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カホノ村

マユリ「どかーん!」


レヴィ「唐突に飛んでったわ……」




 実際この体って全力だとどのくらいの力が出るんだろう? ナビさんに聞いてみた。


『宇宙が壊れます』


「は?」


『宇宙が壊れます』


「え~」


 全力出せないらしい。宇宙まで壊したら直すの面倒そうだよね。秒で終わるかも知れないけど。手加減するんじゃねえぞ、とか敵に言われたらどうしよう。宇宙が壊れるので嫌です。挑発にしか聞こえないね。まあ瞬殺すればいいんだけど。


 試しに地面に神性結界を張ってジャンプするよ。全力だと宇宙の果てを越えてしまうらしいんだけどどうしよう。まあかるーく。


「えい」


 うん、ちょっと力を入れたら宇宙に来ていた。宇宙に放り出されたら地球に帰れないんだよ。おばあちゃんは考えるのをやめるって言ってたよ。マユリは考えるのをやめた!


 いや、私は普通に帰れるんだけどね。私をどうやって殺すんだろう。完全無欠生物だよ。神だしね。形だけなら殺せるらしいよ。復活するけど。封印もできるけど壊せる。


 さて、帰ろう。テレポートでもいいけど神性結界を纏って普通に落ちてみる。堕ちた女神にはならないけどね。


『成熟した見た目に幼女の魂。心は堕ちて。良いと思います!』


 変態は黙って。まあ私の能力なのだけどナビさんはわりと融通が利かないようにできている。人らしくないと辛いからね。機械に囲まれるより人に囲まれたいから仕方ない。強制はできるんだけどねぇ。なんでも思い通りにしちゃうと本当に生きてる意味がないんだよね。努力とか実は楽しいんだよ。


 おっと、地球ヒメルが見えてきた。えー、一発で地球で言うアステロイドベルトまで飛んだらしい。神ヤバい。ちなみに飛び上がる際に空気とかに影響は与えてないよ。ヒメル滅亡待ったなしだからね。直すけど。そりゃ直すけど。


 数分くらい落ちて、ストン、と着地。ヒメルが自転してるから同じとこには落ちないよね。星は東に向けて回ってるんだから西に落ちたはずなんだけど、なぜか東に落ちた。ジャンプした時に東に体が向いていて、落ちたとこが東になったらしい。地球の自転より速く飛べるんだね。さすが神ボディ。慣性もあるけど。コリオリの力も計算しようと思ったらできるんだからね? ほんとだよ?


 まあだんだん神能力に突っ込むのが面倒になってきたので、朝起きてから着ていた水着を女神装備に変えた。レヴィは杖になってもらうよ。ムークルも呼んでおこう。


「きゅ~……」


 あれ、なんか不満そう。宇宙を見たかったらしい。


 そういえば木星まででも飛べたはずだ。木星帰りの女神! いや、この世界にも木星みたいなガス状惑星が地球の木星よりちょっと遠い位置にあるらしいのよ。土星もある。星系はわりと太陽系に似ているんだよね。さすがに星座は違うけど。ヒメルが太陽系第三惑星なのも変わらないらしい。ソーリス系だけど。


 あ、光速の軛も神だからありません。なんなら宇宙の果て一周を一秒以下で回れるよ。神だね! そして意味ないね! 神さまが全力を出したら全部むなしくなっちゃうんだよね……。縛りプレイも神レベルで! 世界には自由にやっててもらいたい。だんだん神マインドになってきたよ。


 落ちたとこは、えーとカホノ村というタンヘル男爵という人の領地のはしっこの辺りらしい。タンヘル男爵は騎士として功績をあげて男爵に昇爵された人ね。この国は戦争してるんだねぇ。ちなみに政治家としては三流らしい。


 ぶっちゃけ日本人にとって戦争って対岸の火事なイメージがあるよね。平和ボケと言われそうだけどね。事実だとは思う。日本人は平和を享受して平和が一番だよって歌うことが戦いなのかもしれないね。まあもう私には関係ないのだけど、弟が生きてるうちには戦争が起こらないように祈っておこう。手は出しませんよ。


 おや、ぼんやりしてたら村娘さんが見にきたよ。まあ落ちてくる私、空気に風穴を開けたせいで飛行機雲を連れて落ちてきたからね。いろいろな人に目撃されたみたいだよ。


「こ、こんにちは……、女神さま?」


「はい、こんにちは。村娘さん?」


 十才くらいの女の子なんだけど気になる兆候が見えるね。魂から放たれるオーラは綺麗だ。あ、魂は三次元上には存在しないよ。いい子みたいだね。髪は薄い金色で肩の上くらいの長さ。少し色も質も煤けてるね。肌はこんがり焼けた褐色。目も赤みがかってるけど暗い茶色。可愛い子だね。名前はスズメちゃん。鳥じゃなくて魚のスズメダイらしい。現地語ね。神眼で見たので聞いた方がいいのかな? いや、神さまだって示すか。


「スズメちゃん、女神マユリだよ」


「マユリさま」


「まずは病気を治しちゃおうね」


「ええっ!?」


 う~ん、あんまり気持ちいい話じゃないよ。この子は両親がいなくて祖母だけ。病気もしてるから村人に私を見てくるように差し向けられた、いわゆる生け贄だ。殺すぞ。


 私たちと同じおばあちゃんしか守ってくれる人がいなくなった女の子を人身御供にしやがって。まあ怒りのまま潰すのも嫌だから、記憶に同じ目に遭わされた自分を刻み込んでやる。


「『貴方たちの罪に報いるように』[神言(かんごと)]」


 村から何人かの叫び声が上がったよ。罪の意識はあったようでよかった。スズメちゃんが罰当たりなことをしたのでは、なんて勘違いしたことを思っている人たちにはメッセージとさらに重い罰を与える。子供を贄にした貴方たちへの正当な罰ですよ。文句あるならもっと与えてあげましょう。全身をフナムシに食われる幻と、それでも働くことを止められない体にしてあげましょうね。反省したら綺麗に治るよ。私神さまだしね。優しいのよ。優しいか?


 まあスズメちゃんがかかっていた病はこの村に蔓延していたみたいだから消しておく。なんなら神性結界を豊穣の能力を足して与えてあげよう。気まぐれだけどね。この村がファーストコンタクトだからサービスサービス。変な役人とかは入れないようにしておこう。スパイもね。


 この村に限らず冷害がひどいみたいだね。食料難なんて見たくないよ。対策は立てておこうかな。


 いやー、第一星人発見と同時に神さまのお仕事をしちゃったよ。あ、村人が湧いてきたね。どんな気持ちか聞いてみようね。あんまりいい気持ちにはならないかもだけど。


「スズメちゃんはこっちの椅子に座ってテーブルのお菓子やフルーツを食べてるといいよ」


「えっ!?」


 いきなりテーブルと椅子、おやつと紅茶のセットが現れたのでビックリしているね。素直に座って嬉しそうに食べ始めた。ちなみに神さまの入れた紅茶なので冷めないよ。火傷もしない。味も香りも好みになるよ。抜群だ。


「おいひい……。おばあちゃんにも食べてもらいたい……」


「お土産にしてあげるよ」


 おばあちゃんとかスズメちゃんと、その仲のいい人以外が食べたら一日腹痛が治らないくらいの罰を与えよう。まあ知り合いに分けてもそれくらいはいいけど。神さまだから傲慢ですとも。優しいけどね!


「おお……、まさか本当の女神さま……」


「こ、こんなことがあるなんて……」


「美しい……女神さまのご光臨じゃあ……」


 一斉に崇められたね。まあ神さまらしくふるまおうかな!


「この村に豊穣の祈りを。代償に神に望まれぬものには罰があるでしょう。心を澄ませていればなにごともなく幸福になれますよ」


 女神プレイ楽しいな。まああんまりやりたいわけではないけどね。友達ほしい。でも村人たちにはかしずかれたけど。


「私とは普通の旅人として接してくださいね。表向きは敬わなくていいんですよ」


 そうは言っても神さまの力を振るってしまったから難しそうではあるけど。あんまりひいきするつもりはないんだよねぇ。スズメちゃんを送ったような腐った大人もいるけどおおむね良い人たちの村ぽいから助けるくらいならしようかな。なんかここの男爵はあんまりいい人ではないらしい。改心させちゃおうかな?


 まあそれはそれだ。さっそく友達を作れるチャンスが到来だね。


 最初に村を癒したスキルも[創造]したから登録しておいた。神気は無限じゃなくて回復するのに時間がかかるらしい。魔力は無限だからスキルに起こしておくといいそうだ。






マユリ「ついに現地におともだちが!」


レヴィ「子供ばっかりだけど?」


マユリ「私も子供だし?」


レヴィ「そんなデカい子供がいるか」


ナビ「どこがデカいのかな~?」


レヴィ「ウザい」




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