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13、人狼国へ


???視点


「な、なんでだよッッッ!!!、俺達獣人はお前らにとっちゃただの使い捨ての道具なんだろッッッ!!なんで見捨てないんだよッッッ!!!!」


「だって貴方達にも大切な人達はいるんでしょう?、守りたい故郷と家族がいるんでしょう?、道具だかなんだか知らないけど…見捨てられるわけないだろ、同僚のよしみだ、ここは私に任せて先に行って……」


「そ、そんなことしたらアンタが………」


「大丈夫、私結構強いんだぜ」


ーーーどんなに深い闇の底、この地獄の中でも貴女は誰かの希望となる、鋼の誓いに鉄の心、削られて抉られて叩き潰されても守るべきもののために立ち上がり、立ち塞がり、守り抜く、愚鈍で愚直で愚劣の正真正銘の愚者、戦場で愛の旗印を掲げる滑稽な道化師………ーーーーだが、それこそが騎士の本懐、いやは彼女は騎士ではなく機士、弱きを守る鋼鉄の機士ーーー


「またこの夢か……」


戦場で他の部隊が自分の部隊を囮にして撤退するなかたった一人、俺達を見捨てなかった人がいた、俺達の部隊を撤退させるため、三日三晩最前線を守り抜いた、生死はわからない、出来れば生きていてほしい、名前は聞かなかったが、彼女のであろう軍の認識票は拾った。


「……アイ……」


名前の部分が殆どが擦り切れていてよく読めないが、頭の『I』という文字だけは読めた、『I』の横から何か線が走ってる気がするが、汚れなのか、字の一部なのか、わからない、だから俺は彼女のことを『アイ』と読んでいる、いつか本当の名前がわかることを願いながら…………。


ーーーーーーーーーーーー


イヴ視点


「はい?」


「そのすみませんが人狼国に行って交渉等を行うので護衛のイヴさんにもついてきてもらって良いでしょうか?」


「了解です」


ロイの護衛についてはや数週間、そろそろ仕事にも慣れてきたと思ったら、なんかロイが一応同盟国との交渉へ行くらしい、人狼国との関係はあまり良くはない、元々、獣人は奴隷とする文化が根強いのでどの国でも迫害の対象なのだ、うちの国には奴隷制度はないが、それでも無意識の内に選民意識があるのか、獣人の命をただの必要経費と言わんばかりの作戦も度々行われていた、戦争には勝ったが、戦争での扱いが酷かったのでピリピリしてる、その関係修復といったところか、王子様も大変だな。


「うん?、あれ、ついて来るのって私だけですか?」


「ああ、あまりズラズラ連れていると自分から只者じゃないっていってるようなものだからね、僕のお供が増えればそれだけ弟の護衛が手薄になるし、それに、い、イヴさんと二人きりで行きたいし」


「なるほど、最後何か言いましたか?」


「あ、い、いやぁ、何にも言ってないですよ」


「そうですか」


どうやら弟が心配らしい、兄としては仕方ないのだろう、私だって昔はそんな感じだったような気がするな、最後の方がゴニョゴニョ言っていてよく聞こえなかったから聞き返すも、焦った様子で返答するロイ、とりあえず適当に流す私、あれ、ってことは王子様に何かあったら全責任が私に来るって事?。


「私服お洒落ですね、似合ってますよ」


「え?、あ、ありがとうございます」


いくらお供の数を減らしたところで軍服を着ていたら意味がないので私服へと着替える、一応、動きやすいよう長ズボンを履き、黒コートを羽織る、全体的にシックな感じでまとめた、ロイに私服を褒められる、照れ隠しに頬をポリポリ掻きながら返答する。


「ロイ様も似合ってますよ」


「あ、ありがとう」


お返しとばかりにすかさずロイの私服も褒める、すると顔を赤くするロイ、必死に平静を保とうとしてるのが可愛いと思ったのは秘密だ。


「フーー、なんとか汽車に間に合いましたね~………ロイ様?」


「ーーーッッ!!??、な、なんですか??!」


「大丈夫ですか?、汽車に間に合って良かったですね、って言ったんですけど……」


「あ、ああ、そ、そうですね、この汽車を逃すと人狼国への移動が遅れてしまいますからね」


いろいろ準備をしていたらかなりギリギリになってしまった、ロイと一緒に席に着く、声をかけるが何か他の事に気を取られて、私の言葉に気づかなかったらしい、疲れが残っているのだろうか。


ーーーーーーーーーー


ロイ視点


「ロイ様?」


「ーーーーッッッ??!!」


(ち、近い、すごい近い)


汽車に急いで入り、空いてる席に座る僕達、瞬間、何か良い香りがしたのと同時に、肩に何かあたる、イヴの肩だ、その事実を理解した時、硬直してしまう僕、そのせいで彼女の言葉を聞き逃してしまう、しまったと思ったのも束の間、彼女は僕の顔を覗き込んでくる、すぐ近くの隣にいる状態で顔を近づけるものだから、体が密着してしまう、そのせいで意外と着痩せするのか、思ったよりは大きい彼女の胸がムギュッと腕に当たる、自分の興奮度とシンクロするかのように汽車の出発を合図する汽笛が鳴り響き、煙突から煙を噴き出し、動き出す、折角の2人きりなので少しでも関係を進展させたい。





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