない。」
「まあまあ、世の中には知らないこともありますよ。もののけとは人ならざる存在ですよ。」
「妖怪なんですね。」
「妖怪の持つ妖力をカラクリ箱に入れればいいんですね。」
「あなた達にはこのお札を渡しておきます。」
「これは?」
「万が一の為のお守りと言ったところでしょうか。」
お札には何か文字が書かれているが読めない。
「今日はもう遅いです。ゆっくり休んで明日行動に移しましょう。」
第二話 予告
平安時代にタイムスリップしたアズサとハル。陰陽師のサカモトさんともののけ退治に向かう。
次回 「姫様と陰陽師」
アズサ姫と友人ハルのタイムスリップアドベンチャー、スタートです。
陰陽師のサカモトさん、カッコいいですね。
次回もまた。




