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第一話「消しゴム窃盗事件」

 僕は、小崎小学校(おざきしょうがっこう)・6年4組27番、羽取 裕介(はとり ゆうすけ)

そう、桜がとっても綺麗な小崎小学校の生徒だ!!

今日も、桜はなびいている。

今日も今日とて、僕の学級では謎解きが行われる―――。


改めて、僕は羽取 裕介。

皆からは「ハトリ」って呼ばれてる。

実は、僕は謎解きが大の得意!

皆から出されるなぞなぞも、クイズ番組のなぞなぞも、余裕で解けちゃう。

その得意技で、クラスで起きた謎も解決したことがあるんだ!!

いつの間にか「6年4組探偵」と呼ばれるようになったんだ!!

さぁ、まだ学級は始まったばかり!!

このクラスでは、僕が活躍してみせる!!


「それでは、皆さんにお知らせです。最近、このクラスでは消しゴムが消えていくという事件が起きていますので、盗んでしまった人は、素直に先生に言うように。」

帰りの会で、先生が話した。

最近、クラスでは()()()()()()()()という事件が起きている。

しかも、奇数の出席番号の人のみ。

1番の赤沼 光(あかぬま ひかり)ちゃんから始まり、今日まで1・3・5・7・9番の人が被害にあっている。

不思議なのが、2・4・6・8番の人達、つまり出席番号が偶数の人は一切狙われないのだ。

考え込んでいると、隣の席の親友・白谷 優太(しらたに ゆうた)が声をかけてきた。

「なぁハトリ! なんか分かるか?」

「うん、今考えてる。」

適当に返事を返し、また考え始める。

おそらく次に狙われるのは、11番。

今までの法則通りに行けばだが。

11番は、片橋 祐希(かたはし ゆうき)君だよな。

片橋君の消しゴムに小細工でもするか。

う〜ん、でも、本当に法則通りに行くのかな。

ちょっとそこが引っかかる。


「片橋君、ちょっといい?」

「おぉ、ハトリ。どうしたんだい?」

「あの、消しゴムが消える事件の話。」

「あぁ、順番的に次は俺だよな。」

「そう、そこでね・・・。」

「―――小細工!?!?」

「そう。ちょっとした細工をして、犯人が消しゴムを奪った瞬間に分かるようにするんだ。」

「え、でもどういう細工をするんだ?」

「そこは任せといてよ!!」

こうして、若干の不安も感じながら、片橋君の消しゴムに細工をすることにした。

細工と言っても、そこまで大きな事はできない。

しっかり先生に許可を取って、音の鳴る装置を付けることにした。

音が鳴った瞬間、僕達に通知が来るようにしてる。

これで大丈夫なはず―――。

装置を付けている時だった。

「あんた、片橋君の消しゴムに何してんの!?」

「え、愛ちゃん!?!?」

出席番号14番・早坂 愛(そさか あい)

目の前に立って、僕の方をジロジロと睨んでくる。

「あ、いや・・・。これは違うんだ!!」

「何が違うのよ、あんたなんか怪しいわね。もしかして消しゴム窃盗犯はあんただったの!?!?!?」

「いや、だから違うって!」

「じゃあ片橋君の消しゴムに何してるのよ!」

「だから、消しゴムが盗ま―――」

いや、待て。

もし仮に、犯人が愛ちゃんだった時、この作戦がバレたら標的(ターゲット)を変えられる。

そんな面倒な事はしたくない。

それに、もしかしたら愛ちゃんも、心理戦で言わせようとしている可能性だってある!

あ、そうだ!!

「片橋君の消しゴムをイジってるんじゃなくって、これ―――。」

もしも何かがあったときのために、わざと取った0点のテスト!!

「あぁ、なんだ。それを隠そうとしてたのね。」

「そうだよ、消しゴムはただ近くにあっただけだし。それに、そろそろ下校時刻だ。早く帰ろうよ!!」

ふぅ、何とか切り抜けられた。

これで仕込み完了。

あとは犯行を待つだけさ。


 犯行予定日の、翌日。

桜の花びらが散る風景は、まるで学校で見ているものではないみたいだ。

本当に美しい。

さぁ、この花弁のように、犯人も散らしてやる!!

「おはよーございまーす」

皆の気力のない挨拶が聞こえる。

この中に、犯人がいる。

一応、友達に頼んで、昨日少し怪しかった愛は監視している。

さぁ、誰が片橋君の消しゴムを奪うかな?

―――と楽しみにしていたは良い。

しかし、1週間経てども、片橋君の消しゴムは奪われない。

何なら、2・4・6・8・10・12・14番の人の消しゴムが奪われ始めた。

つまり、偶数の人だ。

そして、14番の愛も奪われている。

自作自演でさえなければ、彼女は無実だ。

少し待って、番号の違和感を見つけるしか無い。

はぁ、長くなりそうだ。


 2週間後。

片橋君の消しゴムのみ残して、全員の消しゴムが盗られた。

僕もだ。

僕のはあえて仕掛けはしていない。

だけど、片橋君の消しゴムは奪われていない。

細工をしている事を知ったから奪ってない?

ちょっと違う気がする。

使い道は知らないけど、ほぼ全員の消しゴムを奪うような犯人だ。

細工があろうと奪うのでは・・・?

そう思った瞬間、閃いた。

「分かったぞ!!」

先生はこっちを見て、ニコっと笑う。

「はい皆〜、羽取君からお話ですよ〜」

先生は皆を集める。

「皆さん、消しゴム窃盗犯が分かりました!」

一瞬、クラス中が賑わう。

また静かになり、僕の話に耳を傾ける。

「犯人は―――」

先生も、皆もドキドキした様子だ。

「片橋君、あなたです。」

「え・・・!? 待て皆、僕じゃない!! こんなインチキに騙されるな!」

「インチキじゃありません。理由は簡単。まず、自分のだから盗めないでしょう! 女子なら自作自演したかもしれない。でも、君は演技するようなタイプじゃない。分かりやすく自分のだけ盗まなかった!! まだあるぞ! 君、小細工のことは知っていたよね? だって僕が教えたんだもん。一番細工について知っているのなら、確かにわざわざ盗んでバレるような馬鹿なことはできない。よって、君としか言いようがないんです!!」

皆から拍手が上がる。

そして、片橋君はのそのそと立ち、白状した。

「はい。消しゴム窃盗犯は―――僕です」


春の桜は、綺麗に散る。

春の日差しも、どんどんと暖かくなる。

本格的な春。

ようやく4組にも慣れた。

ちなみに、片橋君はあの後、こっぴどく叱られた。

先生にも感謝されて、何だか凄い良い気分だ!!

よ〜し、もっと頑張るぞ!!

そう、自分に誓ったのだった!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 消去法になりましたが、無事に犯人を当てることができてとかったです。 [一言] 偉大なる藤子不二雄A氏に合掌
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