遊び場を作りたい
マユリ「村の子供たちと遊ぼう!」
村に入ると子供にたかられた。女神衣装は厚手だけどお尻とか押される。小さい子だからしかたないけどぉ。
村人にお魚を数匹ふるまった。例のマグロみたいな大きさの魚だ。村では一日で消化しきれないだろうけど。青魚なので薫製したら鰹節にできるけどね。レシピあげておこう。カビをつけるのはやらなくてもいいかな。荒節も美味しいよ。この世界にもおんなじカビはあるらしいから誰かがやるだろう。
技術革新もしてもいいけどめんどい。ひとつ叶えたらまたひとつって寄ってくる人がぜったい出てくるし。聞かないよ。
「なんでもは叶えないからね。困ったことがあっても村人で助け合うように」
「ははあっ!」
「敬わなくていいからね~。普通に接してね~」
われながら無茶を言ってる気もするよ! 私が前世なら願いまくったと思う。両親を返してとか病気治してとかおばあちゃんの腰を治してとかまで言いそう。だからわかるのはわかるんだけどね、めんどくさい。神さまを奴隷かなにかだと勘違いしちゃう人もいるしね。
願う人にはなんにも与えないよ。本当に努力した上で仕方なく祈ってる人はこっそり助けるかもね。
世界を神域にしたら良いって? しないよ、それ世界じゃなくなるからね。なんでもやればいいわけじゃないんだよ。そもそも「人間をお腹いっぱい食べたいです!」って魔物がいたらどうするの? その時は人間だけえこひいきしないからね?
なのでなんでもは聞かないんだよ。当たり前だと思うんだけどな。菌やウイルスも生きてるし。人間の姿をしていない神さまもいるらしいけどなんかその方がいいかもね。人間の味方じゃないし。私が今は人間として遊びたいだけ。他神にもらった力だけど、私のためにって与えられたものだからね。
村の子供たちに水中で呼吸しなくていいスキルと目が痛くならないスキル、海から上がったら塩気とか残らず浄化するスキルをかけて海の中に入った。別にさらってる訳じゃないけど端から見るとハーメルンぽいね! 帰ってくるから心配しないでね~!
子供たちは大喜びで海老や貝を拾っている。収納袋も渡してあげよう。今日だけね! 魚も美味しそうだから麻痺させて沈ませていく。子供たちが拾う。うん、魚にしたら邪神のようだ!
陸に戻ったら大人たちも大喜びだ。魚を取り出したら袋は返してもらう。まあ消すだけだけど。ちなみに魚に腐食耐性つけとくね。
前世の友達ってみんな小学生だったから普通に友達として接してしまうんだよね。多少はひいきしても仕方ないよね!
今日だけ空中を走れるようにして空中鬼ごっこする。あははー、神の脚で逃げたら勇者にでも魔王にでも邪神にでも捕まらないから前世程度で逃げるよー。この世界も邪神はいるらしいけど、うん、邪神って名乗ってる人だね。弱いよ!
村の家は修復のスキルをかけておく。スキル作り放題である。神ですからね!
若返りや死者蘇生どころか歴史上の人物も、なんなら私も蘇れるけどそれはしない。
それをしたら他の人に申し訳ないよ。運命は受け入れる。主神さまにも悪いしね。
ちなみに輪廻した魂も生まれ変わる前に人生を引き伸ばしたことにできるから問題ない。神さまだからね。しないけど。
自己満足をやりすぎるとなんか全てがどうでもよくなりそうだからね。世界を眺めていたいんだ。
なんでなにもかも支配下に置きたいとか考えるんだろうね。つまんないよぜったい。好きにしたいなら夢を見ていればいいんだ。そこならなんでもできるでしょ。想像力が足りない? 鍛えろよ。
まあそういうのは今はいいや。子供たちと友達になれたのだ。遊ぼう!
「意外とこども速い」
「レヴィも全力だしたらダメだよ~」
「分かってるわよっ!」
「きゅきゅ~♪」
レヴィとムークルも参加した。神剣と神造小型コボルトが宙を駆け回る。こどもたち連携うまいんだよね。空中なのに追い詰められている。私はもう捕まったよ! ちなみにハンデで十対三だ。ナビさんはなんか地上で鼻血を流してるよ。眼鏡にまで飛び散ってるよ。見なかったことにしよう。神眼は見たくないものは見えないんだ! いや、見えるんだけどね。ここは融通が利かないんだよ。悪い人を見逃したりするからね。ナビさんとか!
神の遊びをしすぎたらみんな普通の遊びは退屈しちゃうかもしれないよね。遊び場をここに作ってもいいかもしれない。なんなら大人が遊んでも構わないしね。なんかうらやましそうな大人もいたから。
一応豊穣の祈りはかけてるから収穫とか忙しくなりそうだし、お酒くらいふるまってもいいかな。神のお酒は悪酔いしないどころか寿命が延びるけど。さすがにお酒は知らないと思うかもしれないけど私には全基礎知識があるんだなぁ。この知識は徐々に取り出してる感じだけど、少しずつ学んで大人になっている感じがするね。
ちなみにこの国、ドラヘル王国の法律では十五才で成人だよ。まあこっそりこどもがお酒を飲んでも裁けないけどね。そんな暇ないというか監視カメラとかないし手が少ないしそもそも見つからないなら裁けないしね。領主さまがこっそり子供に飲ませて笑い事にしたりしているけど、これ裁くのもなんか細かすぎるんだよね。もっと大きな罪人がいっぱいいるからね。お酒を飲ませて拐かすとかなら即処断するよ? 当たり前だね。
う~ん、こどもの成長に障らないお酒とか都合のいいものも作れるけど、なんか酔っぱらった子供とか普通に見たくないわ。自分を律するのなんて大人でも難しいよ。
こどもたちの遊び場……うん、そろそろダンジョン作ろうかな。
とりあえず今は大人たちのお祭りに参加することにした。流行り病が治ったのでみんな大喜びで女神祭りを始めたよ。二月にはお祭りをすると言うので覚えておこう。村も成長するといいなぁ。この国も一年12ヶ月だね。
ここをキャンプ地とする! ってしちゃったから栄えるのは確定だけどね。貴族も善良な人は立ち入れるよ。ここの領主はダメっぽいのでナビさん経由で神言を飛ばしておいた。『改心せよ』とか偉そうに言ったよ。なんかその方が、偉そうな方が神言は利きやすいらしい。神さまだから関係ないと思うんだけど。たぶんナビさんの趣味だね。どんな性格に仕上がってしまったのナビさん!
さて、子供たちと一旦はお別れ、拠点にテレポートで帰るよ~。寂しいかも。
マユリ「お別れだよぉ。やっぱりさみしいかも」
レヴィ「マユリはにぎやかな方が好きよね」