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4、謎の襲撃者


「どうしてこうなった?」



一度は狼狽するもなんとか落ち着いたロイ、食事を終えた後、帰ろうとすると、ロイに夜遅くなのでここに泊まっていかないかと誘われ、なし崩し的に泊まることになってしまった。


「まぁいいや、確かに今の時間じゃ空いてる宿を探すのも一苦労だろうし、今日は色々あって疲れたからもう寝るか」


いつまでも愚痴を言っても無駄なので、プラス思考へと切り替える私、そのままフカフカのベットへと寝転がる。


「柔らかすぎて落ち着かん」


上等すぎる毛布と布団は柔らかかった、長年戦場で薄い布団や硬い地面で寝ていたからなんか落ち着かん。


「まぁ、目を瞑って寝っ転がってるだけでも起きてるよりはマシでしょ」


眠気はないが、目を瞑る私。


「ーーーーーー!なんだ今の音、反響定位(エコーローケーション)


かすかにした不穏な音、気になった私は即座に魔法を使う、私の体からアンテナのようなものが生え、人間の耳では感じ取れない超音波を撒き散らし、反響で王宮内にいるすべての人物の位置を確認。


「使用人が一人やられた」


侵入者はすぐに見つかり、どうやら王宮の使用人が一人やれたようだ、服をパクってなりすますつもりらしい。


「やるなら私がいない日にしとけよ」


私は軍服の上着を適当に羽織りながら部屋を出た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ロイ様、落ち着きましたか?」


「ああ、心配をかけてしまったね、すまない」


不覚にも狼狽してしまった、なんせ、英雄八つ裂き乱射魔(アハト・アハト)、イヴ・ペンドラゴンさんとの婚約を破棄する愚か者がいるとは、しかも、代わりに戦争に出てもらっていたの姉の婚約者を寝取る妹、頭が痛い。


メイドの一人が心配そうにドアを開け入ってくる。


「紅茶でも飲んで落ち着いてください」


「ありがとう」


後から考えると迂闊だった、いつもと比べると紅茶の時間はもう少し遅かったし、紅茶だって香りが薄く、下手な淹れ方、折角の高級茶葉が台無しになってしまっている、口に入れた瞬間に不味いと感じたが、自分を心配して淹れてくれたお茶を吐き出す事などできなかった、言い訳になるが、この時は少し混乱していたので気づかなかったのだ。


「大丈夫だよ」


「もう少しだけいさせてください……ロイ様」


「本当にもうーーーッッッ??!!」


(ーーーか、体が痺れてッッッ??!!)


少し雑談すると気が晴れ、メイドに退室を促すも、心配した様子で一向に出て行かない、もう大丈夫だと再度言おうとすると、体が痺れていう事を聞かなくなる。


「やっと効いてきたか」


「な、何者だ!!!」


「これから死ぬのにそんな事を聞いてどうするのですか?」


メイドが気にしていたのは自分の事ではなく、お茶に仕込んだ痺れ薬の心配をしていただけのようだった、メイドは自身の顔に手をのせると勢いよく顔の皮を剥ぐ、中から出てきたのは無精髭の中年だった、どうやら特殊な魔道具で変装していたらしい。


「それでは、最後の仕上げだッッッ!!!」


「ーーーーッッッ!!??」


トドメと言わんばかりにナイフを突き出す中年、自分は目を固く瞑ることしかできない。


「………?」


「残念、仕上げるにはもう一手間必要なんだな、これが」


ーーーー刹那、耳障りな金属音が鳴り響く、不思議に思い、目を開けると、誰かがナイフと自身の間に手甲だろうか?、何か硬質な物を纏った腕を滑り込ませ防御していた、後ろ姿しか見えず、窓から入り込む月光に照らされる黒髪はまるで夜空のように淡く輝いていた。


「大丈夫?」


「……ぁ……」


自分を助けてくれた人物が顔を少しこちらに向ける、その人はイヴ・ペンドラゴンその人だった…………。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「誰だ、貴様」


「次、暗殺する時はもっと気配を殺したほうがいいよ、三流アサシンさん」


取り敢えず、私がいるときに王族が暗殺なんかされたら絶対めんどくさいことになること確定なので、助けにきたわけだが、どうやらこの暗殺者はそこまで手練れではなさそうだ。


「貴様、女だろうと俺は容赦せんぞ?」


「ああ、ごめんごめん、三流ですら過大評価だったみたい、落第点だねこりゃ」


「なんだと」


「……こういう時は即八つ裂きだよ」


暗殺対象以外に発見されたというのにのんびりお喋りとは、呆れた私は相手のナイフを皮膚表面を硬化した腕で弾き飛ばす。


斬弾装填(ソードリッジ)斬撃散弾(リッパースプレッド)


「ーーーーーーッッッッッ??!!!!」


私は詠唱しながら手を相手に向ける、向けた手が砲身へと変化する、しかもただの砲身ではない弾の代わりに刃が装填されている、発射された刀身は相手に着弾する直前に刃が細かく分裂し、殺到する、いくつかは回避したが、右足と左足が吹っ飛んだ。


「ッッッ………」


「へぇ、悲鳴を上げないとは意外と肝据わってるじゃん、ロイ様、大丈夫ですか?」


「あ、ああ、ありがとうございます、助かりました」


よっぽど恐ろしかったのだろう、上の空といった様子のロイ、薬の副作用だろうか、心なしか頬が赤くなっているような気がする。







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