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私の憂鬱

作者: 森くん

先生に抱かれる夢を見て、目が覚めたら泣いていた。


先生の体温も匂いも感じられないはずなのに、私の心はそれを覚えていて、それがより一層寂しさを感じさせる。


季節はもう冬。寒い部屋で1人毛布にくるまりながら、先生と裸で抱き合う想像をする。温かい肌に体を寄せて、先生の寝息と心臓の音を聞いていたい。目が覚めたら抱き寄せてほしい。かわいくてバカな私の煩悩たち。夢の続きを見たくてまた目をつむる。


「今なにしてますか?」

そんなことすら聞けない。一向に通知の来ないロック画面を開けたり閉じたりして時間を浪費させている。

ピコン、通知音。

一喜一憂している自分に苦笑する。


愛されたかったわけじゃなかった。

ただ顔を見て声を聞いて、本当にそれだけで良かったはずだった。随分と欲張りになってしまったと思う。

加湿器のもくもくとした煙がぼやけてゆく。家族が寝静まった深夜。聞こえるのはエアコンの音だけ。


先生も辛かったらいいのに。苦しくて悲しくて罪悪感に押しつぶされて、それでも私のことを愛しているからと夜中に1人寂しい思いをしていればいいのに。

いつだって余裕の先生がそんなふうに思うはずもなくて、少しおかしくなった。

いっぱいいっぱいなのはいつだって私だけだ。


大人になって、こんな恋をするとは思ってもみなかった。手に入らないと分かっていてもどうしても欲しくなる。辞めるべきなのは分かっている。だけどどうしてもできなくて、辞めたくなくて、どうにもならないものをどうにかしようとして、私の何かが、現状が、ぼろぼろと崩れ落ちる音が聞こえてくるようだった。


街に出れば視界はキラキラとしていて、もうすぐクリスマスなのだと気づく。そんなものはクソ喰らえだ。

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