一話 神託の儀
冒険者ーー
それは人々の憧れであり心の支えでもある者たち。
冒険者になるためには十五歳の時に受ける神託の儀で戦闘系職業を獲なければならない。
逆に戦闘系職業以外を取得してしまうと冒険者の道は相対的に諦めなければならない。
「ついにこの日が来た……戦闘系職業になって絶対冒険者になってやる……!」
そんな運命の時はこのリエルにも等しく迫ってきていた。
リエルは冒険者に憧れを持つ一人で出来ることなら自分も冒険者になりたいと思っている。
そんなリエルは緊張した面持ちで神託の儀の順番を待つ。
「次の神託を受ける者よ、運命の扉を開けるが良い」
扉の向こうから神官の声がする。ようやくリエルに順番が回ってきた。
「ふぅー……ヨシッ!行くぞ!」
頬を思い切り叩き、気合いを入れドアを開ける。
厳粛な雰囲気を纏った空気が体を包みビクッと震わせる。
神官は神像の前に立ち扉をくぐってくるリエルを見ていた。
「よく来た。この素晴らしき日を迎えられたことを誇りに思い、これから来る運命をも受け入れ、これからも励むと良い」
神官は無機質に台本を読むようにリエルに告げる。
「あ、ありがとうございます!頑張ります!」
リエルは身体が折れんばかりに頭を下げる。
その姿を見てから神官は神像の方へ振り返る。
「それでは、神託の儀を始める」
神官は後ろにある神々しさを纏った神像を見て手を合わせ、呟く。
「汝の道、光多きあらんことを。汝の道、神の加護があらんことを。汝、神の加護を受け入れるか」
「……はい」
リエルが返事をすると、呼応するようにリエルの身体が光る。
「……神託は降りた。汝に示された道、職業は……『墓守』である」
結果を聞いたリエルは聞き馴染みのない職業にポカンと口を開け、数秒静止していた。
「え、あの……はか、もり?ってどんな職業なんですか?戦闘系ですか?俺は、おれは冒険者になれますか!?」
正気を取り戻したリエルは気付けば声を荒らげ神官に聞いていた。
「墓守は、墓地の清掃、不死者が出ないように管理をする職業。戦闘系職業でないため、冒険者資格を得るための試験を突破するのは無理だろう」
神官はリエルに聞かれたことをただ淡々と答える。
リエルは途方に暮れ、膝から崩れ落ちる。
「そんな……もう一回、もう一回は、出来ないんですか!?」
神官の服の裾を力強く掴んで聞く。
「神託は一度しか下されぬ。故にやり直しは利かぬ」
神官は台本を読むかのように、だが申し訳なさそうに口を開く。
「嘘だ……そんな……」
リエルの第二の人生を決める神託の儀が終わった。
初めまして皆様!自分名前はまだ無いと言います!今日から気が向いた時投稿していこうと思うので、興味を持ってもらったらと思います!よろしくお願いします!