魔王さまと遊ぼ☆
ハツネ「マユリはわりと不良娘なんだよね」
アリス「まあ愛情は深い」
カリン「それ任侠だろ」
最近カラフルダンジョンばっかりで遊んでるから外で遊ぶことにしたよ。スローライフもする。なので一回途中で止めてた海洋横断から対岸に行ってみるよ。
音速十倍くらいのスピードで海を歩いて渡ってみるよ。八十踏みくらいかな? 問題はないよお! 千五百万光年くらいなら! 私は一向に構わないんだよ!
実際周りのダメージを考慮する方が忙しいんだよ。一踏みで超Gが発生して軽く大波起こるもの。3400メートル毎秒毎秒なら340Gくらいかな? 二億ジュール程度だけど、そのあと加速しないで八十回なら百六十億ジュール、世界最大級の大地震なら二百京ジュールだから大したことないね。ちょっと加減しすぎかも? いや、ダメージを出したいわけじゃないんだよ!
(仰ぐ:破壊神がなんか言っとるぞ)
(カレー:ヒメル破壊計画?)
(レニー:困りますわよ?)
(サソワレ:あんまり困ってなさそう)
生中継してないのに見られてる?! ナビさんプライベート動画配信とか止めてぇ!?
(ナビ:えっちなシーンはカットしております。ぐふふふふ)
はっ! これがホントの確信犯というもの?! マユリ教のルールは周りに迷惑をかけないように全力で楽しむ! 布教よろしくね! いらないけど!
(スズメ:素敵な水着姿です!)
そこは拡散しないでね?!
まあちょっと遅かったから(戦闘機が思ったより遅かった)もう少し加速するかな。ちなみに速度が倍になるとエネルギーは四倍だから十倍にすると百倍! 百倍なら一万倍!
……もうちょっと加速すると一踏みで水爆くらいになる……。止めておこうね!
(仰ぐ:歩くだけで世界滅びるじゃん。って軽いステップで宇宙に出る女神だったわ)
(ハツネ:ストレス解消に惑星破壊動画見てる)
(カレー:やべえヒメル滅ぶ)
破壊して何回か戻して……たりはしないんだよ。ホントだよ?
気を取り直して歩くよ。さすがに沈んだりはしないんだよ。神は歩くだけで世界を滅ぼせるんだし。普段のモードは元の小学生マックス時の体力にしてるよ。全力だと地面が土でもまともに歩けないもんね。ハツネお姉ちゃんヒメルは壊さないでね?!
はい、対岸に着きました。水遊びとかとってもスローライフだったね!
(仰ぐ:ファステストライフの間違いだろ)
(カレー:世界一速いスローライフ)
もー、お母さんたちが意地悪だよぉ。
(二人:誰がお母さんだ)
とにかく対岸に着いたしなんか面白いもの探そ。魔王国の砦があるね。あれ? 魔王さまがいるみたいだよ?
(ヨミ:いきなり魔王?)
(グレン国王:外交を取り付けてくれまいか)
(ユノ:父上?!)
神眼で見ると、ここの魔王さまはレザリアさまっていう女の子の魔王さま。青白い肌に赤い髪と金色の瞳、鈍い金色の角は前に突き出て少し下がっている。邪魔じゃないのかな?
とても強いんだけどなぜかとても孤独を感じているみたいだね。火の四天王が裏切ろうとしているのを察知してこの砦に来てるみたいだよ。十万くらいの魔物を含んだ魔人の人たちがにらみあってる。大型の魔物って魔力で動くからご飯いらないし、そのせいで兵数が膨らんでるんだよ。
止めさせてもいいけど迷うなあ。戦いあうのはこの人たちの勝手だもんね。
弱い生き物は食べられてしまう自然のルールは曲げられない。美味しいご飯食べられなくなっちゃうよ。
でも無理やり連れてこられたモンスターや兵が可哀想。
だけどこのまま戦争をしなければみんなが飢えてしまう。
神の答えならとっくに出てるけど、マユリの答えは出ないんだ。一旦止めるかな。戦場のにらみあっている陣地の中央上空にテレポート。
『止まれ』
十万の軍が止まる。双方の大将、魔王さまと炎の四天王さんを呼び出して私の前に向い合わせで並べる。炎の四天王さんの名前はガリバルックさんね。全身が炎でできてるとかすごい生き物だね。野心からの反逆を企てて今回の戦争となりました。つまんない人だよ。魂は薄い灰色。殺したのは犬猫くらいの弱い生き物だけ。つまり自分は引っ込んでて部下だけ戦わせる。大将としては正しい姿勢だけどこの人はただの臆病者だ。殺すほどじゃないけど戦争を引き起こしたんだから十分死罪。
(仰ぐ:どうするんだ、マユリ)
どうするって、神性結界にはめる。そのあと戦争は引かせることにするよ。飢えるか飢えないかなんてこの人たちが考えることでしょう?
力ある者たちに対しての救いの義務なんかないよ。それは甘えだ。努力した結果果てるなら仕方ない。本当に助けるのはスラムの幼子みたいな自分の力ではなにもできない子供たちでしょう? その人たちを救う義務も周囲の大人にある。本当は神さまなんていらないんだよ? みんなが平和にくらす手段はあるでしょう。狩りは仕方ないけど。
たださあ、なにもしないで祈らないでほしい。
「めんどくさいんだけどお、双方の言い分を聞くね。意見交換を許すけど、言い争いはしないでね」
「た、多少の質問を、よろしいでしょうか……」
魔王さまの方が先に立ち直ったね。質問ばっかりにならなければいいよぉ。とっても強い人だから全身が動けない、好きに喋れない状況を恐れているよ。若干神気に逆らってくるから実はちょっと大変。ちなみに反対の人は……。
「貴様あ! すぐにこの拘束をはずぶばあがはあっ! ぐぼおっ!?」
『好きに喋るな三下』
変な言葉使っちゃった☆ めっちゃビビらせたかったから物理無効の肉体を素手で二百発くらい殴ってから神言で罵ってあげたよ。もちろん物理無効なんて貫通するよ? 神の攻撃は空間だって破砕するんだ。死んでないよ? 手加減上手だし! ビビらせたかっただけだし!
「も、もうじわげありまじぇん……」
「お話し合いしようね~。炎にたんこぶとかウケる(笑)」
「あ、貴女はもしやフォシノー様の神託にあったマユリ様」
「ん?」
神託なんかあったのナビさん。王さまは言ってなかったよね?
『世界中の魔王に[孫のマユリが遊びに来るからよろしくね]と一言だけ。争えば無駄に命を散らすぞ、という脅しですね』
なにしてんのおばあちゃん。目が点になったよ?
「マユリだよ。とにかく戦いたいなら私が戦ってあげる。それ以外に理由があるなら聞くよ~」
本当なら戦争に介入する必要すらないんだけど。たださあ、この十万人の中に子供とか農夫とかたくさんいるんだよね。昔の戦争ならこれが普通なんだろうけど、見ちゃったらね~。甘いんだろうけど~。
とりあえず話が長くなりそうだから解散させて土地を豊かにする神性結界を各陣営に少しだけ張って、戦いたかったら私が全員相手をすることで決着とするよ。おやつは二十グリン六百円まで許そう!
二人に住所を教えといた。ちなみに魔王国っていうと実は各大陸に十個くらいあるからレザリアさまの名前で[レザリア魔王国]とするよ。私たちがいる[ドラヘル王国]とは[ルミン帝国]を挟んでいるので軍隊を送られたりはしないね。
とりあえず、一件落着☆
あ、国王さま、私も外交するつもりだからナシつけといてやったゼ☆
マユリ「きっとそんなことはないよ! 私は善良ではないけどね!」
ハツネ「神話でも大量虐殺が主流な神になんで善性を求めるのかガチで意味が分からんし、善性以外許されないならまず人間が滅びるんだけど、人間ってなにを考えてるんだか」
カリン「神のガチレスは危険よ!?」




