2.兄上。
「全然寝た気がしないなぁ...」
目が覚めて外を見渡すといつも通り過ぎる景色が眼の前に広がっていた。北を見ると遠くに見える大きな山、南を見れば緩やかに流れる河川とその奥に延々と広がっている平原。東を見れば広大な牧場、西を見れば洞窟が.....
「やっぱいつ見ても田舎だなぁ...」
やっぱこの村ちょっと田舎過ぎない?
...とまぁそんなことはさておき昨日見た夢(?)であの神様が言っていたことが本当ならばこのセカイはあと少しで滅ぶってことだよなぁ...結構マズくない?
「ていうか、なんか手紙置いてあるなぁ...」
机を見たらなんか手紙が置いてあった。差出人は__書いてないなぁ...怪しいけど一旦見てみるか。
「えーっと、なになに?あぁ、さっきの神様からじゃん。」
手紙にはこう書いてあった。
〝先程はありがとうございました。スキルについて少し伝え忘れていたことが会ったので伝えさせていただきます。スキルには「熟練度」というものがあるようです。そして、その熟練度が上がるとスキルの使いやすさや能力が増えたりするようです。これからは大変になると思いますが、頑張って生き残ってくださいね。〟
いや、多分これ一番重要なやつじゃん。あの場で伝えて欲しかったなぁ...てか頑張って生きてくださいってだいぶ他人事だなぁ...まぁいいや。とりあえずなんかこうどう起こさないと始まらないもんなぁ...
「.....そういえば何をすればいいのか分かんないなぁ」
思い返してみると鍛えてくださいとは言われたものの、何をしてくださいとかは一切言われてないなぁ...自分で考えて行動しなさいってことかな?なんか耳が痛い。
「____まぁ最初はそこら辺に居る魔物でやってみるか...」
実はこの村は魔物の出現率が他の村の500倍くらいなのだ。原因は不明らしい。普通は固定の位置から毎日同じくらいの頻度で出てくるらしい。この村は不定期で毎回違うところに出るんだけどね。まぁそのおかげか知らないが村の人達は魔物に慣れている。だから危険性は少ないらしい。とまぁ、そんなことは置いておいてとりあえず村の外に出ようかな...
「村の外に出たはいいけど...なんか全然魔物いなくない?」
そんなことを思っていたら見知った人影が見えた。それと同時になんで魔物がいないのかもなんとなく理解した。
「兄さ〜ん!!」
そう、そこにいたのは僕の兄のスタール兄さんだった。ちなみに兄さんは三人兄弟の一番上で、僕は一番下だ。
「おぉ、トールか。珍しいなぁ。何にもない時に村の外に出てるのは。」
「まぁ、色々あってね...そういう兄さんの方こそ何やってるの?」
「ん?まぁある程度魔物が出てきたから軽く駆除をしようと思ってなぁ...」
あ、やっぱりか...あれ?でもこれならスタール兄さんにお願いしたほうが魔物と戦うより修行になるんじゃないか?
「兄さん!」
「ん?なんだ?」
「ちょっと修行に手伝ってくれない?」
「急だな...」
まぁそうなるよなぁ...仕方ない...神様の存在以外のことは話そうかなぁ...少なくとも理解者はいた方がいいしなぁ____話してみるか。少なくとも兄さん達は信用できるしな。
「実は...」
「スキルを授かった?なかなか珍しい話だなぁ」
とりあえず神様から直で授かったという話はしなかった。なんで修行しようとしているかは手紙の事も含めて言おうと思う。
「そうなんだよ。だから兄さんの力を借りたいと思って...」
「なるほど...それなら任せろ!」
「本当?兄さんありがとう!」
これは普通にありがたい。そこらの魔物で修行するよりか効率が全然違うだろうしね。
「じゃあとりあえず俺の仕事場に来てもらおう」
「わかった!」
そういえば兄さんってどんな仕事してたっけ?...まぁいいや、ついて行けば分かるか。
時間が...時間が欲しい...