山に行こう!
マユリ「ごはん!」
レヴィ「斬る?」
マユリ「斬らないで」
夕ごはん。お魚が巨大なの数匹も収納に入っている。このスキルだと神スキルなので熟成させたり腐食を防いだり雑菌や寄生虫や毒物も消したりとコントロールできるけど、私は神さまなんで気にしなくてもいいんだよね。だからこれは人間のお友達を作らなければダメな状況です。作るよー。
そのうち学園とか通うつもりだけどね。やっぱりやってみたいよね、悪役令嬢ムーブとか! やらないけどね? 完全無欠の神の嫌がらせとか嫌すぎる! しませんね!
お魚は一匹大きめのステーキにしてみた。白ごはんも召喚! 炊き込みとかふりかけも美味しいけど、我が家は白ごはん大好き一家だったんだよね。お寿司もいいけど。お魚はたくさんあるし作ってもいいね。
調味料はお醤油だろうがわさびだろうが作れるよ。なんなら大豆を入れたら味噌でも醤油でも好きな味で作れる機械とか作ってもいいね。オーパーツというか神器だけど。できたものも腐らなくしたりできるけど、そのうちこの辺りに町を作って売り出したりしてもいいかもね~。畑も作ろうかな~。
拾っておいた貝のお味噌汁、海老の大きいのをチリソースで炒めたのと、ちょっとカニのサラダ、お茶碗からお皿からお箸まで[創造]! 食材生成スキルとかをナビさんが作ったよ。あんまり意味はないらしい。
さあ、レヴィとナビさんとムークルと私、四人で食卓に並びます。食卓もサイズ自由だよ。クロスや飾り付けも思うまま。すごいね! テーブルクロスはピンクの猫柄です。汚れは自動で綺麗になるよ!
「いただきまーす!」
ステーキがホロホロで甘くて香辛料の香りが香ばしくておいひい~♪ 塩気もバッチリだね!
お味噌汁にはなぜかネギ風の野菜とかも入ってるね。貝の出汁が出てるよ~。落ち着く味だ~。日本人でよかったよ。
「神の料理だから美味しいに決まってるわよ!」
「我が神の手料理……ぐふふ……」
「きゅ~♪」
うん、食卓に変態がいるね!
ていうかムークルどうやってお箸使ってるの?!
まあそれはスルーして、明日はなにをしようかな。山登りもしてみたいね。今は冬だから雪山だけど天候も自在だからね。遭難するようなハードな天候にして死んだらキャンプ地に復活して戻される、とかしても面白そう。ゲーム世界を作れるよね。その時は神スキルオフで、とか。ダンジョンはひとつアイデアがあるんだよね~。山遊びしてから作ってみよう。
もちろん私がやるのは基礎までだけどね。ほら、自分で作った問題やクイズや迷路解くのって面白くないでしょ? やりたい人を見つけるつもりだよ。なんたって神さまだからね! 召喚だよ召喚。やりたくない人は輪廻に返すよ。死んだ人にチャンスをあげるだけ。私邪神じゃないしね~。けっこう邪悪ですか?
翌朝、神の結界で部屋に鍵をかけてナビさんたちは他の部屋で眠らせたのでスッキリ眠れたよ! まあ寝ないでいいんだけどやっぱり気分がいいよね! 寝放題! 食べ放題! 恋愛はなんかどうでもいいや。欲がないというか、そもそも永遠に生きる神さまが恋とか辛いからね? しませんね。
さあ。今日は山登りなので朝日を拝みたいので早起きしたよ。一瞬でテレポートもできるけど味気ないからパルクールみたいに山を駆け上がる遊びをするよ。パルクールは都会で壁とか階段を乗り越えて走り回るスポーツだね。楽しそうだから王都とかでやってみたいな。私がぶつかっても誰も怪我をしないようにできるから人混みのあるとこでやってみたいよね! すごいめいわく! 驚いても気絶したり転ばないようにすることもできるよ。神だからね!
さて、暗い中を山に向けて走ります。ぜんぜん視界は問題ないよ!
神眼だと月明かりの三倍(当社比)くらい明るいし森の中も見通せるし山まで神性結界も伸ばしていくよ。でも魔物が出たら潰しながら走るのも面白そうだしレヴィには剣になってもらおう。魔物が入るのを許可しておくよ。まあそこで私以外に襲いかかったら動けなくなる設定にしておこう。さあ、リアルタイムアタックの始まりだよ! リアルにリアルタイムアタックだよね!
何秒目に登れるかな~?
狙う山は二千メートル級、日本でもよくある登山向けの山だけど、上級者コース、っていうか神コース(地獄)行きま~す!
具体的に言うと断崖絶壁をワイバーンに囲まれて雪崩にも何回か遭いそうでクレバスとかもあって段差が穏やかな辺りは氷のゴーレムがたくさん徘徊してるコースだね! 人間には難しいコースだよ! 地球人は死ぬよね!
まずは服装だけど気分を出すためにモコモコなフード付きコートを着る。もうこの体は汗をかく必要もシバリングで体を暖める必要もないし、吹雪は遭わなくできるからホワイトアウトもないよ!
さあ、レヴィを左手に杖状態で持って、走りだす!
一歩で山に激突! 痛くないけど速すぎた!
山を駆け上がるけど気をつけないと山が吹き飛ぶんだよね~。全力で断崖絶壁を駆け上がりたいけど足が山にめり込む程度にしておくよ!
三歩でなだらかなとこまで登れたのでアイスゴーレムを斬り刻むよ。ちょっと実戦経験だね! ワイバーンはスルー! ついてこれませんね! さあさあゴーレムをさばくよ! もちろん手加減するけど。しないと本当に秒ももたないからね。実戦経験てなんだっけ、になるから!
普通の冒険者に混ざってよそのダンジョンにアタックとかしてみたいんだよね~。楽しそうだよ。仲間との絆だね! まあ見殺しにできないから身バレ待ったなしだけど、私神だしなかったことにもできるし口封じも簡単だしそもそもバレたところで問題ないしね! 軍隊でも息のひと吹きで飛ばせるし? 軍隊を幼稚園児にして遠足したりできるし? いや、そんな暴虐しないけど! 神言でお帰り願うだけだろうね。強制とも言う。
さて、ゴーレムを右に左に避けつつレヴィを振るう。うーんすごい切れ味だよ。かすりもしてないのに腕も足も頭もごとごと落ちていく。ゴーレムは再生するみたいだけど、神器レーヴァテインだからね、再生能力ごと斬り捨てている。うん、チート!
ゴーレムの空振りパンチが大地を揺らしたので雪崩が起こる。雪崩も斬っちゃえばいいよね。えい。
轟音で迫ってくる雪崩だけを縦に斬り裂く。私を避けるように雪崩が滑り落ちていくね。山肌は斬るつもりがないから雪がそのまま残っているよ。すごい剣だね、レヴィ。
「こ、これくらい神に作られたら当然なんだからね! 普通の切れ味の武器も作れるけど!」
「そうなんだ~。ダンジョンの景品悩んでたんだよね~。全部神器だと困ってたよ~」
ダンジョン産のひのきの杖で大陸を切断できたら困ってたよね~。いちいち無かったことにするとかめんどくさいし~。ちなみに神の作ったもので神は傷つけられないんだけど、普通は、だけどね。リアルに神性能同士で戦って斬り捨てられたりとかもできるよ。真っ二つくらいじゃとても死ねないけどね。まあ手加減はしないと触れなくてもミンチにできるからそこは許してほしい。戦う根拠を消し去ったりとかなんでもありなんだ。
やっぱり楽しむには手加減も大事だね。いや、私はか弱い女の子ですし! 見た目は!
雪崩が収まったので山頂へ向かう。軽くステップして山頂へ。……全力出したらどうなるんだろう? 地球が砕けないようにバリア張ってからやってみよう。まあ砕けても無かったことにするけど。暴虐!
山頂から見下ろした世界は風もなく、白銀一色の世界だ。肌を撫でる風は冷たいけど、神の体が痛むことはない。海岸線が美しく伸びている。海は丸い弧を描いて水平線を示している。私の結界の中はそこだけ常夏の南国になってるので綺麗に境目が分かれてるね。神眼で見れば渡り鳥たちも戸惑ったように私の結界の周りをぐるぐる飛んでる。入ってもいいよ~。
綺麗な世界だなぁ。空は冬雲で薄曇りだけど、遠くにはいくつもの町があって、町くらい大きな魔物がいたりして。魔法で体を制御しないと物理的にはあり得ないよね、あの大きさ。ドラゴンらしい。地龍王っていう、まあ神竜より下だから神気も使えないんだけどね。倒す理由はないかなぁ。三キロメートルも体があるので歩くだけで災害になるけど。何万年も寝る予定らしいからその時はお話するかなぁ。
大きな湖には水龍も飛んでるね。
この世界のドラゴンはナビさんによると、ドレイクという二足歩行で翼のあるタイプとドラゴン、四足歩行の翼アリタイプと、龍、細長い蛇みたいな翼がなくても飛べるタイプがいるらしい。言葉の上ではドレイクもドラゴンも龍もおんなじものだけどこの世界では分類されているのでわかりやすい言葉を選んで翻訳しているよ。この近くには凶暴化したマッドエンシェントドレイクというヤバいのがいるらしいね。前に飛んでるのを見たよ。人間の国くらい楽に滅ぼせる強さらしい。ちなみに少し神気も使えるけど私には勝てませんよ。無理ですね。多少は神言に逆らったりしてきそうだけど、それだけだ。
この世界に私の驚異はないんだ。改めて世界を見渡す。晴れ始めた太陽に照らされ始めた朝焼けの空の中、大きな声で、叫んでみる。
「この世界に遊びに来ました~~!!」
私の声、これから出会うみんなに届いたかな?
マユリ「この世界で遊びに来ました~♪」
ナビ「それだと邪神ですよ!?」
レヴィ「全てを斬る……ふふふ」
ナビ「こわっ!?」