1.不可解な事象。
「目は覚めましたか?」
そんな声がしたので僕__トールは体を起こしてみた。
「.....んぇ?」
思わず変な声が出てしまった。なんか女の人立ってるし。てかどこだ?ここ。
見た感じ、村ではないな。なんならこんな綺羅びやかな場所今生一切見たことないぞ?
え?本当にここどこ?
「てか、誰なんですか?あなたは」
「そうですね。まずは名乗りましょうか。」
そう言うと彼女は自らの朱い髪をかきあげた。
「簡単に言うと、私は神です。もっとも、今は力の大半が使えない状況にありますが...」
「へぇー、神さm...え!?神様??」
ゑ!?この人、神様だったの?まじかよ‼
「先程は無礼を...」
「大丈夫ですよ。それに、気楽な方が私も話しやすいですしね。」
優しい神様でよかった...普通だったらもう死んでたんじゃないか?まぁ気楽にって言ってるし質問でもしますかね。
「それでは神様。ここはどこですか?」
「ここは神の住む領域...神域とでもいいましょうか?神域は各セカイに必ず一つあります。そして、そのセカイの状況によって、私達神々の持つ力も左右されます。このセカイはかなり荒廃しているので、持てる力はだいぶ少ない方ですね。」
神域?持てる力?正直よくわからん。ってか、もっと大事なこと聞き忘れてた!
「神様、それで何故に僕はその神域?とやらに呼ばれたのですか?」
「それには深い事情があります...各セカイにはそのセカイの動向を見守る神がいます。それでですね、少し前にこのセカイを見ていた神から通告が来たのです。セカイに滅亡の兆しが見えた...と。滅亡とは終焉です。セカイが終わりを迎えると、そのセカイはもともと何もなかったかのように消え去ります。セカイが消えると、次元のパワーバランスが崩れ、他のセカイにも影響が及びます。現にこのセカイで進んでいる荒廃化もそうです。このまま放って置くといろいろなセカイに影響が及び、最後には、この次元までもが消え失せてしまうかもしれません。」
え?このセカイってそこまでやばい状況だったの?まぁ例年よりも多くの村が滅んでいってるとは聞いたけど...
「とまぁ、そんな状況を放って置けるはずもなく、神々で協議した結果、今後このセカイを救える素質がある人を探すことになりました。そうして選ばれたのが...トールさん、あなたです。」
え?めちゃ重要な立場じゃん。本当に僕にその素質とやらがあるのか?正直わからん。
「なるほど。僕は何をすればいいのでしょうか?」
「正直に言うと、今のあなたは肉体的にも精神的にもかなり弱いです。なので、まずは鍛えてください。
それと、そのことに関してもう一つ神々の協議によって決まったことがあります。」
「それはどんなことですか?」
「あなたにスキルを授けることです。この『万華の蓮眼』というスキルです。まずは自分を視ようとしてみてください。」
視る?どゆこと?まぁ一回やってみるか。
名称︰トール
種族︰人間
スキル︰万華の蓮眼:1、剣術:1、剣技1、?????
称号︰なし
おぉ、できた。こういうことか。
「ちなみに神様、このセカイの普通の人はこのスキルはどれくらいあるんですか?」
「基本は10〜30くらいですね。なのであなたはこの面でも普通の人に比べて劣っています。このことからもスキルを授けるという判断に繋がりました。」
え?めちゃ少ないじゃん!僕ってそんな弱かったのか...ちょっとショックだなぁ。今日まで普通の人として過ごしてただけあって余計にショックだ...
「まぁそんなに深く考えないでください。逆にスキルが少なかったおかげであなたに授けることができたのです。」
「それならそれでいいんですが...」
やっぱりショックなのには違いない。
___などと考えていたら自分の体が光の粒子に包まれていた。
「そろそろ時間のようですね。また何かあった時はあなたをここに呼びます。それでは__」
神様がそう言うと、僕を包む光の粒子がより一層多くなった。
「え?ちょっとまっt...」
「とりあえず、強引にですが彼に力を授けることができました。彼ならやってくれると信じますか...」
そう言うとまた、女神も眠りについた___